2010年12月31日金曜日

第340冊 山本周五郎「さぶ」

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  乱読! ドクショ突撃隊♪    第 340 冊
              
                       2010.12.31
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【1】読書感想 (第340冊)
  
山本周五郎  「さぶ」  新潮文庫

学生の頃読んでいただろうと勝手に思い込んでいたが、今回読み始めてみ
て、すぐ未読だった事を悟った。

何をやってもドジでグズな「さぶ」と、対照的な「栄二」。
経師屋の住み込み奉公の二人は互いに励まし合いながら、というよりは、
栄二がさぶを励まし続ける形で修行期間が過ぎてゆく。
大体こういう始まりは、颯爽と上手く行っている方に不幸が訪れる。
本書も予想した通りだったのだが、その不幸が半端ない。
ここまで何もかもが裏目恨めに出てゆくと、後半でどう落とし前をつける
のか不安になってくる。
本書の最大の読み場はこの中盤で、鬼平ファンお馴染みの石川島の人足寄
場での描写は詳細を極め、刑務所実録でも読んでいるような充実ぶり。

ただし終盤の落ち着けどころ、これは少し説教臭い。
周五郎作品全体に言えるのが「説教臭さ」で、サラリと事象だけを淡々と
積み重ねて行った方が重みがあるのに、じわじわと気付かせようと書き重
ねてゆく重圧が重い。
また、栄二が人生転落してしまう原因が終盤で明らかにされるのだが、こ
の原因はとんでもない話。
すっかり人間の出来上がった栄二だから修まるのであって、そこまで人の
人生いじくれるものだろうか、と筋に納得がいかない。

小説としては中盤まで面白くて先が読みたいばかりに一気呵成に読み耽っ
てしまう。
それだけに終盤が、明らかにされてゆくストーリーに不満が残ってしまっ
た。



さぶ (新潮文庫)

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

ありがたい。

すべてがありがたい。

すべてが。

今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月30日木曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

「損得」より

「心地いい」かどうかで判断する。


今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月29日水曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

失わないとわからないのか。

その大切さが。

今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月28日火曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

百人がつまらないという状況でも、

自分一人だけは楽しんでいたい。


今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月27日月曜日

本のご紹介です。スリー・カップス・オブ・ティー

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆話題の小説系

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スリー・カップス・オブ・ティー  グレッグ・モーテンソン
¥ 1,995  サンクチュアリパプリッシング(2010/3/25)

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1993年、アメリカ人のグレッグ・モーテンソンはK2の登頂に失敗、
下山途中に山道に迷い、パキスタンの小さな村にたどり着いた。

グレッグは父の仕事の都合でアフリカで育った。妹は難病をわず
らっており、その影響もあって、成人した彼は看護師の資格を手
にしていた。

パキスタンの小さな村、コルフェ村で彼は村人に治療を授ける。
村人と心通じ合った彼は、村に学校がないことに愕然とする。小
さな子供たちが、霜の降りた地面に座り、そこに木切れで字を書
いていた。いたいけな姿が妹に重なって見えた。

「僕が学校を建てます」。彼はこう宣言して村を去った。

アメリカに戻り、グレッグは著名人に宛てた手紙を書き始めた。
500通余り出したがうまくいかず、行き詰ったところでヘルニ博士
という人の名前を知らされた。

ヘルニ博士はマイクロチップを開発した科学者である。同時に登
山家であった。気難しい人物だったが、支援を引き出すことに成
効。寄付された120万ドルを持って、グレッグは再びパキスタンへ。

ここから、私は少し笑ってしまった。グレッグは徒手空拳、何も
知らず、何も持たない。学校を建てるための資材を発注し、山道
を運ぶのだが、そのどたばたぶりと手際の悪さにははらはらさせ
られっぱなしだった。

なんとか、コルフェ村にたどり着いたグレッグ。しかし村人は、
学校よりも橋が必要なのだと彼に話した。コルフェ村と下の町を
つなぐのは一本のケーブルだけなのだ。これでは資材を運ぶこと
もできないと、グレッグは改めて己の計画の甘さを思い知る。

何も得ないままアメリカに戻ったグレッグは、ヘルニ博士に泣き
ついた。失敗したこと、ついでに、アメリカに待たせていた彼女
にもふられてしまったこと。ヘルニ博士は橋のための金を出した。

老齢の博士には死期が近づいていた。口の悪い老人だが、子供た
ちのための学校ができるのを、彼は心底心待ちにしていたのだ。
早く建てて写真を持って来いとグレッグをせかす。

