
出版社:白泉社
作家名:エンターブレイン 東雲太郎
ページ数:212ページ
シリーズ:アマガミ
ジャンル:Android対応 恋愛
コメント:
天下無敵の仮面優等生・絢辻詞の裏の顔「黒絢辻さん」発動!彼女の心を純一は解きほどけるか!?TVアニメ「アマガミSS」も好評だった大人気恋愛シミュレーションコミカライズ、絢辻編後編収録!
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※作品の価格は変更される事があります、詳細ページで再度ご確認ください。
本日は ◆ビジネス、営業系
結果を出して定時に帰る時短仕事術 永田 豊志
¥ 1,500 ソフトバンククリエイティブ (2010/6/30)
金曜日だものね。
横書き。開いて左半分に図での解説がある。時間に対する考え方、
実際の作業における時間短縮の工夫など。
・人生の前半は自分の時間を高く売り、後半は人の時間を買う。
時間と資産は反比例する。若いうちは、金はなくても時間だけは
たくさんあるはず。コミュニケーションスキルを磨いて、自分の
時間を高く買ってもらおう。
対して三十も半ばを過ぎれば、人の時間を買う方法を覚えよう。
他人に仕事を任せる。マネジメントを学び、組織を作る。アウト
ソーシングを利用するなど。
・仕事を早くする8ヶ条。
生産性のためには金をけちらない。やらないことを決める。やる
べきことは具体化し、タスク管理。事前の段取りが勝敗を分ける。
マルチタスクで仕事を進める。IT利用で効率化。時間管理の習
慣をつける。他人を巻き込み、チームを作る。
・仕事を遅らせない。スケジュール管理のコツベスト10。
短い時間で全体像を見渡す、見せる。中間目標を設定し、進捗の
遅れをチェックする。最初の段階でバッファ(遅れ)を予想し、
準備しておく。
関係者とスケジュールを調整する、意思をすり合わせておく。具
体的なタスクのみを管理する。短い時間に集中する。作業に要す
る時間を正確に把握する。
必要となるタスクを最優先する。ステータスを日々確認、遅れが
あれば早い段階で対処。TO DOリストは専用のものを利用する。
最後の、TO DOリストの作り方について、少し解説を加える。
このリストには、一日で終えるべきものだけを記す。なのでこの
場合、期日は書かなくてよい。そしてやるべきことを並べるとき
に、それがどういう分野のものであるか、分別をしよう。
仕事なのか自己投資なのか、プライベートの用事なのか。紙に書
くだけではなく、リマインダーなどのWEBツールを使うようにする
ほうがよい。
・30秒で魅力を伝えるエレベーター・ピッチ。
あなたが起業家だとしよう。投資家とエレベーターに乗る。目的
の階につくまでの間に、投資を引き出す話ができるか。
人に説明をするとき、そんな気持ちで臨むと結果が引き出せる。
250文字、30秒以内。これくらい、短い言葉で言いたいことを言う
訓練をしよう。
パソコンのキーワード、ショートカットキーを覚える。単語登録
でよく使う言葉を登録しておくなど、けっこう細かいことまで書
いていたので面白かった。
「おせ」と打ち込んで変換すると「お世話になります」という文
章が出てくるように、設定しておくと楽なのだそうだ。
時間管理の本を多く読まれた方には、取り立てて目新しいことは
ないかもしれないが、図説であるのでとっかかりやすいのがよい。
新人さんなどに、教えてあげるといいかもしれないな。
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本日は ◆たまには教養系
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奇跡の脳 ジル・ボルト テイラー
¥ 1,785 新潮社 (2009/02)
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そんなこんなで、今週一押しの一冊。
ジルは神経解剖学者として、輝かしいキャリアを積んでいた。研
究は順調だったし、精神病患者の団体、全米NAMIの最年少理事に
も選ばれた。彼女の熱心な働きが認められたのだ。
彼女が脳に興味を抱いたのは、兄が分裂症にかかったためである。
同じ母から生まれたのに。不思議に思ったジルは、まだ新しい分
野だった、脳の研究に没頭していた。
この本は、脳の専門家であるジル・ボルト・テイラー博士が脳卒
中をわずらい、回復するまでのノンフィクションである。
卒中になった瞬間から、その回復の過程までを、専門家らしい冷
静な筆致で記している。これがものすごく面白い。自分の内側、
まさに脳の中で起きていることを、他人事みたいに眺めているの
だ。
それでいてユーモラスなのもいい。一人称で語られる、話し言葉
なので読みやすい。違うと怒られるかもしれないが、この知性的
な女性が卒中にかかった場面の記述などは、「アルジャーノンに
花束を」に似ていると思った。
その場面を、かいつまんでご紹介してみたい。卒中患者はこのよ
うな経験をするのかと、驚かされるばかりだった。
午前七時。目覚めたジルは目の裏側がきーんと痛むのに気づいた。
かき氷を食べたあとみたいに。次に、何かから切り離されてゆく
感覚を覚えた。心と体がばらばらになる感じ。
シャワーを浴びようとして、水道の蛇口をひねった。すると耳を
つんざくような騒音が聞こえた。いつも聞いている水の音なのに。
このとき、入ってくる音(聴覚情報)を処理する機能が、脳の中
で失われていることに気づいた。重大な異変が起きているとわ
かった。
彼女はこの後、助けを呼ぼうとするが、それが簡単にできなかっ
た。「たすけをよぶ」、このことはわかる。だが思考が安定せず、
集中できない。
左脳に出血があったせいだ。言語や、数字、記憶を並べる機能が
失われていた。「情報が入ったファイルの前に並んでいる。だが
そのファイルを開けるやり方を、すべて失ってしまった」ような
感覚があるのだそうだ。
「でんわ」と浮かぶが、それがどんなものだったかわからない。
「しょくば」に電話をかけようと思うが、電話番号が思い出せな
い。やっとつながっても、内線の番号を答えられず戸惑う。
普段何気なくしていることでも、脳がどれだけ働いているか、わ
かったような気がする。ものすごく複雑なことを、脳はやり遂げ
ているんだな。
しかし卒中になった朝は、奇妙な安らぎにも満たされていたのだ
そうだ。言語中枢が没したので、時間の概念、数字も失われ、感
覚だけの世界に漂うことができた。涅槃の世界、と著者は表現さ
えしている。
卒中の患者は「馬鹿なけもの」ではなく「傷ついた人間」である。
わかっているから、優しく話しかけてほしい。
また、脳は回復すると断言できる。彼女自身、周りの助けを借り
ながら、本書が執筆できるまでに回復した。その間八年。
(この間の不思議な脳の働き、考察については、読まなきゃソン
と大声で言いたくなるほど。すごい、神秘的)
私たちの脳は、「中で小さい子供がいくつかのグループに分かれ
て、めいめいに遊んでいる状態」なのだという。
一箇所が損なわれても「そこにいた子供たちが、別の健康な場所
に移り、また目一杯活動を始めようとする」。損なわれた働きを、
代替する動きが行われるということのようだ。
脳って神秘的。平々凡々の自分ではあるけど、立って歩いて会話
をして、本を読んで料理を作って、それだけのことが大変立派に
思えてくる。誇らしい。
人間の可能性、素晴らしさってやつを信じられる一冊。大迫力!
イライラしているところに、悪い事が集まり、
ニコニコしているところに、良い事が集まる。
クヨクヨしているところに、つまらないことが集まり、
ワクワクしているところに、おもしろい事が集まる。
今日も一日味わいつくしましょう。
本日は ◆生活、ほっこり系
蒸し器もせいろもいらないフタさえあれば!極上蒸しレシピ
浜内千波 ¥ 1,365 日本文芸社 (2009/9/29)
今「蒸し」がアツイ。
専用の器具もいろいろ、面白いものが出てるよね。タジン鍋に
シリコンスチーマー、スチームクッカーってのもある。
実は私は、シリコンスチーマーは、一度買うことを検討したの
だ。レシピ本についているあれを、買って試してみようとした。
だけど私はそのときちょうど、家の中のモノを減らす作業の途
中であった。調理器具はなるべく少なく、使いまわすことで毎
日をしのぎたい。
また、過去の経験から、専用の用途しかないものが、だんだん
使われなくなることを身に染みて知っていた。ゆで卵を切る道
具だったり、さらにはたこ焼き器であったり、その目新しさに
飽きるとそれでおしまいになることが多い。
そんなわけで、買わずじまいでいたのだけど、やっぱり蒸し料
理には挑戦してみたかった。蒸しだけに、無視できないという
心境である。流行には乗りたい。
蒸し器はあるのよ。だけどもっと手軽で便利に。
そう思っていたところに、飛び込んできたのがこの本だった。
料理研究家の浜内千波さんの、蒸し料理レシピ本。フライパン
でもできるのだという。密封性が高い鍋、フタがあれば誰でも
簡単に蒸し料理ができる。
しかも普段の料理においても「蒸し」の過程を取り入れるだけ
で、より早く、おいしく仕上げることができるそうだ。これは
ありがたい。
たとえばもやし。フライパンに入れ、フタをしめたら中火弱で
加熱。このとき、透明で密封性の高いフタを選ぶようにしよう。
もやしが透き通ってきたら、フタをはずして箸で上下を返して
やる。
その後再びフタとじ、加熱。茹でたものには感じられない、
しゃきしゃきとした歯ざわりが楽しめる。
小松菜も蒸すとおいしい。茹でると水に溶ける栄養素が、その
まま残るのがうれしい。色あせを防ぐため、塩を振ってフタと
じ、加熱。葉がしんなりしてきたら、上下を返して水大さじ1、
再び加熱して、出来上がりというわけ。
切り干し大根も肉じゃがも、茹でるのではなく、少量の水で蒸
すことができるらしい。大事なのは密封性の高いフタというわ
けだ。
ラタトゥイユ、ごぼうのワイン煮、グリーンピースとじゃがい
ものハム煮、白身魚をキャベツで包む蒸し物、大根のステーキ
など。
水は少なめに。だいたい、大さじ二杯がせいぜいという感じ
だった。密封して野菜の水分で蒸して、柔らかくなったものを
調理するという感じ。それで味噌汁まで作るのだから、なかな
か徹底しているように思える。
この人のレシピ本は役に立つ。わかりやすい。家庭で作る料理
というものを、よくご存知だなと思う。奇抜でなく、それでい
ていつも新しい発見がある。楽ができる。
春も近い。初めて一人暮らしをする人に、料理の本を贈るとし
たら、私は迷わずこの人の本を選ぶだろうな。
ビジネス書。門外漢の私にはぴんときませんてした。「残念な人」とは一生懸命働いているのに成果の上がらない人のこと。そうならないためにはどうすればいいかについてかいてあるようです。
