2010年12月27日月曜日

No.381 石田衣良「龍涙(池袋ウエストゲートパーク9)」→ 3.5点

石田 衣良「龍涙(池袋ウエストゲートパーク9)」→ 3.5点
発行元 :株式会社文藝春秋
初版発行:2009/8/10

石田 衣良(イシダ イラ)

あらすじ

池袋商店街の一角にある小さな果物屋。
ここの若主人(兼使用人)の真島誠は、警察や弁護士でもとうてい解決が
難しい様々な事件を無料で解決してくれる若きトラブルシューターとして
池袋中の若者たちに知られていた。

悪質なキャッチセールスの被害に苦しむOL、孤独なホームレス、社会の底
辺で喘ぐ中国人労働者。
今日も真島誠の前には様々な人生の中で深刻なトラブルを抱えた「依頼人」
達が現れる。
絶好調のシリーズ第9弾。

コメント

2001年に衝撃的なデビューを飾った池袋ウエストゲートパーク(IWGP)シリー
ズも、本作でもう9巻目となった。
だいたい一巻あたり4作が収録されているので、既に35作品以上を読んだこ
とになる。

5〜6巻目くらいでは「ちょっとマンネリ&トーンダウンしてきたかな」と
いう感がなきにしもあらずだったが、7巻以降は再び面白さが増してきた気
がする。
一作目からのファンなのだが、絶妙の軽さと読み応えのバランスが嬉しい。

複雑さを増す一方の現代社会に翻弄されながら、そうは言っても俺たち庶民
は半径5mのリアルな世界でひとつひとつ問題を解決していくしかないよな、
という健全な開き直りは本作でも遺憾なく発揮されていて独特の爽快感があっ
た。

個人的には表題作「龍涙」が一番良かった。
まっとうな勤勉さと善意、そしてちょっとした「粋」があればそれだけで人
生楽しいよな、と思える一冊。

石田 衣良「龍涙(池袋ウエストゲートパーク9)」

了。



0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。

※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。