博士の助力で橋ができ、学校の建設にも取りかかった。この頃、
グレッグは新しい恋をしていた。今度は結婚にまでこぎつけ、工
事を済ませてアメリカに帰りたかった。博士の容態も気になる。

急ぐ彼に村の長老が言った。「私たちのやり方も尊重してくださ
れ。よその人が来たとき、私たちはお茶を出してともに飲む。最
初の一杯目はよそ者。次の二杯目はお客、三杯目で家族となる。
その時間を大切にしてくだされ」

欧米のやり方がすべて正しいわけではない。村には村の文化と歴
史があるのだ。その中に入り込まなければ真の理解など得られる
べくもない。グレッグはそのことを知った。

イスラムの掟厳しい山間の村だ。あるとき、アメリカ人の学校が
建てられるときいて、有力者が妨害に訪れた。逆らって建てるの
ならば、羊を十二頭差し出せと無茶を言う。羊は家族であり、大
切な財産だ。

村人は泣いたが、長は言った。「悲しむことはない。彼らは一時
の食料を手に入れたかも知れんが、我々の子供たちには学校が残
る。字が読めるようになる。そのためなら何を犠牲にしても惜し
くはない」

コルフェ村に学校が建ち、グレッグは博士の支援を受けて、ほか
の村にも学校を建てようとした。親たちはこぞって学校を求めた。

貧しいのは教育がないせいだと言う。狂信的なイスラム信者にな
るのは、まともな教育が受けられないせいだと言う。テロの温床
とは実は、教育を受けられない貧困の中にあった。

誘拐されたり、資金援助にかけずりまわったり、アメリカでテロ
リスト扱いされたり、グレッグは大奮闘。やがて8年が経ち、パ
キスタンにいたグレッグに重大なニュースがもたらされた。

「アメリカの、ニューヨークという村が爆撃された」

それがイスラム教徒の行いであると知り、グレッグの友人たちは
皆心を痛める。イスラム教徒の名に値しないと、憤慨する者ばか
りだった。

あるとき、夫を亡くした女性たちがグレッグのもとへやって来た。
貴重な、生みたての卵を手に手に持って。彼女らは言った。

「ニューヨーク村で夫を亡くした女性たちに届けてください。私
たちからのお悔やみのしるしとして」


もうここで大号泣だった。たんぱく資源の乏しい村だ。羊が一頭
解体されると、人々は祭り気分でむしゃぶりつく。大切な卵を、
同じ悲しみを味わったアメリカ人に渡してくれとパキスタンの貧
者の村が泣くのだ。傍目にこっけいなところがまた、いじらしさ
と感動をそそる。

アメリカが国を挙げて憎み、敵と定めたイスラムの女が心を痛め
ている。敵であるはずのアメリカ人のために。戦争とは何なのか、
考えさせられる場面だった。

また、教育の大切さにも、改めて思いを深めることができた。

今年を締めくくるにはふさわしい一冊と言える。

あとがきがまた最高にいい。素晴らしい「オチ」になっている。
そやな、そやなと非常に納得できた。確かに私も、グレッグ先生
は素晴らしいと思うけれど、親しく付き合っていける自信はない。
(ごめんよ、グレッグ)

最後でさっぱり笑えるのもよかった。

スリー・カップス・オブ・ティー  グレッグ・モーテンソン

No.381 石田衣良「龍涙(池袋ウエストゲートパーク9)」→ 3.5点

石田 衣良「龍涙(池袋ウエストゲートパーク9)」→ 3.5点
発行元 :株式会社文藝春秋
初版発行:2009/8/10

石田 衣良(イシダ イラ)

あらすじ

池袋商店街の一角にある小さな果物屋。
ここの若主人(兼使用人)の真島誠は、警察や弁護士でもとうてい解決が
難しい様々な事件を無料で解決してくれる若きトラブルシューターとして
池袋中の若者たちに知られていた。

悪質なキャッチセールスの被害に苦しむOL、孤独なホームレス、社会の底
辺で喘ぐ中国人労働者。
今日も真島誠の前には様々な人生の中で深刻なトラブルを抱えた「依頼人」
達が現れる。
絶好調のシリーズ第9弾。

コメント

2001年に衝撃的なデビューを飾った池袋ウエストゲートパーク(IWGP)シリー
ズも、本作でもう9巻目となった。
だいたい一巻あたり4作が収録されているので、既に35作品以上を読んだこ
とになる。