自分の目標や、やりたくないことを書き出してみるというのは使えそうです。
本日は ◆生活、ほっこり系
寝るだけダイエット 福辻 鋭記
¥ 1,260 扶桑社 (2010/5/13)
さて、私も一応は女子。今日明日の二日間は、現在女子界にうご
めく二大潮流についての話をしてみたい。
ダイエットと料理。まあもちろん、あの田嶋陽子先生辺りなら、
機関銃のように反論を打ち出すかもしれないが、とりあえずこの
辺りの分野を女子向けと呼んでも、そう異論は出ないと思う。
で、本日はダイエットだ。
私などね、思春期辺りから毎年毎年「今年の目標」はダイエット
なのよ。さまざまな流行に流され、踊らされてまいりました。
リンゴダイエットもあったね。世にも美しいダイエットもあった。
指に輪ゴムを巻きつけたり、風船をふくらませたこともある。
総じて思うのは、これまでのダイエットは我慢が多かったという
ことだ。右肩上がりの世の中にあって、努力、忍耐は報われると
がんばれる人が多かったのだろう。
だが最近では、どこか緩めであるように感じる。そして、皆が皆、
モデル体型を目指すのではなくて、自分の本来の美しさを引き出
すことに関心が高まっているような気がしている。
本来の力。自然の美しさ。ではそれを損なっているものは何か。
お待たせしました。それが最近の流行、「骨盤、ゆがみ」という
キーワードなのです。
私たちの体は、普段普通に暮らしている間にも、少しずつゆがみ
が生じている。そのゆがみが大きくなると、不自然な場所に贅肉
がついたり、体の不調となって現れることになる。
この本を書いた先生いわく、骨盤のずれを治すだけで、以下いろ
ろな症状に改善が見られるのだそうだ。
原因不明のイライラ、プチうつ。頭が痛い、体がだるいなどの不
安定愁訴。便秘や肌荒れ、花粉症の症状が軽くなることもある。
効果はダイエットだけではないらしい。
骨盤矯正のやり方はとても簡単。バスタオルを二枚重ねて、くる
くると巻いてゆく。ロールケーキみたいな感じにだ。だいたい、
10センチほどの高さになるとちょうどいいそうだ。
そしてそれをビニール紐できつく縛る。柔らかく動かないように。
座ってお尻にぴたりとつく場所にその巻いたバスタオルを置き、
後はごろんと寝転ぶだけ。背中がぐんと伸びるような気がする。
気をつけるのは、寝るのは固いところであるということ。畳や床
の上がいい。また、時間は五分だけでかまわない。長くしすぎて
も効果は変わらない。
一日五分。バスタオルを敷いて寝転ぶだけで、体のゆがみが矯正
されるのだそうだ。
試してみた。バスタオル二枚は、私にはちょっと辛かった。腰が
痛い人は、もう少し低めから始めてもよいとのこと。
背中は確かに伸びましたわ。体がぐっとほぐれる感じ。
十年ほど前、映画はリアルタイムで観た。
ラストのディナー・シーンが衝撃的過ぎて、正直あの「お食事」シーンし
か覚えていない。
しかし「ハンニバル」といえば、あの「お食事」と言う様に、全く忘れら
れない強烈な後味の悪さを残している。
この小説は、5年ほど前に買ったもの。
ようやく読む順番になったので読んだのですが、久々に寝食を忘れて読み
耽りました。
読後、姉妹作「羊たちの沈黙」「レッド・ドラゴン」「ハンニバル・ライ
ジング」と四部作と云われる全作を買い揃えたほど。
面白いというのは不謹慎だけど、ベストセラーになったのは良く分かりま
す。
有名な「羊たちの沈黙」では、地下牢に拘束されたハンニバル・レクター
の、その後の悪事を描きます。
なぜこうなったかは、「レッド・ドラゴン」「ハンニバル・ライジング」
を読まないと見えてこないですが、本作でも彼の過去(幼少期)が所々
登場します。
恐怖の幼児体験が彼の異常基調となっているのですが、こうまで怪物にな
ってしまうものなのか。
終盤は手に汗握る展開の連続で、勧善懲悪で終わらない、妖しく不思議な、
霧に消えてゆくような終わり方。
鳥肌が立ちます。
あらすじ
すべて大人の女が主人公の短編12編。自宅で、旅先で、あるいは買物先
のデパートや行きつけのバーで繰り広げられる日常と非日常の点景をリ
アルに切り取ったオムニバス作品。
コメント
まっとうな大人の女であれば、大抵恋のひとつや二つは経験している。
そして、それはほとんど例外なくと言っていい確率で、既に失われている。
だから、どんなに甘やかな恋愛の渦中にあろうとも、女にとって号泣する
準備は常にできているのだ。
本作の12編の短編のテーマを一言で言うとこんな感じだろうか。
大人になるということは子どもや青春期の自分から見ると成長するという
ことであり、生きていくために必要なありとあらゆるものを獲得するとい
うことなのだが、それは同時にかつて自分が当たり前にもっていた何かを
喪失することと同義である。
本作では12人の様々なタイプの女性が、それぞれ実に多種多様なシチュエー
ションの中で自分の中にある「既に失われてしまったもの」と直面する。
その瞬間、ひとつのシーンを実に鋭く丁寧に切り取ったクロッキー画のよ
うな短編集だと思う。
そして、どちらかというと本作は「感じる」タイプの小説で、「考える」
方が好きな私にとってはちょっと苦手分野かな、という感じだった。
簡潔でさらりとした文体なので読みやすいが、本質的にはセンスが合うか
どうかで読者を選ぶ作品だと思う。
0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。
本日は ◆自己啓発系
うまくいかない自分から抜け出す方法 大川内 麻里
¥ 1,470 かんき出版 (2010/3/17)
「素直になりなさい」 こう人に言われて、あなたはどんな風に
受け取りますか?
「自分に素直に、自由にふるまっていいんだ!」と考える人と、
「人に素直に、従順に振舞えということだな」と考える人がいる
のだそうだ。
ポジティブになろう、がんばろうと思っても、ささいなことで失
敗してしまう人、しかもその失敗を何度もくり返してしまう人は、
自分の心の奥をもう一度、見つめ直すと楽になれるかもしれない。
「交流分析」と呼ばれる考え方を、とってもわかりやすく紹介し
たもの。人の心を5つのパーツに分けて、心の構造を知ろうとい
う学問だ。
自分の心の動き、他者の心のありよう。そういったものを冷静に
見ることで、人間関係や人生をよくしようと語っている。
人の心には5つの要素があるようだ。
CP 父 ○○しなければならない、が口癖。道徳に厳しく、責
めるような考え方をする。
NP 母 面倒見がよく、他人に優しい。程度を過ぎるとおせっ
かい、過干渉になる。
FC 自由な子供 感情を優先する。自由奔放、わがままである
が、想像力が豊かでもある。
AC 人の顔色を伺う子供。従順で協調性があり、引っ込み思案。
A 大人 論理的。上の四つと違い、感情に支配されることがな
い。冷たい人にも見える。
これら5つの要素の強弱で、性格が分かれる。厳格で人を責めが
ちな人は、他に比べてCPの要素が強いといえる。NPとFCが
高い人は、楽天的で人懐こい性格であることが伺える。
本書では、自分がどのタイプに当たるかの診断項目がある。それ
をした上で、低い要素を高めていくことが、うまく生きてゆくコ
ツなのだそうだ。
もちろんそのやり方も記載されている。自分の欠点を客観的に見
て、対処できるように、ちゃんと配慮がされている。
人に対するときも、この要素での判別が使える。たとえば上司な
どが、CPの要素で接してきているとき、ACで対応するのが一
番スムーズだといえる。
「ラーメン食べに行こうよ!」と、友達がFCの顔で言ったとき
は「行こう、楽しそう!」と、あなたもFCで応じてあげよう。
「君に合わせるよ」などと、ACで応じると感情の阻害が生じる
ことになる。ちょっと、寂しさが残る。
また人は、NPを装いながらCPの感情を押し付けてくることも
ある。本音と建前が違う、そういうことが往々にしてある。
「あなたのためを思っているのよ」、言葉自体は相手を案じるN
Pであるが、本音は相手を思うままにしたいCPのそれである。
そのような、隠された本音とコミュニケートする方法も説明され
ている。
著者の方は、恋愛において苦しい思いばかりされて生きてきた。
その原因を探ることが、本書を書くきっかけになった。
また、親が子にするコミュニケーションの間違いも多く取り上げ
られている。根拠のない不安や、度重なる失敗の原因が、実は成
長段階において植えつけられた「縛り」である場合も多い。
読んでいて、ちょっと怖くなる場面もあった。自分自身を省みて、
だ。
しかし面白かった。筆致は誠実。安心して一読をおすすめできる
本であると思う。
ちなみに、冒頭に書いた「素直になれ」の云々。自由に振舞おう
とするのがFC、従順であろうとするのがACの考え方だそうだ。
そしてTVも劇場版もご覧になってない方へ。
つまりこの本を読む前の私の状態の方へ。
たぶん、そういう方たちがほとんどだと思います。
ヤノマミって何? という方たちに、読んでいただきたい。
私たちが知らない世界が、ここにある。
と、思い入れを縷々語らせていただいた上で、本書の紹介に入ります。
まず、「ヤノマミ」とはなんなのか、から。
> <ヤノマミ>とは、彼らの言葉で「人間」という意味だ。彼らはブラジルとベ
> ネズエラに跨る深い森に生きる南米の先住民で、人口は推定二万五千人から三
> 万人。「文明化」が著しい先住民にあって、原初から続く伝統や風習を保つ極
> めて稀な部族だった。(18頁)
奥アマゾンの熱帯雨林で一万年にわたって独自の文化と風習を守り続ける人々、
ヤノマミ。
今ではマサイ族も携帯電話を持つ時代。今年1月9日のメルマガ『空白の五マイル』
でも、村人が携帯電話を持っていてすぐに当局に通報される仕組みになっていた。
そんな現代にあって、ほとんど地球に残る最後の、古代からの風習を守る民族と
いえよう。
三十人から二百人がひとつの集団を作り、二百以上の集落に分散するヤノマミ族
の、<ワトリキ>という名の集落に、取材陣は同居した。ワトリキとは「風の地」
という意味。ワトリキにはいつも風が吹いていた。
ワトリキには167人が暮らしていた。
シャボノという巨大なドーナツ状の家で、家族ごとに囲炉裏を持つ。囲炉裏のあ
いだに仕切りはなく、プライバシーはまったくない。
彼ら取材陣は<ナプ>と呼ばれた。ヤノマミ語を理解できない彼らにも、その言
葉だけは聞き取れた。
> <ナプ>とは「ヤノマミ以外の人間」、あるいは「人間以下の者」をさすヤノ
> マミの言葉で、敵意と差別が込められた最大級の蔑称だった。[…]
> どんな言語でも侮蔑の言葉は語感が禍々しい。だからなのか、ヤノマミの言葉
> を殆ど知らなかった僕らでも、ナプという言葉だけは聞き取ることができた。
