2010年11月21日日曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

曖昧、中途半端、適当。

本来とても自然なことだと思う。


本当に白黒つけるべきことは案外少ない。


今日も一日味わいつくしましょう。

週刊 お奨め本 第421号『タナボタ!』

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週刊 お奨め本
2010年11月21日発行 第421号
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『タナボタ!』 高嶋哲夫
¥1,300+税 幻冬舎 2010/7/10発行
ISBN978-4-344-01860-0
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今週のオススメは小説です。
政界を舞台にしたエンターテインメント。
軽く読めるので、息抜きにどうぞ。


大場大志、27歳。プータロー。
新聞で民有党の衆議院議員比例区の公募を見て、応募した。書類選考と面接を
くぐり抜け、比例代表98位に登録された。
民有党の地滑り的大勝利のおかげで、タナボタ当選。
このときの新人議員の九割は、政治とは程遠い職業の人たちだった。とにかく
集めろということでかき集められたのだ。
国会議員というのは、バカでも人でなしでも節操がなくても、日本人で二十五
歳以上で前科さえなければなれるのだ。


親しくなった新人議員仲間のひとり、大森。63歳。それまでやっていたスナッ
クが潰れ、「選挙にでも出てみるか」と。任期の四年間で、できるだけ貯金し
てまたスナックを開くのだという。
目標四千万円。なにしろ議員の年棒は二千二百万だ。


> 月給百三十万円、ボーナス夏・冬の二回、約六百三十万円。これで年収約二
> 千二百万円。
> これに「文書通信交通滞在費」年千二百万円、「立法事務費」年七百八十万
> 円がプラスされる。この二つは非課税であり、実際に事務に使ったかどうか
> の証明は必要なし。計約四千二百万円也。年間実働二百日。ただし、タイム
> カードなし。欠勤、遅刻、居眠り自由。年齢、資格、経験、学歴不問。(44頁)


その高給を、全議員にばら撒く。議長や閣僚にはさらに増額。
議員を辞めたあとにも、議員年金が支給される。
それだけ優遇されている議員たちの仕事はといえば。


日本は議員が多すぎる。
アメリカは、人口は日本の三倍、国土は二十四倍で、議員数は下院435人、上院100人。
対して日本は、参議院242人、衆議院480人。
衆議院には政治の右も左もわからない新人議員が100人以上入っても、まったく
問題がない。いかになにもしていないかの証明だ。議員数はこの半分でも、充分
国政はまわるだろう。
一番の弊害は、責任の所在がまったく消えてしまうことだ。


> 「父は政府の無策、いや失政によって殺されたんです。当時はプラザ合意による
> 円高のせいで多くの中小企業が倒産しました。おそらく、多くの自殺者が出た
> でしょうね。これは政治による殺人です。しかし、世間でそれを言うものはい
> ない。その立役者となった政治家はのうのうと何の非難も受けることなく中央
> 政界に君臨している。それが、この国です」(147頁)


およそ議員らしくない大志の、破天荒な言動に笑いながら読めてしまうけれど、
非常識な日本の議員特権の数々と優遇ぶりに、だんだん腹が立ってくる。


> 「免責特権と不逮捕特権がある。免責のほうは、議院内で何を言っても罪にな
> らないって権利。もう一つは、国会会期中は、議員を逮捕することができない
> ってもの。もし会期前に逮捕された場合は、議院が要求すれば釈放してくれる
> の。もちろん現行犯じゃダメよ」(41頁)


EPA問題で、外国人看護師の国家試験を母国語で受けられるようにならないかと
いう旧友の頼みを受けて、党が来期回しにした議案を立法すべく、大志は走り
始める。
議員として、いま、やるべきこと。
国民がいま、必要としていること。
百年後のことを考えたら、正しいのかどうかわからない。慎重に決めるべきで、
急いではいけないのかもしれない。だけど、いま、なんとかしなければ、いま、
困る人がいる。百年後のことは百年後に考えろ!


現実の国会議員に、大志のような人はいるのかなあ。
いても国民には見えないだろうな。
いないかもしれないし。ていうか、いないな、きっと。
…と思ってしまうこの国の未来は大丈夫だろうか。


本書はフィクションであり、登場する人物名、団体名、組織名など、すべて架空の
もので現実とは一切関係ありません。

お決まりのこのフレーズに、ビミョーに笑える。


さくっと読める小説だけど、考えさせられちゃう。
さくっと読めるから、多くの人に読んでほしいなあ。

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『タナボタ!』 高嶋哲夫