5〜6巻目くらいでは「ちょっとマンネリ&トーンダウンしてきたかな」と
いう感がなきにしもあらずだったが、7巻以降は再び面白さが増してきた気
がする。
一作目からのファンなのだが、絶妙の軽さと読み応えのバランスが嬉しい。

複雑さを増す一方の現代社会に翻弄されながら、そうは言っても俺たち庶民
は半径5mのリアルな世界でひとつひとつ問題を解決していくしかないよな、
という健全な開き直りは本作でも遺憾なく発揮されていて独特の爽快感があっ
た。

個人的には表題作「龍涙」が一番良かった。
まっとうな勤勉さと善意、そしてちょっとした「粋」があればそれだけで人
生楽しいよな、と思える一冊。

石田 衣良「龍涙(池袋ウエストゲートパーク9)」

了。



0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。

※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

元気いっぱいのときは、人のため。

元気のないときは、自分のために動く。


今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月26日日曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

依存せず自立するためには、

その過程で「わがまま」が必須であることは事実だ。


今日も一日味わいつくしましょう。

週刊 お奨め本 第426号『路地裏ビルヂング』

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週刊 お奨め本
2010年12月26日発行 第426号
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『路地裏ビルヂング』 三羽省吾
¥1,524+税 文藝春秋 2010/7/10発行
ISBN978-4-16-329340-0
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三羽省吾を紹介するのは、これで四回目かな?
発行人けっこうお気に入りの作家です。


入り組んだ路地の、築後半世紀近く経っていると思われるおんぼろビル、「辻堂ビ
ルヂング」を舞台にしたゆるーい人間ドラマ。
感動とか涙とか愛とかそーゆードラマチックな盛り上がりはないし、ほのぼのとか
優しさとかそーゆー癒しもないけど、ふつーの人々のそれなりの頑張りが、ふつー
にいい感じです。


辻堂ビルヂング5階に、健康食品&グッズの販売会社「オーガニック・ヘルス
(株)』がある。
フリーターだった加藤は、とりあえず半年頑張って失業手当をもらう目的で、こ
の会社に入社した。おそろいの黄色いジャケット、体育会系のノリ、ノルマたっ
ぷり。同期入社はどんどんやめていく。
残ったのは、加藤、元ヤンの酒井、気の弱そうなデブの宇佐美、幸薄そうなメガ
ネ女の沼田、五十くらいのくたびれたオヤジ久米沢。
そんななか、ひとりマイペースだった久米沢の口車に乗って…。
                                「道祖神」


辻堂ビルヂングの屋上には、植木鉢やプランターが大量に置かれ、けっこうな数の
緑が茂っている。その片隅に、小さな祠。
ビルが建っている場所は、江戸時代には街道が交わる辻に当たり、道中の無事を祈
る道祖神が屋上に移されて今も祀られているのだという。

二階には「あおぞら保育園」という無認可保育園がある。
五十半ばで資格のないおばさん、種田はここで働いている。
自慢の息子は結婚して、母親を引き取って一緒に暮らしたいと毎日電話をかけて
くるが、種田は仕事をやめる決心がつかない。仕事はハードで月給は十二万ちょ
っとしかない、執着するような職場じゃないのに。
                              「紙飛行機」


> なにも持っていないただのおばさんでも、きっかけさえあれば、風を上手くつか
> まえさえすれば、まだまだ飛ぶことはできる。[…]
> おばさんは、まだ終わっていない。
> このゾクゾクを手に入れただけでも、私はもう既に飛んでいる。(108頁)


三階には学習塾「辻堂塾」。
そこでアルバイト講師をしている大貫。いまだにバイト生活の自分に忸怩たるも
のを感じている。学生時代の友人の結婚披露宴に出席し、そこで定職を持たない
海外放浪趣味の河原とトラブる。
塾の教え子は公開テストを受けたくないと相談を持ち込み、生活費は底をつき、
黄色いジャケットの男にはひそかに思いを寄せている二階の保母さんのことをか
らかわれ…。
「サナギマン」


> 「人生ってのは、敗北感の上に喪失感が重なって、そのまた上に虚無感とか脱
> 力感とか、たまには人に騙されて、そいつをぶっ殺したいような気持ちとかも
> 重なってって出来てる。つまり人生つーのはだなあ、挫折と絶望のミルクレー
> プなんだよ」(161頁)