> やはり、差別される方は直感的にわかるものなのだ。(40頁)
文明を不必要に持ち込まないよう、持参した食料は少なかった。
客人扱いだった最初のうちは分けてもらえた食料も、一週間を過ぎた頃から減っ
ていった。みるみるうちに体重が落ち、立ちくらみを起こした。
石鹸をナイフで小さく切り、物々交換で野ネズミやカピバラなどを手に入れて、
焼いて食べた。
できるだけ、彼らと同じものを食べようと思ったのだ。
祭りのために猿を狩る。
バクを狩る。
胎児は食べない。森に置き、土に還す。
ヤノマミのしきたりでは、人が死ぬと、死者にまつわるすべてのものを燃やす。
そして忘れる。死者の名前を決して口にしない。
ヤノマミの女は森で赤ん坊を産む。
産まれた子どもはまだ人間ではない。母親が抱き上げて初めて人間になる。それ
までは精霊なのだという。
母親は、子どもを人間として迎え入れるのか、精霊のまま天に返すのかを決めね
ばならない。
母親一人だけで決める。理由は身内にも語らない。もちろんナプには語らない。
母親以外の者はその決断に従う。
国分は、そして菅井カメラマンは、少女が出産する場面に立ち会った。
少女は産んだ子を天に返すことを選んだ。
バナナの葉に包み、白蟻の巣に納める。
たぶん、このとき、国分のなにかが、がすこし壊れた。
ワトリキのシャボリ・バタ(偉大なるシャーマン)の歩み、ヤノマミ族の歴史、
直面している危機、保護区見直しの動き、文明化の波、etc…
語られるべきはあまりに多い。
> 「あなたたちはしっかりと広めて欲しい。自分の家に帰って家族に話して欲し
> い。ナプが来る前、ヤノマミは幸せだったと。ナプが病気を持ってきて、私の
> 父も母も祖父も祖母も叔父も叔母もみんな死んでしまった。私は一人ぼっちに
> なった。[…]今、ワトリキにいる者は生き残った者たちだ。とても苦しい思い
> をしてきた者たちだ。忘れないで欲しい。[…]」(257頁)
取材班は、2007年11月から2008年12月まで、四回に分けて合計150日間をヤノマ
ミ族と共に暮らした。
その取材内容はNHKハイビジョン特集、NHKスペシャル、劇場版にまとめられ、
劇場版はDVDでリリースされている。
ヤノマミの暮らしが正しいのか間違っているのか、私たちの暮らしが正しいのか
間違っているのか、そういうことではない。
ただ、彼らは彼らで、私たちは私たちだ。
ヤノマミたちはヤノマミとして、ただ、そこに、ある。
三人によるトーク週集。政治、経済、教育など多岐にわたるテーマで三人が独自の理論で言いたい放題。なかなか面白かったです。
本日は ◆世間話、時事ネタ系
柳生真吾の 雑木林はテーマパークだ! 柳生 真吾
¥ 1,680 日本経済新聞出版社 (2010/4/24)
見ているだけで、里山の中に迷い込んだような気分。写真多数。
雑木林の魅力をたっぷり伝えてくれるエッセイ。
タマゴダケというきのこがある。六月ごろに、卵のような真っ白
な殻をまとって誕生する。写真があるが、木の根っこに本当に、
ぽつんと卵が落ちているみたいだった。
やがて白い殻が割れ、中から赤いきのこが生える。出てきたとき
は、真っ赤なピンポン玉に柄がついたような感じ。メルヘンチッ
クでとてもかわいらしい。
かさが開くと食べごろなのだが、このとき、猛毒のベニテングダ
ケと間違えないように。タマゴダケには大きくなっても、根元に
白い殻が残ります。食べると絶品。
美しいカタクリの花の写真もある。
カタクリは、雪解けの林に顔を出すのだそうだ。カタクリの花の
開花は春の到来を告げるものである。
だがそれは、カタクリなりの必死の生存戦略なのだ。寒いさなか
に命がけで目を覚まし、冬眠から覚めたばかりの昆虫を待つ。植
物は動くことができないから、さまざまな手段で虫の助けを誘う
しかないのだ。
カタクリの花は、昆虫の目から見るとネオンサインのように輝い
て見えるのだそうだ。紫外線を浴びると光る仕組みになっている
らしい。
そうして虫たちを誘い、受粉し、できた種をアリに運んでもらう。
しかしその種が発芽し、成長して花を咲かせるまで、実に八年の
月日が必要となる。
著者の柳生さんは、八ヶ岳にこの雑木林を所有しておられるのだ
が、もともとこの土地を購入したのは彼の父親の博さんだった。
最初は荒れた土地だった。長い年月をかけて、親子で力を合わせ
て、生き物も人も住みよい土地に作り変えてきた。
私はよく知らなかったのだが、森や林というのは、人の手が入っ
たほうがうまく機能するものなんだそうだ。
人の手が入っていない林を原生林と呼ぶ。屋久島や白神山地など、
日本にも原生林はいくつかあるが、大半は人によって整備された
人工林、二次林である。
そのような林は、定期的に管理、更新させていく必要がある。人
は自然を破壊するといわれるが、さにあらず。自然に働きかける
ことで、生態系を豊かに保つことができる。
江戸時代には、このような「森林ビジネス」が盛んだったようだ。
武蔵野の雑木林は、増加する江戸の人間を養うために、薪炭林と
して作られた。薪を取るために、人工的に作られたものだった。
日本には、人の手で里山を守ってきた長い伝統がある。これに学
ぶべきことが、現代の我々にもたくさんある。
早速出かけてゆきたくなるような本だった。同時に、植物の強さ
に改めて感動させられる。
タンポポやすみれ、シロツメクサ、普段目にする植物たちの、し
たたかな生き残り戦略には、実に興味をそそられた。
写真もエッセイもとても素敵。週末に、ぜひおすすめの一冊。
本日は ◆自己啓発系
ナイチンゲール 心に効く言葉 フローレンス・ナイチンゲール
¥ 1,260 サンマーク出版 (2010/3/19)
子供の頃読んだ絵本には、ナイチンゲールさんは天使のような優
しいお顔で描かれていた。看護師の仕事を始めた方なのだという。
お気持ちの美しい、たおやかな方だと考えていた。
だがそれだけではないらしい。彼女自身「クリミアの天使」と呼
ばれたことについて、こんな言葉を残しているのだそうだ。
「天使とは、美しい花を撒き散らす者ではない。苦悩する者のた
めに戦う者のことだ」
彼女はその生涯において、さまざまな戦いを演じ、勝ち抜いた。
看護師の地位を向上させ、戦場における衛生観念を徹底させ、婦
人問題についても言及することがあった。
上流階級の令嬢である。自分の願いをかなえるために、知識や教
養、人脈を大いに活用した。実に冷静な実務家であったのだ。
本書はそのナイチンゲールさんが残した著作から、いくつかの言
葉を抜粋し、まとめたもの。シビアで考えさせられるものが多い。
・りっぱな女性であるためには、つねに向上していなければなり
ません。よどんだ水も、よどんだ空気も、遅かれ早かれ腐敗して、
使い物にならなくなります。
・善良な自分でいるために必要なのは「どんな環境にあっても、
自分で念じさえすれば善良でいられます」と言うことではありま
せん。
体に悪い環境の場所に行かなければならなくなった人は「どんな
気候のところでも、健康でいようと思えば健康でいられます」と
は言いません。よい環境を整えられるよう、手を尽くすはずです。
いかなる環境においても善良でいられるという考えは、下水溝の
上に住んでいても、健康でいられるだろうと考えるようなもの。
最善を尽くして、自分が善良でいられる環境を整えましょう。
・「憎む」ことによって、私たちが向上することはありません。
・円滑にものごとが進む体制に不可欠なのは、全員が、ほかの人
の仕事を妨げるのではなく、助けるような形で自分の仕事をする
ことです。
・責任者の立場にある者は、言葉でわからせるよりも、自分の存
在から感じ取らせることが大切です。
自分を「こんな風に見せよう」とせず、隠し事もなく、寡黙で思
慮深さにあふれている、そんな一本筋の通った人生の持つ静かな
力で、騒々しい議論などせずに責任者の勤めを果たすのです。権
威を行使しながら、そう見せないことが大事なのです。
・これから師長になる人は、配下の女性の主人でもなく召使でも
なく、友とならなければなりません。
私が目下の者にきつくあたることは、彼らが私にそうするよりも
罪が重いのです。人を踏みつけにするような態度を取りながら、
人を治めることは誰にもできません。
特に最後の「人の上に立つ」の章などは、現代にも通用するリー
ダー論だと感じられた。
けっこうキビシイ。だがそれは、著者自身にも向けられたものだ
から、読み手としてはただ脱帽、感心するほかすべがない。
部下を抱える女性の方に、特におすすめ!
本に書かれてある事そのものは、とても感動した。
弁護士の心構え、彼の功績は大変立派に読めた。
ただし、著者は名うての辣腕(元)弁護士。
その説得力は多大であり、ナナメから読んで丁度いいのかもしれない。
その根拠は、彼の若き日々と現在。
彼は弁護士の子供であり、戦前の貧富の差が激しい頃、関西一のおぼっちゃ
ま学校同志社の出身。
京大に進み、数回の不合格を乗り越えて司法試験に合格するが、親のスネ
を齧って放蕩無頼の青春時代を送っている。
著者の良いところは、そういった遊び人時代を隠さず、どのようにして立
ち直ったかと自慢話に持ってゆく流れが微笑ましく、恐るべき話術だ。
本書最大の読みどころは「森永ヒ素ミルク中毒事件」。
この事件に携わった事によって、彼の人生も仕事に対する姿勢も変わった
のだろう。
この章は正直、読み進むにつれ目頭が熱くなった。
読み物として優れ、グイグイ引き込まれてアッという間に読み終えた。
そんな名弁護士、今もお元気なのかな?
大好きなウィキペディアでチェックしてみた。
住宅金融債権管理機構の回収方法で問題がこじれ、弁護士業を廃業してい
るそうだ。
もう八十歳代になっているようだ。
彼は今、実家の家業「聖護院御殿荘」という京都の老舗旅館を経営してい
るようだ。
HPでどんな老舗旅館かと拝見したら、まあ立派。
宿泊費がリーズナブルなのは交通の便が若干弱いからだろうが、立派なお
宿ですよ。
京都に行く事は今後もあるだろうから、一度は利用してみたい。
本日は ◆自己啓発系
絶対の自信をつくる3分間トレーニング 松尾 昭仁
¥ 1,365 あさ出版 (2011/1/17)
滝に打たれましょうだとか、心頭滅却いたしましょうだとか、そ
ういう難しいことが一切ないのがありがたい。
実に今、たった今、できることばかりを集めた「自信がある自分」
の作り方。
・それは自意識過剰なだけ
髪を切った女性から、あれこれ髪型のことについて、尋ねられたこ
とはないだろうか。問われたあなたは「そんなことどうでもいいよ」
と思ってしまうに違いない。
人は他人のことに、それほど関心を持ち合わせてはいない。人の目
はそんなに気にしなくてよい。
・負ける戦をしてはいけない
イチロー選手が、サッカーをしているところを見たことがあるか?
