2011年2月21日月曜日

No.388 森絵都「架空の球を追う」→ 4点

森 絵都「架空の球を追う」→ 4点
発行元 :株式会社文藝春秋
初版発行:2009/1/30
森 絵都(モリ エト)

あらすじ

女同士、半年に一回の集まりは、いつでも他愛ないテーマでふけてゆく。
「銀座か、あるいは新宿か」
スーパーマーケットでの微妙な女心の揺れ動きを描いた「パパイヤと五家
宝」
空港での印象的なシーンを切り取った「彼らが失ったものと失わなかった
もの」など、日常に潜む一瞬の味わいを描いた短編11編。

コメント

森絵都氏の才能が詰まった短編11編。
しかし上手いよなあ。ホント上手い。

文体も良いが、何気ない日常に潜むちょっとした味わいみたいなものをさ
らりと切り取る手口の見事さはちょっと尋常じゃない。
脱帽です。

個人的に好きだったのは「銀座か、あるいは新宿か」「ハチの巣退治」
「パパイヤと五家宝」「太陽のうた」「彼らが失ったものと失わなかった
もの」かな。

特に「彼らが・・」は題名を含めて秀逸。
通勤電車で読んでもよし、旅先で読むのもよし、家でウイスキーでも飲み
ながらじっくり読むのもまた良しの一冊。オススメ。



架空の球を追う



0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。

※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

急ごう、人生は短い。

焦るな、人生は長い。


今日も一日味わいつくしましょう。

本のご紹介です。本気になればすべてが変わる

これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介


本日は ◆自己啓発系


本気になればすべてが変わる  松岡 修造
¥ 1,500  文藝春秋 (2009/03)


こ、この本は出色。アスリートの自著ということで、正直、あま
り期待はしていなかった。修造さん、まじ、ごめん。暑苦しい根
性論じゃねえの、なんてうがった見方をしていた自分が恥ずかし
い。ごめんなさーい!!

自己啓発書。テーマが一つ提示され、それぞれに修造さんが解説
を加えるという、自己啓発書の黄金パターンに乗っ取って作られ
ている。

提示されているテーマの中には、凡庸なものも少なくはない。ネ
ガティブワードは避けようだとか、楽しむ気持ちを忘れずにだと
か。

しかし解説が深い。実に冷静だし、ご自分の体験をもとにしてい
るので異様に説得力がある。また、世界的なテニスプレーヤーと
して活躍したからこそ、言えることも多くあり、話が個性的なの
も魅力。

修造さんは日記をつけておいでだ。この日記のおかげで、自分を
客観的に見ることができる。過去の失敗も振り返ることができる
ので、対処法も見つけやすい。同じ事をくり返さずに済む。

自分の状態を把握するために、現役時代はストレスチェックを日
記で行っていたそうだ。

ストレスになる項目を10個、決めておく。練習時間、強度、試合
量、プライベートのストレスなど。

そして、それをリカバリーできると思われる項目も10個用意する。
睡眠時間、昼寝、動的休養(ウォーキングなどの楽しくできる軽
い運動)、静的休養(読書、音楽鑑賞など)。

松岡修造さんと言えば、いつも暑い、蒸し暑い印象がある方だけ
ど(ほんまごめんやで!)、実に冷静によいコンディションを保
つ方法を考えておいでだったということのようだ。

彼はそもそも「頑張っている自分」を格好悪いとは考えないのだ。

最近、熱血とか、一生懸命とか、そういう言葉をネガティブな意
味でとらえる人がときどきいる。確かに、努力が報われるとは限
らないし、要領よく生きるほうが楽に見えるかもしれない。

でも、一生懸命な人の姿は格好いいものだし、周りの人にパワー
を与えることもできる。第一、頑張らない生き方もつまらないじゃ
ないか。

やってらんないよと思うとき、「でも俺、頑張ってるよな」とつ
ぶやいてみたらどうだろう。頑張ってる自分、けっこう好きにな
れるんじゃないだろうか。

しかし修造さんにだって、テニスから離れて遊びの道に迷いこん
だことがある。学生時代、麻雀にはまってしまったことがあるの
だ。そのときは、犬が吠えても「ロン」と聞こえた。

しかしあるとき、このままでいいのかという疑問が脳裏に浮かん
だ。こういうときは自分の声に素直に耳を傾けてみるべき。

自分がやりたいことというのは、なかなかつかみづらいものかも
しれないけど、日記を書いたりしていると、ぼんやり浮かび上
がってくることがある。その気持ちを忘れないように。自分の声
に従おう。

修造さんは麻雀漬けの毎日から足を洗い、再びテニスに打ち込み
始めた。守りから攻めの姿勢に転じることができた。過去の過ち
なんか悔いても仕方がない。過去があるから現在の自分がある。
遅すぎることなんてないのだから、いつも前向きに。


緊張したときは「自分は今、本気で頑張っている(だから緊張す
る)」と考えよう。記憶したいことがあるときは、脳がぶるぶる
震えるイメージを持とう。記憶が定着しやすくなる。

決断力を養うトレーニング。レストランのメニューは5秒以内に
決めよう。周囲と摩擦を起こさないうまい「ノー」の言い方を覚
えよう。


とにかくいろいろ、ちょっと信じられないくらいがっつり読みふ
けってしまった本だった。おすすめ!

この本、ある方にご紹介いただいたんだけど、読んでよかった。
ほんとありがとう!

本気になればすべてが変わる