四階には「HN不動産分室」がある。契約社員の桜井は、今日もひたすら電話を
かける。最近、このビルに続けざまに泥棒が入り…。       「空回り」

六階「辻堂デザイン事務所」の営業マン、江草。大学で故障するまで続けた野
球の無念を仕事で晴らす。がむしゃらに、やるだけやったといえるだけのこと
をやってみせたいのだ。後輩の背とは振り回されてたいへんだけど。 「風穴」

一階にはお食事処「辻堂」。おでん屋だったりカレー屋だったりお好み焼き屋
だったりホルモン焼き屋だったりするが、店員は常に同じ。そして、とにかく、
まずい。ここで置物のようにちんまりしている管理人が、辻屋の歴史を振り返る。
「居残りコースケ」


ばかばかしくもナサケナイ、おんぼろビルで出会う人々の日常ドラマ。
頑張ってる人も、流されてる人も、ちょっとだけ前向きな人も、困ってる人も、
いろんな人がいて、それぞれの事情のなかでそれなりに毎日を生きている。
同じビルのなかで毎日顔をあわせ、だけど名前も知らない仲の、不思議な距離感。

上に引用した「人生ミルクレープ」、ここだけ読むとなんかマジメにいいこと
言ってるっぽいですが、実はそうとうお間抜けです(爆)。映像を思い浮かべて
しばらく思い出し笑いが続きました(笑)。三羽省吾って、こういうの、うまい
よねー。



『路地裏ビルヂング』 三羽省吾

2010年12月25日土曜日

第339冊 奥田英朗「イン・ザ・プール」

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  乱読! ドクショ突撃隊♪    第 339 冊
              
                       2010.12.25
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【1】読書感想 (第339冊)
  
奥田英朗  「イン・ザ・プール」  文春文庫

精神科医と患者のとんでもエピソードからなる、短編5編。
こいつぁ面白いや、と第1編(憂鬱脱却のため水泳にのめり込む話)は
読んだが、編を追う毎にインパクトが弱まってくる。
ベストセラーになって、映画化されて、本書の次回作「空中ブランコ」は
直木賞と、今じゃ奥田英朗の出世作となったわけだが、奥田作品全体を
見通せばそこまで評価できるかな?というのが正直な感想。

総合病院の御曹司?は精神科医で、各科で放り出された患者が最後の頼み
と精神科のある地下にやって来る。
思い起こせば、各学年で一二を競う天才秀才は医者になっている可能性が
高い。
そんな彼らは、明朗活発でスポーツマンというより、一癖あるおとなしい
人が多かった。
そこへ以って、開業医の子供であるわけだから、少し変わった医者がいる
設定は実にノーマル。

変わった精神科医に、変わった症状の患者がやって来る。
治療法も変わっていれば、成り行きや結末も変わっている。
小説としてはなかなか良く出来た基本設定なんだが、これが何パターンも
続くと胸焼けしてくるのは私だけだろうか。

面白い事は確かだから、各編、時間を空けて時々読んだ方が良かったのか
も。
もしくは数冊の短編集を著者も変えて、交代交代しながら読めば良かった
のかも。
そうは言いつつ、当然次作「空中ブランコ」は読むつもり。
奥田英朗自体は大好きだから、これからも読んでいきたい。


イン・ザ・プール (文春文庫)

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

戦争なんて絶対亡くならないと言う人よりも、

なくそうともがいている人のほうが好きだ。

今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月24日金曜日

本のご紹介です。「普天間」交渉秘録

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆社会派、ドキュメンタリー系

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「普天間」交渉秘録  守屋 武昌
¥ 1,680  新潮社 (2010/7/9)

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クリスマスなのに。アホのくせにに。いろんな意味で勘違いの
チョイスとなってしまったが。

しかしいい本だった。何より文章がいい。硬質で理路整然として
いて、その上情景描写も素晴らしい。冒頭の、沖縄の海の描写を
読んで、素敵な冒険小説が始まるのかと思ったほどだ。

だが、難解でもあった。もともと政治に詳しくはない。事態や人
が入り乱れ、正確に読めた自信はない。種々読み間違いがあるか
もしれないが、自分なりにわかったことをまとめておきたいと思
う。

守屋氏は防衛次官という職にあって、普天間基地返還の仕事に長
く関わってきた。本書ではその経緯と、著者なりの自衛隊考察の
がつづられている。今日のメルマガでは、普天間基地返還交渉に
ついての部分を主にご紹介したい。

まず、アホの私が驚いたのは、普天間基地返還については、日米
の合意がすでになされていたということ。住宅地の中にあるこの
基地の危険性は、アメリカも十分承知だということだ。