多くの人は、サッカーもテニスも野球も、すべてこなそうと考えて
いる。そうでなければならないと思っている。だが社会で成功して
いる人は、総じて一つの分野にしぼって努力した人だ。
・身だしなみを整える
靴をきれいに磨く。思い切って、セミオーダーのスーツを作ってみ
る。いい時計を持つ。爪をきれいにする。面談前には歯を磨く。
簡単にできること。やってみると効果は高い。
・「すいません」は禁句
代わりに「ありがとう」と言おう。マイナスのニュアンスがプラス
に転じる。言うほうも聞くほうも、プラスのほうが楽しくなれる。
・話を「聞く」だけで自信がつく
初対面の相手と。以下三つのネタふりで、仲良くなることができる。
出身地、幼い頃の話、親をほめる。
生まれた場所、子供の頃の思い出。こういった、プライベートの話
ができると、親近感が生まれやすくなる。親をほめるということに
ついても、嫌がる人はそういないと思うので、効果のほどが期待で
きる。
・「苦手な人」があなたに自信を与えてくれる
まずはじっくり、三分間話を聞いてみよう。聞き役に徹すること。
すると案外共通点が見つかるものだ。
人は知らないものを怖がる。無知からくる恐怖をなくすのが大事。
また、苦手な人の存在は、自信を失わせる原因になる。だから苦手
な人とも親しくなって、自分に余裕を持つことが大事。
・憧れの人を「TTP」してみる。
TTPとは、徹底的にぱくる、の略。
成功者のまねは徹底的にしよう。成功者のまねを続けていると、成
功者のエッセンスが身に着く。成功への近道となる。
・異業種の友人が、あなたに自信をもたらす。
広く浅い知識でも、ビジネスの世界ではおもしろいネタになること
がある。業界の慣習にとらわれることもなくなる。
思わぬアイディアは、他業種の知人から得られることも多い。
・小さくてもいいので、コミュニティのリーダーになる。また、小
さい世界でいいので、ナンバーワンになってみる。
ニッチな世界でとりあえず一番になろう。自信もきっとついてくる。
まああれよ、自信は多すぎてもだめだが、少なすぎてもやっぱり辛
いものだしね。ありのまま、いばらず腐らず、等身大でいたいもの。
最近うつむきがちだなあ、と思う方へ。
あらすじ
最愛の恋人に捨てられ、全てを失った私は、たったひとつだけ残された
ぬか床の壺を抱えて郷里の家に戻った。
自宅ではしばらく呆然としていたが、ある日私は一念発起して立ち上がった。
一日一組だけのお客様に、その人専用の料理をつくる食堂を開きたい!
かくして「食堂かたつむり」はOPENしたのだった。
コメント
私にとって料理とは祈りそのものだ。
・・物語の後半に出てくるこのワンフレーズが書きたくて、このたった
一言に力を持たせたくて作者の小川氏はこの作品を書いたんじゃないか
な、というのが第一印象。
実に味わいのある、まっとうな小説でした。
人間は食べなければ生きていけない。
そして食べるということは基本的に他の命をもらうということだ。
まず、この動かしがたい事実が前提としてあり、その上で人が命を食べ
るのに料理という文化をもっていることに深い感謝を捧げている作品だ
と思う。
出てくる登場人物がみんなそれぞれイイ!という点でも久々のヒット作。
料理って、しかしあらゆる芸術の中でサイコーに分かりやすくて、神秘
的で、しかも官能的だよな、と改めてそう思った。
最近読んだ料理作品としては平山夢明氏の「ダイナー」があり、これは
これで文句なしの傑作なのだけれど、同じ料理をテーマとした小説であ
りながら、こっちはタフでハードで黒い世界を描いている。
本作はひたすら真っ直ぐで力強く、明るく白い世界に浸ることができた。
他の書評を見ると結構酷評している人もいてへえっと思ったけれど、これ
は小川氏の描く世界を肯定的に捉えるかウソくさいと取るかによって大き
く変わってくるんだろうなあ。
個人的にはリアリティもきちんとあって良い小説だと思います。
しかし、こんな食堂があったら絶対に行きたいよな。
おすすめ!
0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。
※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。
世上とても評価の高いユーモア誘拐ミステリ。
まだまだミステリの造詣が浅い私なので、お薦めミステリだとか、ミステ
リ・ベスト100といった企画に弱い。
そういった企画に必ずランクインされるのが、本書「大誘拐」。
ミステリの題名というのは様々で、二文字からなる熟語だけで「面白そう
!」と思わせるものもあれば、どうもピンと来んものもある。
しかし、題名はどうあれ、まったく予想できぬほど面白いミステリもまま
ある。
本書はどうか?
私の感想としては、上中下で言うと「下」。
設定からしてワクワクせず、本書最大の特製「おばあちゃん」登場後も
サッパリ。
中盤からおもしろくなるのだろう・・・、終盤が凄いのだろう・・・と
最後まで我慢して読み切りましたが、結局最後まで面白くなかった。
ミステリとしてもアっと驚くことも無く、おばあちゃんのセコさが目に
付くだけでした。
私としては、最後に、奪取した百億円を大都会の上空から札束をばら撒く
とか、世界中のメディアが報道するなか富士山火口に百億円ごとヘリが
突っ込むとか、そんなアット言うラストを期待してました。
多くの人が一度は読んでおくべき、と評価している本書。
取り敢えず、読んだ実績が作れて、それだけは良かったです。
著者は以前に「ふざけるな専業主婦」という本を書き、多くの専業主婦から反論をもらったそうです。今回はそれに対する回答。著者はよっぽど専業主婦が嫌いなようで、「専業主婦はダンナに寄生するカチク以下の存在」とばっさり。
その理由は働いていないのに税制上優遇されているのが気にくわないようです。
しかし彼女の言っていることには矛盾があります。「専業主婦を否定しない。働くのがイヤなら働かなくてもいい」と言っているのに、別のところでは、「専業主婦は働けるのにはたらかない怠け者」と批判しています。
「専業主婦は黙っていろ」というなら自分も黙っていればいいのに。
こういう矛盾に気づいていないところが恥ずかしい。
突っ込みどころ満載の一冊。
<発行人より>
著者のお名前の最後の文字は糸へんなのですが、どうしても出すことができませんでした。やり方をご存じの方は教えてください。
まあ、辞書ですから。
普通、読む対象ではありません。
しかし世の中、こんなものを読んじゃう人がいるのです。そういう人にとっては
辞書は楽しい読み物であり、OEDの読書は心躍る体験だったというのです。
そしてとても読む気力がなく、最初から読みたいとも思ってもいない一般人に、
実はこんなすてきな単語が載っているんだよ、とおいしいとこだけつまみぐい
させてくれる、本書はそんな本なのです。
著者のアモン・シェイは、単語オタク。
自称、単語のコレクター。
集めてどうするというのではなく(こうやって本にすることはあるけれど)、
ただただ新しい単語を知ることが楽しい。たとえば…
> Acnestis(名詞)動物の肩から腰にかけての部分で、かこうと思っても手が
> 届かないところ
> OEDを読み始めてすぐにこの単語に出会えたことを非常に光栄に思う。名前
> なんて絶対にないと思っていたものを表す単語が実在していたことを知るの
> は、言い知れぬ喜びであり、俄然、辞書を読むという発想自体は、全く道理
> に外れたものではないと思わせてくれた。(19〜20頁)
「かこうと思っても手が届かないところ」という意味の単語があるだろうか、
なんて考えたこともない!
私は英語が実はぜんぜんまったく話せなくて、だからこの本を読んでも読んだ端
から忘れてしまうのだけど、Acnestisという単語は忘れても、「かこうと思って
も手が届かないところ」という意味の単語があるんだぞ、ということは覚えてい
るだろうと思う。そういう単語があることを知ってうれしい、という思いは覚え
ているだろうと思う。
> Desiderium(名詞)以前所有していて現在所有していないものをもう一度所有
> したいと強く思う気持ち
> Onomatomania(名詞)適切な言葉が見つからなくていらいらしている状態
> Pandiculation(名詞)疲れたときや朝起きたときに、「あーっ」と手足を伸ば
> す行為
> Well-woulder(名詞)条件付きで他人の幸せを祈る人
こんな意味の単語があるなんて!
どうですか、嬉しくなってきちゃいませんか!?
アモン・シェイがOEDを読んでどんどんメモをしていったように、私はこの本を
読んで付箋を貼りまくってしまいましたよ。
> ただずっと本を読んで日々を過ごしたい。それが子どもの時からの夢だった。(285頁)
目の前にアモン・シェイがいたら、駆け寄ってハグしたい。
同志よ!
日本にもアモン・シェイがいないだろうか。
日本語のこういうすてきな単語を紹介してくれないだろうか。
きっと私の知らない、存在することを想像したことすらないような単語が、日本
語にもたくさんあるだろうと思うのに〜。
『そして、僕はOEDを読んだ』 アモン・シェイ
自分を愛さないということは、全世界を否定するということ。
どんなことが起きても、どんな理由があっても、
自分への愛だけは死守しなければならない。
今日も一日味わいつくしましょう。
漫画エッセイです。著者は三重の実家から名古屋の学校に通い、名古屋の会社に就職したものの、絵で仕事をしたいという夢を捨てきれず状況。
なんのつてもなく極貧生活の食生活など、おもしろおかしく綴っています。
おもしろかったのですが、漫画の場合、吹き出しがあちこちにあるので視覚障害の私にはちょっと大変でした。
本日は ◆社会派、ドキュメンタリー系
名古屋発どえりゃあ革命! 河村 たかし
¥ 800 ベストセラーズ (2011/1/18)
新書。前回の選挙にあわせて、大急ぎで仕上げた感はやや残るが。
名古屋市議会のリコール問題について。県知事となった大村氏と
の対談。日本の政治はどうあるべきか。このようなことが語られ
ている。柱となるのは「減税」という言葉だ。
リコール問題について、簡単にまとめてみる。
09年、名古屋市長となった河村氏は、その公約のメインであった
市民税の減税を実現化すべく動き出す。
河村氏の前職は古紙回収業である。経営者だ。零細企業だったの
で、彼自身もフォークリフトに乗って朝から晩まで働いていた。
その彼の目から見ると、行政には無駄が多すぎた。議員の給料も
高い。前著「おい河村!おみゃぁ、いつになったら総理になるん
だ」から一貫して述べられている主張であるが、議員が高給取り
では、ろくな政治ができないと彼は考えている。
一般市民の考えがわからなくなる。楽な仕事であるため、世襲し
ようとしたり、政治以外のことを知らない議員が増えてしまう。
それでは国は立ち行かなくなってしまう。
そもそも財政の危機が騒がれているが、そんなものはまやかしな
のだと河村氏は一刀両断に切り捨てる。無駄がまだたくさんある。
増税? 冗談ではない。議員を養うために、庶民から金を取ると
いうのか。
今成すべきは減税である。河村氏は考えている。この考えは、織
田信長の「楽市楽座」を例に取るとわかりやすい。
「楽市楽座」は規制緩和だった。庶民が誰でも、商売ができるよ
うにしたものだ。行政はこれを目指すべきである。行政側の考え
は庶民と離反している。その欠落を埋めるには、上からの指導で
はなく、下からの動きが必要である。
だから減税。議員の給与も半額に減らし(それでも800万。仕事
内容は「ブログ市長」の本でも述べたとおり、パートタイムで務
まるものだ)、市議会の議席も減らす。
当然、議会の猛反対にあった。おかしなことだ。河村氏が選ばれ
たことで、民意は減税を求めているというのに。
だが市長には議会の解散権がない。地方議会は首長の意思が通ら
ない仕組みになっている。
リコール運動が提案され、市民が動き出した。署名を集めなけれ
ばならない。その数およそ36万。
猛暑の名古屋、河村氏の支持者たちがかけまわった。出足は遅
かったが、素人だから仕方がない。だが最終的には46万余りの署
名が集まった。
そこからがねえ、すごかったのよ。夕方のニュースでもよくやっ
てたけど、呆れてものも言えんかった。
選挙管理委員会が、署名を審査して11万名を無効としたのだ。
「○番○号」と書くべき住所が「○−○」と略されている。公団
住宅と書くべきところがUR住宅とされている。そんないわゆる、
いいがかりに近い理由で多くの署名が却下された。
署名をした名古屋市民は怒った。当たり前だわな。自分の署名が
無効であるか、ないか、確認する場が設けられ、多くの人が足を
運んだ。
無効になっていた署名は、後に訂正され有効票と数えられた。市
民の反発で、採決が覆ったというわけ。
河村さんは、それが民主主義の曙だとおっしゃっている。市民の
声が、正当な手法で通されたからだ。市民も今以上に、しっかり
意識を持たなあかんということなんだろうな。
名古屋を、愛知県をアジアで輝く都市にしたいという、大村氏と
の対談も面白かった。
日本の政治は地方から変わる。明治維新を見てもそれがわかる。
そう、河村氏は言う。
リアルタイム龍馬伝みたいで、けっこう面白かった。名古屋弁で
言ってみると「日本を洗濯せなかんのだて」って感じになるかな。
人には言えない…大人の心理テスト 齊藤 勇
¥ 760 日本文芸社 (2010/07)
面白かったので。文庫本。盛り上がるんだよね、こういうの。
・自己診断篇
Q、福引で、一頭の旅行券が当たりました。さて、どこ行きの旅
行券だったでしょうか。
1、砂漠 2、ニューヨーク 3、アフリカ 4、宇宙
A、「ビビリ度」をチェックします。
何もない1を選んだあなたはプレッシャーに弱い。無害な人、物
を周りに置きたがります。人の多い2を選ぶ人は、高圧的な人に
弱い。強い者に弱く、弱い人に強気になるので要注意。
3、野生動物がいるアフリカを選んだあなたは強い人。「ビビリ
度」は低いと言えます。4は注目されると弱くなる。人の目がプ
レッシャーになるようです。
・恋愛篇
Q、おいしそうな果物がなる木を見つけたあなた。どの果物をとる?