1996年、普天間基地については、海上施設を作ってそこに収容す
ることに取り決めがされていた。名護市の沖に埋立地を作って、
そこに基地を移転するつもりだった。

しかし、沖縄が求めたのは「移動」(本書では単純返還という言
葉が使われている)ではなく、県内からの完全撤去だった。基地
を他県に移せというわけだ。

それを受けて、海上に空港を作る案が提出される。最初は軍用空
港で、後に民間用として沖縄に払い下げられる予定だった。稲嶺
県知事はこれを是として公約に掲げ、当選した。

海を埋め立てるにはアセスメントが必要である。環境を調査し、
影響がないよう配慮がされなければならない。この費用は当初、
沖縄が持つとされたが、知事は費用を出すことを渋った。

政府が金を出して調査を開始すると、妨害の動きが見られた。調
査する民間会社の人間に対して、小船に乗った市民の嫌がらせが
続いた。

やがて、沖縄で事業を手がけるある有力者から「浅瀬案」が提出
される。辺野古近くの浅瀬を埋め立てて、ここに滑走路を作ろう
というのだ。

驚いたことにこの案は、日本政府の頭越しに米国にも持ち込まれ
ていた。沖縄県民から出されたものだ。これで交渉が進むと思っ
たが、浅瀬を埋め立てるのは環境に最悪の影響をもたらす。環境
団体を敵に回すことは必至と考えられた。

小泉元首相はこの案を認めなかった。自身、環境団体に敵視され、
選挙運動が危なくなった経験がある。彼らと対立してはいけない。
また、ジュゴンなどの海洋生物への保護も必要であった。

沖縄は浅瀬案を押す。この辺が奇怪なんだけど、彼らはこの案が
通れば、環境団体が動き始めることを知っているのだ。実質的に、
実現不可能な案であった。

(ここで改めて書いておくけれど、この本は自衛隊の「中の人」
によって書かれたものである。沖縄には沖縄の主張がもちろんあ
ることを忘れてはいけない。しかしこの本を読む限りでは、沖縄
の交渉術は非常にしたたかであり、狡知であるように見えた。)

守屋氏は対抗して、キャンプシュワブの延長上に土地を確保して
滑走路を作る「L字案」を唱える。これなら海への影響は最低限で
済む。

以後、交渉はこの案をメインに進み始め、滑走路をV字型にすると
いう修正が加えられる。

防衛省が窓口となる交渉であるが、沖縄は外務省につてを作り、
省庁同士の争いを引き起こそうとする。V字の滑走路の角度にもこ
だわりを見せ、交渉は遅々として進まなかった。

この間、防衛省の不祥事もいくつかあった。そのたびに守屋氏は
批難の的とされ、また、彼自身を陥れようとする動きもあった。
小池百合子議員などは、沖縄の言葉に篭絡され、交渉の場で一人
反対の陣を張ったこともある。

だがその後、小池議員は梯子を外された格好になり、「なんだっ
たの?」とぼやく羽目に。


守屋氏の日記をもとに書かれたもの。様々な人が実名で出てくる。
大臣が何度か変わり、そのたびに状況も変わるさまには、読んで
いて頭が痛くなるほどだった。

なぜ沖縄はこうまで交渉を引き延ばそうとするのか。はっきりと
書かれてはいないが、あとがきで基地の周辺に落ちる金が、利権
があることが示唆されている。

このあとがきでは同時に、基地周辺に住む一般市民についても言
葉が添えられている。安全を脅かされ、不安なままで過ごす人た
ちが沖縄にはまだたくさんいる。

その人たちのことを、一番に考えなあかんはずやんな。


本日ご紹介の本はこちらから↓
「普天間」交渉秘録

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

語ろう、理想の人類の在り方を。

想像しよう、最悪の事態を。


今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月23日木曜日

第338冊 紀田順一郎「古書収集十番勝負」

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  乱読! ドクショ突撃隊♪    第 338 冊
              
                       2010.12.23
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【1】読書感想 (第338冊)
  
紀田順一郎  「古書収集十番勝負」  創元推理文庫

神田神保町の古書店。
老人店主の余命は、あと1年ももつかどうか。
後継者は二人、同居して病人介護を十年努めた長女の夫と、店主の後釜を
狙って途中参加してきた次女夫婦。
倫理的には長女の夫であり、この店に長く勤めてはいるが本の知識が浅く、
事務的で商売上手とは言えない。
一方次女の夫は浪花の商人。コテコテの大阪人で、東京人が大阪人に持つ
イヤな面全開な人物。
ただし本の知識や商売のからくりに精通しており、こすっからくて目端が
利く。

この二人の婿に対し、老人店主は古書収集十種で競わせる。
これは古書に対して深い洞察のある著者ならではの本領発揮であり、古書
界でどういった本がお宝なのか、古書収集の醍醐味がどこにあるか、など
滔々と語られてゆく。
ここが本書の白眉。

著者としては、古書界の裏話とミステリを絡めたかったんだろうけど、正
直、古書の裏話だけの方が面白い。
「ミステリが何が何でも大好き」という私ではないので、こんな感想にな
るのかもしれないが、素晴らしいミステリになってるとまでは言えない。
古書に絡む大半は素晴らしい面白さで、このあたりを短編集みたいに一編
一冊で紹介してくれた方が嬉しい。

何はともあれ、本好きの私にとっては実に面白かった。
最終盤、いよいよ十番勝負が大詰めになったとき、完全に密室紛失事件に
なってしまうのは白けてしまい、著者はつくづくミステリとして書いてた
んだなぁと思った。

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

「前向き」とは、

プラスの側面だけを見るといいう意味ではなく、

光も影もすべて抱えたまま前に進むことだ。


今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月22日水曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

雨の日だからこそ、できることはたくさんある。


今日も一日味わいつくしましょう。

本のご紹介です。超雑学 読んだら話したくなる 世界史

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆世間話、時事ネタ系

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超雑学 読んだら話したくなる 世界史  宮崎 正勝
¥ 1,365  日本実業出版社 (2010/8/31)

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大人になって学校に縁がなくなって、かえって学ぶことの意義や
楽しさがわかったような気がしている。

そんな人は少なくないのか。去年あたりから、山川出版の教科書
がよく売れているのだそうだ。日本の歴史、世界の歴史をじっく
り学びなおしたいと思う人が増えているらしい。

そこで手に取ったのは世界史のトリビア、小ネタが集められた本。
世界史の授業中に先生がおまけに付け足して、話してくれたよう
な話だ。えてしてそういう話ばかり、覚えているものなんだよね。

・紀元前一世紀頃。この頃ローマの市民は120万人。そのうち半数
は無職だった。属州に重い税負担を押し付け、ローマ市民は娯楽
にふけっていたのだ。

「すべての道はローマへに通ず」。この言葉通り、たくさんの道
路が建設されたが、これは失業対策だった。それでも仕事を供給
できず、結果、五世紀末には一年の半分175日が休日と定められる
ことに。ローマの休日は数え切れないほどあった。

・応援の際に発する「フレーフレー」は、ヨーロッパを制服した
モンゴル人の雄たけびに由来するもの。彼らの雄たけびはロシア
語で「ウラー」、ドイツ語で「フラー」、後に英語で「フレー」
と言われるようになった。

ハンバーグの起源もモンゴル人である。彼らは遠征の際、馬をつ
ぶして食べることがあった。生肉を刻んで草に混ぜ、柔らかくし
て食べた。これがタルタルステーキの起源であり、後に火で焼く
ハンバーグステーキに変わった。

ハンバーグステーキはヨーロッパからアメリカにわたり、パンに
はさまれてハンバーガーに、そして世界を席巻している。

・スペインによる南米大陸の支配。南米大陸から多量の銀が欧州
へ渡った。結果、銀の価格が大暴落、品物の流通が盛んになり、
経済が活性化した。

スペインはイスラム教徒に支配されていたフィリピンも占領した。
中国の明とはここで貿易を行っており、南米の銀は明にも流れこ
んだ。明は銅の不足に悩んでいたが、銀の流通量が増えたため、
それを貨幣にすることができた。明の税制が整ったのも、新大陸
の銀のおかげなのである。

・アメリカンコーヒーとは、従来より薄いコーヒーを指す。

イギリスの植民地であったアメリカ。紅茶に高い税金が課され、
憤った市民はついに本国に対して独立戦争を起こす。戦時中、紅
茶の輸入が制限されたため、コーヒーが盛んに飲まれるように
なった。ミルクもなく、砂糖もなしで、薄いコーヒーがよく飲ま
れるようになったのだそうだ。

・1914年、セルビアの首都サライエボで、セルビアの民族運動を
威圧するための大演習が行われた。オーストリア陸軍によってだ。

このとき、セルビア人の暗殺団七人が都市にもぐりこんでいた。
その中の一人、19歳のセルビア人青年がオーストリア皇太子夫妻
を銃で暗殺。激怒したオーストリアは、彼の裁判をセルビアに求
めた。