1、手を伸ばせば届くところにある実 2、上の方、手が届かない
位置の実 3、すぐ近くに落ちている実 4、上にはあるが、台に
乗れば届く場所になる実
A、実の位置は理想の高さを表しています。1は現実的。そばにいる
人と恋に落ちるタイプ。2は理想が高すぎ、報われないことも。
3は気が合うことが一番の条件。仲良しと付き合うように。4も理
想が高いが、相手につりあうよう、努力ができる人。
Q、目の前に池があります。深さ、広さを答えてください。
A、池の広さはストライクゾーン、深さは一人の人に対する感情を表
しています。広くて浅い人は浮気性、狭くて深い人はストーカー気
質が。
・社会生活篇
Q、川で釣りをしています。目の前で魚が跳ねました。さて、どれく
らい高く跳ねましたか?
A、10年先の成り上がり度を示しています。高ければ高いほど、人生
は順調といえるかも。低い想像をした人は、理想に現実が追いつい
ていない、苦しい思いを抱えているかもしれません。がんばりどき
です。
Q、突然、あなたの家に正体不明の客が来ました。どうする?
1、友好的に迎える 2、武器になりそうなものを持って身構える
3、身を隠して様子をうかがう 4、部屋を飛び出して逃げる
A、あなたの第一印象を表しています。
1は愛想のいい人と思われる。八方美人ととられないよう、注意を。
2は初対面の相手に身構えがち。強気な人と思われます。3は真面
目で几帳面な印象。裏表がありそう、と疑われるかも。4、落ち着
いた対応、大人だと思われる。気難しいと思われることも。
どないでした? 当たる、当たらん、あまり気にせず、楽しく読ん
で盛り上がりたい一冊でした。
中学時代、
先生にこんないたずらをしかけた男がいます。
先生が黒板に文字を書いてるすきに
タイガーマスクをかぶるのです。
先生はふりかえると、そこに突如、
タイガーマスクが座っているので
「ひゃーーー」と叫び声をあげるわけです(笑)
これを1時間目から5時間目までやり、
いろんな先生のリアクションを楽しんでいたのは、
チームひすい@岩手のワイルドボーイ、キンちゃんです。
なかには
こんな反応をした先生がいたそうです。
「なにしてんだ!!!!」
とカンカンに怒る先生。
それに対して、キンちゃんは
ごほごほとセキこんで、
一言。
「今日、風邪ぎみでマスクを……」
すると、
先生は
「マスク違う!!!!!
お前のマスク、
口だけ出てる!」
この話は
講演翌日
チームひすいのみんなが
岩手山が最高に美しく見える神社へ
連れていってくれる車中で聞いた話なのですが、
「お前のマスク、口だけ出てる!」
僕は、この話
ツボにはいってしまいまして
うちの息子もこんなふうに
授業中にタイガーマスクをかぶるような
おバカな男の子に育ってほしいな〜って
思った1日でした。
選択肢は
正しいか正しくないか
ではなく、
愉快かどうか。
「それは愉快か?」
ひすいこたろうでした(^^♪
飯島愛ちゃんのベストセラー。愛ちゃんが亡くなってどれくらいになるかなあ。忘れちゃったなあ。
愛ちゃんは厳格な両親に厳しく育てられたようです。それに反発して素行が悪くなっていく。歌舞伎町で夜遊び。万引き、シンナー、売春。やりたい放題。その後ホステスとして働く。風俗にも手を染める。AVへの出演をきっかけに芸能界へ。
非常に赤裸々な告白本です。
本日は ◆ビジネス、営業系
15分あれば喫茶店に入りなさい。 齋藤 孝
¥ 1,365 幻冬舎 (2010/09)
「カフェ仕事」という言葉があるのだそうだ。
最初聞いたとき、てっきり喫茶店経営、つまりカフェそのものを
仕事にすることかと思った。
でも違うんだって。その意味は、事務所から出て、カフェで仕事
をすることなんだそうだ。増えているんだってね、こういう人が。
タイトルには喫茶店という言葉が使われている。だがその中には、
スターバックスなどの今風のカフェ、ファミリーレストランも含
まれている。
外で座って考え事や仕事ができる場所。こういう場所をひっくる
めて喫茶店と呼び、そこでの作業のコツが語られている。
著者が喫茶店に入るのは、思考を深めたいときだ。一つの物事を
掘り下げて考える、垂直思考にふけりたいとき、その場所を利用
する。
インターネットから離れる意味もある。ネットを検索していると、
余計なものに目が行ってしまい、思考が平行に分散する。
15分を仕事の目安にしている。そのために、持っていくのは手帳、
クリアファイル、三色ボールペン、A4用紙、ノート、電子辞書、
時計もしくはストップウォッチ。
クリアファイル一枚に一つのプロジェクトの書類をまとめて入れ
ておく。持ち運び、喫茶店で骨格を決め、仕上げは家などで行う。
短い時間で集中して、短い骨組みを組み立てることができれば、
後はそう時間はかからない。生産性が高まるというもの。
喫茶店では、いつでも時間が見られるように心がけている。腕時
計を外してテーブルの上に置くか、最近ではストップウォッチを
買って持つようにしている。
あと10分、あと5分と、自分を追いつめるように仕事をしていくの
が大事。一分一秒を無駄にしない、集中が成果につながる。
喫茶店の有効利用。雑用を片付けるのにも、喫茶店はいい場所だ。
たとえば交通費の清算、報告文の作成、資料の読み込み。こうい
う雑用をまとめて喫茶店に持ち込もう。雑用をどんどん片付けて
いけば、人生は明るくなり、仕事にも前向きになれる。
本を読むのもいい、勉強をするのにも向いている。そもそも齋藤
先生は、図書館などのしんとしたところよりも、雑然と人の声が
ある場所のほうが、勉強ははかどるのだそうだ。ライブ感がある。
見知らぬ人の中にあって、自己を客観視する時間を作るのもよい。
次会う人と何を話すか、雑談のネタを仕込むのもよい。
喫茶店を利用しよう。仕事の能率、人生の生産性があがる。
私が住む町には、素敵な喫茶店がたくさんある。田舎だけど、カ
フェには恵まれた町だ。
さっそく、出かけようと思った。
本日ご紹介の本はこちらから↓
15分あれば喫茶店に入りなさい。
本日は ◆世間話、時事ネタ系
シンプルライフ 森理世
¥ 1,470 幻冬舎 (2010/4/17)
ミスユニバースに選ばれた森理世さん。美しさの秘訣、これまで
の人生、ミスユニバースの仕事についてが語られている。
美しさについて。
とにかく世界一なのだから、ものすごいことをしているのかと
思ったが、そういうわけでもないのが驚きだった。
基礎化粧品は花王のキュレル。高校生の頃からほかに変えたこと
がない。適当なお値段で、たっぷり使えるのが好き。
食べ物も好きなものを食べる。体が欲すると思うから、甘いもの
も特に遠ざけることはない。ただ、食べる前には水を飲むように
している。朝起きたときも、胃を動かすために水。
しかしこれにもこだわりはなくて、実家(静岡)にいるときは、
水道水でも平気で飲んでいる。
この方のご実家は、ダンススクールを経営なさっているようだ。
理世さんも講師として活躍している。もともとおとなしく、人前
に出るのが苦手だったそうだが、克服したのは留学中のことであ
るようだ。
静岡で、海外のダンスチームの公演があった。理世さんはそれを
見て、将来あんなチームで踊りたいと考えたそうだ。では、留学。
目標が決まった。
理世さんは、ご自分でご自分を「おとなしい、恥ずかしがりや」
と書かれているけど、そうかな、と読み手としては思う。
目標を定めた後の行動力がすごい。高校生、留学当初は一年で戻
るはずだった。だがバレエスクールへの入学を決意し、周りを説
得して、留学先の学校へ転校してしまう。
高校の授業と、バレエスクールと、実にハードな日々を過ごした。
泣いてばかりだった。そうも、この本には書かれてあるが、決し
て弱虫というわけではないのだと思う。
ミスユニバースへの挑戦を決めたのは、幼い頃から聞かされてい
た、祖母の言葉に影響されたから。祖母はよく「二十歳になった
らミスコンテストに出てほしいな」と言っていた。
もちろん、世界大会を意味していたのではないとわかっている。
だが、挑戦するならやはり一番がよかった。
書類審査が通ったとき、理世さんはニューヨークのダンススクー
ルの入学直前だった。キャンセルの手続きを一人でして、いざ、
コンテストへ。
見事日本代表となり、世界大会へ出場したが、これも大変なこと
だった。
審査は実に一ヶ月に渡る。集団生活をしながら、詳しくその人柄
を見られるのだ。また、その間はインタビューなどのスケジュー
ルが過密に組まれてあり、仕事に耐えられるかどうか試される。
大会当日には祖母が応援にかけつけてくれた。優勝が決まったと
き、祖母はとても喜んでくれた。そのとき交わした言葉が、祖母
との最後の会話になった。
ミスユニバースの仕事は、8割がチャリティーなんだって。とき
にはジャングルで、ホテルもないようなところで過ごすことも。
美しいだけではないんだなあ。タフで賢くて、優しくなければな
らない。なかなかできることじゃないよ。
ある国などは、ミスユニバースに選ばれると、一生涯の生活を国
が保証してくれるらしい。そんな事情も知ることができて、面白
い本だった。
あらすじ
女同士、半年に一回の集まりは、いつでも他愛ないテーマでふけてゆく。
「銀座か、あるいは新宿か」
スーパーマーケットでの微妙な女心の揺れ動きを描いた「パパイヤと五家
宝」
空港での印象的なシーンを切り取った「彼らが失ったものと失わなかった
もの」など、日常に潜む一瞬の味わいを描いた短編11編。
コメント
森絵都氏の才能が詰まった短編11編。
しかし上手いよなあ。ホント上手い。
文体も良いが、何気ない日常に潜むちょっとした味わいみたいなものをさ
らりと切り取る手口の見事さはちょっと尋常じゃない。
脱帽です。
個人的に好きだったのは「銀座か、あるいは新宿か」「ハチの巣退治」
「パパイヤと五家宝」「太陽のうた」「彼らが失ったものと失わなかった
もの」かな。
特に「彼らが・・」は題名を含めて秀逸。
通勤電車で読んでもよし、旅先で読むのもよし、家でウイスキーでも飲み
ながらじっくり読むのもまた良しの一冊。オススメ。
0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。
※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。
本日は ◆自己啓発系
本気になればすべてが変わる 松岡 修造
¥ 1,500 文藝春秋 (2009/03)
こ、この本は出色。アスリートの自著ということで、正直、あま
り期待はしていなかった。修造さん、まじ、ごめん。暑苦しい根
性論じゃねえの、なんてうがった見方をしていた自分が恥ずかし
い。ごめんなさーい!!