セルビアはその要求の大部分を飲んだが、オーストリア世論は収
まるところを見せず、宣戦布告を行った。その後、スラブ人の盟
主としてロシアが参戦。ヨーロッパ中を巻き込む大戦となった。

第一次世界大戦は、始まった当初は短期決戦になると思われてい
た。一人の青年が放った一発の弾丸が、欧州全体を暗い戦火の渦
に巻き込んだのだ。


各章ごとにまとめが載せられていて、大まかな歴史の流れが把握
できるようになっている。

わずかなこと、ちょっとしたことが影響しあって大きな流れにな
るというのがよくわかるように説明されていた。物語風の記載だ
から、楽しく歴史を理解できるのね。それがうれしかった。

もう年号ばかり、覚えなくてもいいんだもんね。こういう学び方
もあっていいと思う。

超雑学 読んだら話したくなる 世界史

2010年12月21日火曜日

本のご紹介です。伝える力

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆ビジネス、営業系

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伝える力  池上 彰
¥ 840  PHP研究所 (2007/4/19)

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2007年と古い本だけど、今年異例の売れ行きを記録したらしい。
近所のコンビニなんかにも置いてあってね、おばさんたちが「池
上さんの本だって」と手にとって眺めたりもしていた。

2010年、池上さんの大ブレイクを記念して。また、内容もとても
よかった。勉強になる箇所が多くて、珍しくふせんを片手にしな
がら本を読みすすめていた。

解説がわかりやすいと評判の池上さん。彼の「伝える力」は「週
間こどもニュース」という番組で培われた。

「週間こどもニュース」は子供に時事問題を説く番組。相手が子
供だから、難しい言葉を使って説明するわけにはいかない。子供
たちが納得するまで説明をしてあげなくてはならず、いい加減な
知識では通用しないことを実感された。

池上さんは考える。「自分がわかっていないことを、正確に、わ
かりやすく伝えることは不可能だ」。

自分が知らないこと、わからないことは素直にそうと認めよう。
事実に対する畏れを持たずに、真の理解を得ることはできない。
「自分がいかに物事を知らないか」。それを知った上で学び続け
ることが大切だ。

人の気をひく「つかみ」も用いるようにしたい。池上さんは講演
のとき「日本経済が回復したのは小泉首相のおかげ」と話し始め
るのだそうだ。

人々は「エッ?」という顔をする。すかさず、「小泉さんは何も
手を打たなかったので、企業が自力でがんばったのですね」と口
にして、観客の関心をぐっと引き寄せる。

また、伝える力が発揮されるのは会話においてだけではない。文
章を書くときでも、注意すべき点はいろいろとある。

文章力をアップさせる近道は、優れた文章を書き写すことだ。池
上さんご本人も、NHKの記者時代は先輩記者の文章を写して勉強さ
れていた。

独りよがりにならないために、客観的な視点を持つようにもした
い。文章を書きながら、常に「もう一人の自分」を意識するよう
にしたい。池上さんは原稿を書いて自分でツッコミを入れ、さら
なる改良点を見つけるようにされている。

また、書いた原稿はしばらく寝かせて、プリントアウトして読み
返すようにもしている。すると誤字脱字など、画面ではわからな
かったことが見えてくる。

音読するのもよい方法だ。ビジネス文書などでも、声に出して読
んでみると、そのリズムの悪さに気づくときがある。文章のリズ
ムを整えると、読みやすい文章が書けるようになる。

先輩や上司に読んでもらうのもいい。あらかじめ人に話して、反
応を見る手もある。カタカナは多用せず、伝わりやすい、面白く
読んでもらえる工夫をしたいもの。

「そして」「それから」は極力省く。「ところで」「さて」も使
わないようにする。ビジネス文書では「いずれにしても」という
言葉も避けたいもの。これを使うと、前述の言葉に説得力がなく
なってしまう。

よい言葉、豊かな語彙を得るためには読書が不可欠。できれば小
説を読みたいもの。語彙も増えるし、別の人生を知ることで視野
が広がる。ビジネス小説などを読むと、自分の立場に重ねて楽し
く読むことができるだろう。