自己啓発書。テーマが一つ提示され、それぞれに修造さんが解説
を加えるという、自己啓発書の黄金パターンに乗っ取って作られ
ている。
提示されているテーマの中には、凡庸なものも少なくはない。ネ
ガティブワードは避けようだとか、楽しむ気持ちを忘れずにだと
か。
しかし解説が深い。実に冷静だし、ご自分の体験をもとにしてい
るので異様に説得力がある。また、世界的なテニスプレーヤーと
して活躍したからこそ、言えることも多くあり、話が個性的なの
も魅力。
修造さんは日記をつけておいでだ。この日記のおかげで、自分を
客観的に見ることができる。過去の失敗も振り返ることができる
ので、対処法も見つけやすい。同じ事をくり返さずに済む。
自分の状態を把握するために、現役時代はストレスチェックを日
記で行っていたそうだ。
ストレスになる項目を10個、決めておく。練習時間、強度、試合
量、プライベートのストレスなど。
そして、それをリカバリーできると思われる項目も10個用意する。
睡眠時間、昼寝、動的休養(ウォーキングなどの楽しくできる軽
い運動)、静的休養(読書、音楽鑑賞など)。
松岡修造さんと言えば、いつも暑い、蒸し暑い印象がある方だけ
ど(ほんまごめんやで!)、実に冷静によいコンディションを保
つ方法を考えておいでだったということのようだ。
彼はそもそも「頑張っている自分」を格好悪いとは考えないのだ。
最近、熱血とか、一生懸命とか、そういう言葉をネガティブな意
味でとらえる人がときどきいる。確かに、努力が報われるとは限
らないし、要領よく生きるほうが楽に見えるかもしれない。
でも、一生懸命な人の姿は格好いいものだし、周りの人にパワー
を与えることもできる。第一、頑張らない生き方もつまらないじゃ
ないか。
やってらんないよと思うとき、「でも俺、頑張ってるよな」とつ
ぶやいてみたらどうだろう。頑張ってる自分、けっこう好きにな
れるんじゃないだろうか。
しかし修造さんにだって、テニスから離れて遊びの道に迷いこん
だことがある。学生時代、麻雀にはまってしまったことがあるの
だ。そのときは、犬が吠えても「ロン」と聞こえた。
しかしあるとき、このままでいいのかという疑問が脳裏に浮かん
だ。こういうときは自分の声に素直に耳を傾けてみるべき。
自分がやりたいことというのは、なかなかつかみづらいものかも
しれないけど、日記を書いたりしていると、ぼんやり浮かび上
がってくることがある。その気持ちを忘れないように。自分の声
に従おう。
修造さんは麻雀漬けの毎日から足を洗い、再びテニスに打ち込み
始めた。守りから攻めの姿勢に転じることができた。過去の過ち
なんか悔いても仕方がない。過去があるから現在の自分がある。
遅すぎることなんてないのだから、いつも前向きに。
緊張したときは「自分は今、本気で頑張っている(だから緊張す
る)」と考えよう。記憶したいことがあるときは、脳がぶるぶる
震えるイメージを持とう。記憶が定着しやすくなる。
決断力を養うトレーニング。レストランのメニューは5秒以内に
決めよう。周囲と摩擦を起こさないうまい「ノー」の言い方を覚
えよう。
とにかくいろいろ、ちょっと信じられないくらいがっつり読みふ
けってしまった本だった。おすすめ!
この本、ある方にご紹介いただいたんだけど、読んでよかった。
ほんとありがとう!
金輪際興味なんかありません、名前を聞くのもいや、文字を読むのもいや、という
方、来週はもっと耳当たりのいい本をご紹介できると思いますので、今日のところ
はご勘弁ください。来週またお会いしましょう。
実際のところ、私もそのクチです。
決して好きではありません。
雨上がりに歩道に迷いだしてきているミミズを目撃なんかしちゃったら、悲鳴を
上げて飛びすさります。
だって気持ち悪いじゃないですか、ぬめぬめしてて、にゅにゅる動いて、うにょ
うにょしてんですよ、奴等は! 高等哺乳動物たる人類が親しく感じられる生物
じゃないですよ!
ではあるけれど、理性で考えるならたいへん有益な動物であることはご存知の通り。
> ミミズは土壌の組成を変え、水分の吸収・保持能力を高め、栄養分や微生物を
> 増やす。つまり、農耕に適した土地を用意してくれるのである。(25頁)
ミミズがたくさんいる土地は豊かな土地。
もっとも、どんなことにも例外はあって、第六章ではミミズによる被害もレポー
トされている。
現在、北米大陸に生息するミミズの多くは在来種ではなく、移民と共に渡ってき
たものだという。鉢植えの土や、苗木の根土や、荷馬車の車輪についた土や、船
のバラストなどと共に。
それらが合衆国の農地にとって役立つ存在でもあったのは間違いないだろうが、
森林に対しては問題を引き起こしてもいる。
森の下層植生を、ミミズが変えてしまっているのだ。ミミズが落ち葉を食べてし
まうために、シダや山野草が発芽できなくなっていた。
ミミズはそれらの地では悪者なのだけど、そもそもミミズ自身の移動距離は年に
数メートル。人間が森にミミズを持ち込まなければ、森を守る時間は充分にある。
ていうか、今起きている問題は、森にミミズをもち込む人がいるから起きたって
ことだ。湖に来た釣り人が、残った餌をその辺に捨てていくような。
ミミズは正しく付き合えば、人類にとってたいへん有益な友人になる。
そんなミミズに魅せられたひとりが、かのチャールズ・ダーウィンで、晩年の
ダーウィンはミミズ研究に没頭した。
著者のエイミィ・ステュワートはミミズコンポストを使っていて、本書ではそこ
で飼っているミミズと、ダーウィンのミミズ研究を併行して紹介している。
ミミズ研究はまだまだわからないことばかり。
土の中は謎がいっぱい。
わからないことって魅力的。
気持ち悪くて魅力的で役に立つけど困りもの。そんなミミズの生態に、ちょっと
だけ近づいてみませんか?
新井淑則さんは埼玉県の長瀞町立長瀞中学校で国語を教えています。全盲です。
新井先生は網膜剥離により視力を失いました。35歳の時でした。仕事ができなくなり荒れた生活になってしまいました。壁にパンチをし、穴を開けたり、奥さんとは喧嘩の毎日。しかし、リハビリを続け養護学校の教員として復職。盲学校を経て、ついに普通中学校の教壇帰ってくることができました。
新井先生の復職の影には多くの人の善意の協力がありました。そして何より本人の努力と忍耐力がすばらしかったのでしょう。
復職について不安ばかりでしたが、それが少しだけ和らいだ気がします。
本日は ◆さわやか、スポーツ系
佐藤琢磨終わらない夢─F1との決別、もうひとつの戦場ヘ
松本 浩明 ¥ 1,500 三栄書房 (2010/11/30)
佐藤琢磨。この人に対する私の印象は「うさんくさい笑顔の人」
というものだ。
好青年である。アスリートらしい鍛えた体。さわやかな口元。発
言はいつも前向きで、ファンを思いやるものばかりだ。
だが目が笑っていない。笑う形をしていても、いつもどこか、チ
ンピラみたいな凄みが残されている。ああ俺、いつでもやる気な
んだぜかかってこいよ、ボッコボコにしてやんよ。そう言ってい
るように見えて仕方がない。ファイターの目なんだよ、こええ。
世の中には、才能だけではあがっていけない場所がたくさんある
と思う。運も必要だ。そしてこの人には、なんだかんだで運が足
りない場面があるような気がする。
佐藤琢磨は2001年、ジョーダン・ホンダでF1デビューを果たす。
02年には鈴鹿で5位入賞。輝かしい実績を残したが、08年には所
属していたチームが解散し、シートを失ってしまう。
09年にはトロロッソ・チームへの加入が決まりかけたが、ロシア
人ドライバーに敗れて、F1に戻ることはできなかった。
なんや、難しいことがあるらしいわ。ドライバーになるには、政
治力や資金力がいる。スポンサーの後ろ盾があって、チームに経
済的に貢献できないと、雇ってもらうことはかなわない。
ロシア人ドライバーの背後には、潤沢なロシアマネーが控えてい
た。技術は決して劣らなかったと自負している。
カーレースの業界では、やっぱり花形はF1だ。銀座の寿司屋みた
いなもんだ。その厨房に立つことが許されなかった佐藤琢磨は、
活躍の舞台をよそへ移すことを決意する。
アメリカのインディーカーだ。どうしてもレースに出たかった。
場所は変わっても、先の例なら地方に下っても店を変えても、一
線で働くことを忘れたくなかったのだ。
KVRTというチームが彼を受け入れた。急だったので、準備が十分
にできなかった。初戦のブラジルでは、スタート直後にスピンし
てリタイア。悔しい結果となった。
その後も車の不備による無念のリタイアが続く。波に乗りきれな
い苦しさがあった。
インディーカーにはオーバルコースというレース場がある。競輪
の競技場のように、すり鉢状になったサーキットだ。F1では見ら
れない形状で、琢磨にとっては初挑戦に近いものだった。
とにかく、レースは経験が物を言うようだ。コースの状態、作り、
そんなものを熟知していないといけない。なのに練習の日に、暴
風雨が襲った。誰よりも長くコース上にいたいのに、これも無念。
しかしこの初めてのオーバルコース、カンザスサーキットでは琢
磨は入賞を手にしかけた。4番手、5番手争いに加わることができ
たのだ。
しかも競っていたのは同じ日本人のドライバーである。日本から
来たマスコミは色めきたった。皆の期待を一身に背負い、走り続
けるが、衝突。
死角となっていた、女性ドライバーからのもらい事故だった。
「いい経験でした」と琢磨は語る。「ファンの皆さんには申し訳
なかったけど、手ごたえはあったし、難しさもわかった。手の皮
もむけたしね」
必死でハンドルを握っていた手は、擦り切れて、皮がめくれてい
たらしい。それでも琢磨は「楽しかった」と言い切っている。
ファンの方向け。カタカナが多く、基本的に「これくらいわかっ
てるよね」という、暗黙の了解の下で話が進んでゆくからだ。
レース用語など、詳しい解説は特別にはない。
といって、難解というほどでもない。基本的にはしぶとく、たく
ましく世界で戦う青年の物語、というところだから。
「終わらない夢」ってのはいいタイトルだと思ったよ。世界に飛
び出て挑戦をして、うまくいかないこともあるだろうけど、どう
かいつまでも前を見ていてほしい。
本日は ◆ビジネス、営業系
「惜しい努力」で終わらせない思考法 午堂登紀雄
¥ 1,470 実務教育出版 (2010/8/31)
タイトルは素晴らしくいいと思うのだけど。
他人が流す情報に右往左往しているようでは、大成は望めない。
自分の頭で考える。それが、努力を成功に結びつけるコツ。
この本は「地頭」を鍛えるために書かれた。鵜呑みにせず、各自
なりの主張を抱いてほしい、そうだ。
・残業ゼロで仕事ができるようになったやつはいない。
・「できるヤツは遊びもできる」は嘘
ノー残業を提唱している人を見よ。彼らは若い頃、わき目もふら
ずに働いてきた人だ。二十代、三十代は土台を作る時期。がむ
しゃらに仕事をしよう。遊びも仕事も境がなくなって始めて、己
の能力が開花するのだ。
・「自己投資商人」のカモになってはいけない。
・やみくもな勉強が身を滅ぼす。
教材を買ったり、セミナーに通ったりする前に、そのリターンが
いかほどであるか、冷静に考えよう。自分が何をしたくて、何に
なりたいのか、わからないうちは自己投資は控えるべし。
資格に関してもそう。その資格がどう役に立つか、マーケティン
グをしてから、勉強を始めるようにしたい。
・ロジカルシンキングを学んで、賢くなった気になってはいけない。
シャ乱Qのメンバーが「シングルベッド」をヒットさせたときの逸
話。彼らはまず「有線放送で一番になる」という目標を立てた。そ
のために、メンバー全員で朝から晩まで有線に電話をかけまくった。
つんく♂さんはそのときのことをこう語る。「どんな壮大な目標で
も、プロセスを分解すると誰でもできる作業に行き当たる」
論理的な考え方だ。だがつんく♂さんがロジカルシンキングを学ん
だかといえばそうではない。目標を持って始めること、動き出すこ
とで、自然、答えが出るのである。
……と、まあ、前半は悪い感じではないねんけどな。後半に差しか
かると、なんやちょっと、どこぞ、未開の国の王様みたいな時代遅
れの話が始まるのよ。そこが違和感、まさに惜しい感じ。
・単なるワーカーの賃金が安いのは当たり前。
・「仕事がない」と言いながら選り好みしている人たち。
なんかなあ。この手の話を根性論で片付けるのは、頭のいい人がす
ることとは思えないなあ。
中に「先進国は北半球に集中している。それはなぜか。寒さが人を
鍛えるからだ」という一文がある。ならば南に住む人が貧困にあえ
ぐのは、温帯の恵まれた気候に甘えて堕落したせいであるのか。
であれば、イヌイットが世界制覇に乗り出してもかまわない、むし
ろそうあるべきだと思うのに、そうなっていないのはなぜか。
つじつまがあわんやんけ。
いや別に、ええねんけどな。だけどしかし、こういう「酒場の
オッサンがする議論」が中に混じっていると、本全体がどうにも
安っぽく思えてむなしい。
「俺らはよう、がんばって働いたんだ。若いのは甘えてる。貧乏人
は甘えてるんだぃ!」
まあ、それもそうかもしれんけど、世の中いろいろありますわいな。
その辺脇が甘いので、大人が読むにはちょっと残念。
覇気あふれる青年淑女が、ささっと読んでよいエッセンスだけを残
し、一晩で忘れるくらいがちょうどいい一冊。
「心配り」と「気配り」は似ているが
「り」を取ると、
「心配」と「気配(けはい)」と全く違ったものとなる。
言葉を選ぶ時
一文字の違いで人生は変っていくんだ。
今日も一日味わいつくしましょう。
本日は ◆自己啓発系
世界一わかりやすい4コマビジネス書ガイド 山田 玲子
¥ 1,365 ディスカヴァー・トゥエンティワン (2010/9/15)
著名なビジネス書50冊を取り上げて解説したもの。
この本のいいところは三つ。
・著者の目線が、読書が苦手な人に優しい。
活字マニア、ビジネス書マニアという方ではないので、言葉も目
線もとてもやさしい。
著者ご自身は、仕事に忙殺されて流されてゆく自分を改めるため
に、ビジネス書を手に取られたのだそうだ。そして、生活は改善
された。
・古典、こりゃ読んでおくべきでしょ大御所本がきっちりライン
ナップされている。
最近私は、もう一度「7つの習慣」を読み直したいなあと思って
いたのだ。この本のおかげで、なんとなく読み返した気分。
ほか「チーズはどこへ消えた」「EQ」「道は開ける」「原因と
結果の法則」「人を動かす」「思考は現実化する」「自助論」。
ベストセラーもしっかり網羅。
・そんでいて、新しい本もちゃっかり取り上げられている。
古市幸雄さん、臼井由妃さん、神田昌典さん、勝間和代さん、和
田由美さん、池上彰さん、島田紳助さんまで。バラエティ豊か。
バランスがいいやね。
構成はこんな感じ。「7つの習慣」を例にご説明してみよう。
最初に四コマ漫画。本の内容をざっくりと紹介している。7つの
習慣の場合は「人間は自分のパラダイム(レンズ)で物事を見て
いる。パラダイムを変えると世の中が変わる。パラダイムシフト
を経験するには、自分を変えることが一番」
次、簡単なコメントとともに、著者が本を読んだ際にふせんをつ
けた箇所が引用される。
この場合は、人生を変える習慣7つが本書より抜粋されている。
主体性を発揮する、目的を持って始める、重要事項を優先する、
win-winを考える、理解してから理解される、相乗効果を発揮する、
刀を研ぐ。
そして、この方が本より学んだことのまとめが、飾りのない文章
でつづられている。
この方は「7つの習慣」を読んで、自分のパラダイム(レンズ)
のゆがみに気づかれたそうです。他者の立場を理解できるように
なり、身の周りのいざこざが減った。
最後に、本を読んで行うべきアクションが提示される。
「7つの習慣」から著者が学んだ、今後取るべきアクションとは、
「自分がかけているレンズに気づく」ということだそうだ。
漫画での大まかなまとめもわかりやすかったし、感想が書かれて
いるのが親しみやすいと思った。大上段からの論評でないのがう
れしいところ。
どこから読んでもいい。気になる本のページから開くのも可。気
が楽だ。
自分がこれまでに読んだ本を思い出して、著者の感想と比べてみ
るのもいいと思う。こういう学びがあるのかと、私自身、目から
ウロコの場面がたくさんありました。
お得!
本日ご紹介の本はこちらから↓
世界一わかりやすい4コマビジネス書ガイド
著者の「新・世界の七不思議」が世界史編だとすれば、本書は日本史編。
歴史をそこそこ愛好している中間層にとっては、驚く異端異説ばかりで、
ただただ驚き面白可笑しく読んでしまう。
歴史学的にどうなのかは考察さへ出来ないが、知的興奮は存分に堪能でき
ます。
世界史編ほど語り部たちの小芝居もうざくなく、歴史そのもののミステリ
が味わえます。本書日本史編は全6編。
悟りを開いたのはいつですか?
邪馬台国はどこですか?
聖徳太子はだれですか?
謀反の動機はなんですか?
維新が起きたのはなぜですか?
奇蹟はどのようになされたのですか?
日本史編と書きましたが、ご想像のとおり「悟り」は仏陀、「奇蹟」はキ
リストです。
仏陀の苦悩にせよ、キリストの行動解明にせよ、ここまで書いていいんか
い?と思うくらいですが、こんな風に解き明かしてゆく作品を読んだこと
自体が初めてなので、ただただ驚きました。
「謀反の動機」は本能寺の変についてですが、まさか秀吉謀殺説じゃない
だろな・・・と思ったのが恥ずかしくなるような新説。
信長と天皇の経緯は知っていましたが、その心情を想像し組み立て、その
結果の行動をどう結びつけるかで、こうも考えつくとは実に面白い。
日本史編として日本の事だけに集中してくれた方が面白かったのに・・・
と言いたかったが、「仏陀」と「キリスト」考察が余りに興味深いので、
本書は「新・世界の七不思議」以上に良く出来た傑作だと思います。
もうこれ以上のネタは望むべくも無いけど、第3弾がいつか出てこないだ
ろうか。
大学の柔道部で汗を流す陽希。柔道一家に育ち、姉と共に小さい頃から柔道に打ち込んできた。しかしそんな生活に疑問を持ち始め、柔道から離れる決意をする。同じく柔道部を辞めた親友の一馬と一緒に男子だけのチアリーディングチームを結成する。寄せ集めのメンバー7人で学園祭の初舞台を経験。その後真メンバーとコーチを加え全国大会を目指す。
汗くさくない爽やかなスポーツ青春小説です。
あらすじ
かつて北海道の暮らしを捨て、津軽海峡を南に下った父は、様々な勝負に
対して最終的にはすべて失敗した。
ぼくもそのとばっちりを受けて色々な街をを転々とするはめになったが、
それでも父は僕を大人にまで育ててはくれた。
祖父が危篤だということで北海道に駆けつけたぼくは、その町で父のルー
ツに思いを馳せる。
コメント
梁石日の「血と骨」にちょっと似てるな。こっちの方が圧倒的に地味だけ
ど・・と言う感じの一冊。
男の人生における5大テーマとして「父親」「旅」「女」「仕事」「死」
があるよなと勝手に思っているが、本作は「父と子」を伊藤氏独特の繊細
なタッチで描いている。
ただ、ストーリーも文体もあまりに地味すぎて、読んでいてしばしば眠た
くなった。
読者を選ぶだろうなと思わせる作品。
父親というものは、立派であればあったで、ダメ男であればあったで息子
にとっては「あ〜やだやだ」と思わせる存在なのだが、自分自身が息子を
持ち、父親になってみると「なるほど、あの時の親父の気持ちはこんな感
じだったのかな」と思う瞬間もある。
しかし、だからといって自分の息子とこれから良い関係を積み上げていく
ことができるかどうかは全く自信がない。
父と息子って、ホント独特の関係だよな。
しみじみそんなことを感じた一冊。
0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。
※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。
本日は ◆たまには教養系
戦う!和風武器イラストポーズ集 両角 潤香、みずな ともみ
¥ 1,575 マール社 (2010/12)
時代小説を書く人はエライと、心から感心して、自分も学びたい
と思った。そして手に取った本がこれだ。
アホ、アホ、アホの三乗!(意味不明)豆腐の角に全速力で頭ぶ
つけに行きたい、恥ずかしさがてんこ盛りだ。
刀を頭上に構えた女の子の絵が表紙。紫の髪にピンクの着物。短
いその裾からは、制服のスカートが透けて見えている。ライトノ
ベルの挿絵になりそうな絵柄だ。漫画やイラストを描く人のため
の技法書、指南書である。
しかし、マール社だ。この会社は「中世ヨーロッパの服装」や
「ポーズカタログ」、「やさしい人物画」などの、美術関連のベ
ストセラーを出版しているすごい出版社なんだ。
作りはしっかりとしている。人の体の動き、和の衣装のしくみ、
武器の持ち方扱い方、絵を描くときに必要なポイントが、実に真
面目に解説されていた。
たとえば日本刀。一口に言っても、時代ごとに使われる刀は異
なっている。室町前期の頃までは、太刀と呼ばれる長めの刀が一
般的だった。そりが大きいため、下緒という紐で腰にくくりつけ
て持ち運びがされる。
室町後期から幕末にかけては打刀が使われた。全長約95センチ。
まっすぐなので抜刀がしやすい。江戸時代にはこれにあわせて脇
指が持たれた。
大小二本の刀を下げる。このとき、袴の紐に通すと考える人が多
ようだ。だが実際には着物と角帯の間。袴の脇の切れ目から、鞘
が出るように描こう。
参考になるポーズ集がある。鞘つきのポーズ、抜刀の場面、静止、
動きのある構え。多様なので、参考になるポーズも見つけやすい
はず。
また、弓も忘れてはいけない。歩兵が使う武器であり、奇襲戦法
などに用いられた。飛距離は50から150メートル。銃にとって代わ
られるまで、主要な武器として活躍した。
和弓は大きい。矢は口の高さで構える。このとき、肘と弓が一直
線になるように。よく、矢を指ではさむように描く人がいるが、
これは間違い。弓を握った親指の上に矢を乗せるように構える。
矢は背中の矢筒に背負う。体の前に紐を通して、矢筒を背中にく
くりつけるわけだが、このとき、紐と矢筒の方向は同一。右手で
上から取り出すので、矢羽根が右肩から見えるように描くこと。
ポーズ、下向きの構えがあるのが面白かった。地面の敵にとどめ
をさすときにも、矢が使われていたからだ。構え、射る瞬間、そ
の軌跡を眺める姿勢、ポーズもいろいろ。
槍、なぎなた、手裏剣、クナイ(くさびのような武器。小刀とし
て、投擲用に、用いられ方は様々)鎖鎌、トンファ、鉄扇など。
銃と刀の二刀流が格好よかった。地面に立てた刀のつばに、銃を
乗せて安定させ、発砲するという使い方もあるそうだ。
両手で武器を扱うという華やかさがうけて、フィクションなどで
よく用いられる。銃口で相手を狙い、背後を刀で守るなど、隙の
ない構えが可能。
新旧が入り乱れた、幕末の混乱期にふさわしい派手なアクション
と言えるだろう。
時代劇ファンの方、和風ファンタジーに興味のある方向け。
TVで大人気になった池上彰。
文庫本でも彼の本がズラリと並んでいるので、一冊読んでみました。
ほんとは「そうだったのか!中国」を読みたかったんだけど、アメリカから
おさらいした方が勉強になるかなと思った次第。
丁寧すぎる文体で、分かりやすく書かれているゆえ、かえって頭に入って
こない。
読みやすいので文章をズンズン読み進んでいくのだけど、しっかり理解して
進んではいない。
なんとなく分かったような気はするし、章の最後で「まとめ」まであるので
要点は抑えられるが、細かいところは記憶に残っていない。
私自身の好みとしては、もう少し硬い文体の方が好きです。
本をあまり読まない人、ほんとにアメリカについて基礎から知りたい人に
とっては良いかも。
ヘタに所々知ってると端折ってしまって、初心に帰ってじっくり読む人の
方が身につくのかもしれない。
さすが頭の良い人が書いただけあって、章立てはなかなか。
第1章:アメリカは宗教国家だ
第2章:アメリカは連合国家だ
第3章:アメリカは「帝国主義」国家だ
第4章:アメリカは「銃を持つ自由の国」だ
第5章:裁判から見えるアメリカ
第6章:アメリカは「移民の国」だ
第7章:アメリカは差別と戦ってきた
第8章:アメリカは世界経済を支配してきた
第9章:アメリカはメディアの大国だ
オバマ以降のアメリカ
アメリカの出発点から始まって、開拓や独立、戦争や差別など歴史をなぞ
りつつ諸問題をテーマに据えて章立てしていく。
知らない事もたくさん読めたので、一読するのは悪くなかった。
内澤旬子は、2007年6月10日発行の本メルマガ第241号『世界屠畜紀行』の著
者です。『世界屠畜紀行』といい、『東京見便録』『東方見便録』(内澤がイ
ラスト担当)といい、現地取材重視の突撃タイプっぽいので、てっきり健康が
自慢、という人かと思ってました。
ところが。
> 生まれてからずっと、自分が百パーセント元気で健康だと思えたためしが
> なかった。
> 胃酸過多、腰痛、アトピー性皮膚炎、ナゾの微熱、冷え性、むくみ、無排
> 卵性月経など、「病気といえない病気」の不快感にずっとつきまとわれて
> 来た。(5頁)
そのうえ、38歳にして乳癌の宣告。
数々の持病(病気といえない病気とはいえ)のうえに、キング・オブ・病気の癌。
さぞや悲愴感あふれた壮絶な闘病記が…! と思いきや。
> それが不思議なことに癌の治療中からすこしずつ元気になり、今ではギリギリ
> とはいえ、どこも痛くも痒くもなく、夜は熟睡、朝の目覚めはすっきり、買物
> にだって気軽に出かけられるという、健康な普通の人には当たり前のことだが、
> 自分にとっては信じられない、夢のような日々を送ることができるようになった。
(5頁)
癌で元気になった!?
いや、元気の理由はもちろん癌じゃありません。
オチを言ってしまえば、癌治療の副作用があまりにひどくて、藁をもつかむ思い
で始めたヨガで、体質改善されたようなのだ。
しかしそもそも癌にならなければ、ヨガも始めなかった。
すべてはつながっている。
それにしても内澤旬子、あきれるほどの病弱ぶりです。
特に、腰痛とアトピー。
なのに海外を歩き回り安宿に泊まる。
腰にコルセットを巻き、重いリュックを背負い、安宿のベッドは腰に悪いからと
床に寝る。口紅を塗れば唇の皮が一枚?ける。合わないシャンプーを使ったとき
は涙が止まらなくなり、かゆみに耐えかねて寝ているあいだに掻いた目頭がパッ
クリ裂ける。
…悲惨。
というような持病の歴史と、癌に罹患して入院手術の体験、さらに手術後の現状
の報告記。
その間、繰り返し、おカネの問題が出てくる。
おカネ!
これは問題だ。
最近でこそ「癌になったらいくらかかるか」といったような書籍も目に付くよう
になったけれど、ひと昔前までは金銭問題は避けて通られていた気がする。
だいたい十万円以上の金額がかかるものに事前の見積もりもなにも無しで、問答
無用で払わせるってのは、考えてみたらすごいことだよな。
で、内澤旬子はなにかにつけ、カネに苦しむ。
リアルだ。
人間、生きていくにはカネがかかる。
病気になったらさらにかかる。しかも病気で働けなくなったりしたらおおごとだ。
発行人、生命保険見直そうかなと真剣に考えてます。
内澤の人生観、女性性との向き合い方等、他にもいろいろ読みどころいっぱい。
特に乳房に対する女性と男性のあまりの感覚の違いにはびっくり。この辺はでき
れば皆さんの感想を聞きたいところだ。
『身体のいいなり』 内澤旬子
この本も数年前に読んだのに感想書かず、書こうと思ったら内容丸忘れ。
今回再読したが、中盤まで全然思い出せなかった。
主人公の中学生が、両親が離婚して父親に引き取られている。
母親は医者と再婚していて、父は平刑事なのに家政婦を雇うという不思議
な設定。
思春期の男子が、両親離婚・母再婚・家政婦が家に居る、という設定なら
屈折した少年になってこそリアリティが出て面白い流れになるのに、この
主人公はどこまでも少年探偵団みたいでイイ子ちゃん。
お母さんを懐かしがることもなく、父を恨むでもなく、近所で起こった
事件に首っ引き。
刑事の子だからね、と宮部女史は言いそうだが、少年の中では近所の事件
より自分の悲劇の方が余程大きいんじゃないかと思うんですけど。
結論として、設定や主人公自体に共感できない。
しかもミステリもあまり感心できない。
著者31歳の時の若書きと聞いて、ようやく感心できた次第。
31歳の女性が描いた中学生の少年、まったく描けていない。
鬼平は面白いと書きつつ、前巻10巻を読んだのは昨年9月、
あれから4ヶ月も経っている。
もう少しテンポを上げた方がいいね、池波正太郎はこの鬼平だけにあらず、
剣客商売や梅安、真田太平記と大シリーズや大作が待っている。
少年時代司馬遼太郎で歴史小説に入門した者にとって、池波の酸いも甘い
もな世界はとっても楽しい。
4ヶ月ぶりとはいえ数ページ読み始めただけで、すぅっと鬼平の世界に
戻っていく。
「男色一本饂飩」「土蜘蛛の金五郎」「穴」「泣き味噌屋」「密告」
「毒」「雨隠れの鶴吉」の全7編。
初っ端の「男色一本饂飩」はドキっとする題名だが、実際の内容もかなり
きわどい。
歴史時代小説と男色は切っても切れないテーマで、戦国・江戸期は男色・
衆道が盛んだった。
武家ほどその傾向が強く、男色を絡めた作品も自然と多くなる。
本編ではサブキャラとして重要を成す兎忠が男色を狙われ危機を脱せるか?
とハラハラドキドキ。
鬼平は兎忠の操を信じてやるが、どうとでも取れる描き方をしてしまって
いる池波先生の容赦なさが怖い。
「土蜘蛛の金五郎」では、二人の「鬼平」が戦うという、ちょっと映像を
意識しすぎた面白作品。
ドラマ受けを想定して描かれたような気がするが、実際のドラマで是非
観てみたくなるシーンが出てくる。
冒頭の男色はお笑いで済ませられても、「泣き味噌屋」は悲惨の限りを
描いている。
愛する新妻を陵辱された泣き味噌な武士が、死んだも同然の気持ちで悪党
を一刀両断する話。
悪党は叩きのめし泣き味噌な汚名は晴らせるが、死んだ妻は帰ってこず、
後味の悪い作品も淡々と混ぜている。
極悪非道集団を取り締まる火付盗賊改め方に身を置いている、男達の戦慄
が実に伝わってくる作品が挟まれることで、鬼平の厳しい環境が作品をよ
りリアルに仕上げていると思われる。