講演をしたり、難しい文章を書くための本ではない。基本的にビ
ジネス書であって、社会の中で上手に自分の言いたいことを伝え
る方法を書いたもの。

とてもわかりやすかったし、すぐに取り入れられることが多いこ
とがよかった。

ビジネスパーソン向けに書かれた本だけど、どなたにでも役に立
つことが見つかると思う。ご興味のある方はぜひ。

伝える力  池上 彰

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

天国はと地獄は、


自分の心の中にあったんだ。


今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月20日月曜日

本のご紹介です。魚ガールの 築地でうまい魚 食べ歩き

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆生活、ほっこり系

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魚ガールの 築地でうまい魚 食べ歩き 二枚貝、監修・生田與克
¥ 1,260  中経出版 (2010/9/4)

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山ガール、森ガールのお次は魚ガールということらしい。

テレビ朝日の「おかずのクッキング」、番組HPに連載されたイラ
ストエッセイ。二枚貝なるユニットが、築地に出向いて旬の魚を
レポートするというもの。

先生役は築地のマグロ中卸店「鈴与」の三代目、生田のアニキと
呼ばれる方。この方がおいしい魚の食べ方や、見分け方を教えて
くれる。

春 アジ、ホタルイカ、イワシ、イイダコ、タイなど。

中でもイワシは昔から、日本人の食生活に大きく関わっている。

幼いものはシラスと呼ばれる。シラス干しにされる魚だ。釜茹で
にして、干したものがシラス干し。これをさらに乾燥させるとち
りめんジャコと呼ばれるそうだ。(関西人の私はちりめんジャコ
しか知らなかった。関西では、シラス干しはめったに見ない)

大きく育つとメザシになり、煮干になる。塩焼き、つみれにして
もうまい。「七回洗えばタイの味」なんてことも言われるそうだ
が、庶民の暮らしに密着している魚であるのだ。

さばくときは、梱包に使うビニールバンドを利用するとよい。え
らの後ろの辺りに当てて引くと、簡単に三枚おろしができる。

夏 イサキ、サケ、アユ、タカベ、シンコ、コチなど

シンコとはコハダの幼名。4、5センチの頃をそのように呼ぶ。初
物好きの江戸っ子はこの魚がたいそう好きで、今でも初せりは高
値になるのが常のこと。

この魚、コハダになってもコノシロになっても、酢じめで食べら
れることが多い。焼くと人肉を焼くようなにおいがするそうなん
だけど、誰にも真偽はわかんないよね。

シンコはさばくのにも手間がかかるから高い。銀座の寿司屋では
数万円もすることがある。シンコとコハダは脂ののりの違いでわ
かる。旬の魚を知っておくと、寿司屋で一目置かれるようになる。

秋 ハゼ、サンマ、シシャモ、イクラ、エビ、サバ

サンマのおいしい食べ方。焼き魚だけじゃないんだなと、まさに
目からウロコだった。

サンマを三枚におろして塩をふる。15分ほど置いて、酢水(1対1)
につける。これだけでさっぱり、たくさん食べられるようになる。

また、味噌にみりん、ねぎを混ぜたねぎ味噌を、背開きにしたサ
ンマにはさんで焼いてもよい。安くておいしい庶民の味方。いろ
んな食べ方で味わいたいもの。

冬 タラ、アンコウ、ホタテ、ヒラメ、サワラ、カキ

タラとホタテ、私がぜひ、やってみたいと思う料理があった。

タラ豆腐 つけ汁を作る。煮切った酒にしょうゆとほぐした鰹節、
ねぎを入れてつけ汁とする。容器に入れる。

鍋に湯を張り、つけ汁の入った容器を真ん中に置く。豆腐とタラ
を湯の中に入れ、つけ汁につけながら食べる。湯豆腐みたいに楽
しめばよいらしい。

ホタテのカレースープ ホタテの貝柱、適当な貝(本書ではホッ
キ貝を使用)を水に入れて煮立て、沸騰したところにカレールー
を入れる。貝のだしとカレースープが絶妙な味。


二枚貝はアラフォー女子二人のユニット。若い女子アナをねたん
だり、男子ゲットをたくらんだり、ギャグも十分楽しかった。

知らないことを、たくさん知ることができたのもうれしかった。

無性に魚が食べたくなる。「魚っ食い」の日本人の血に訴える一
冊。

魚ガールの 築地でうまい魚 食べ歩き 二枚貝、監修・生田與克



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●年末を見据えて、そろそろプリンターの季節ですなあ。

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No.380 平野啓一郎「ドーン」→ 2.5点

平野 啓一郎「ドーン」→ 2.5点

発行元 :株式会社講談社

初版発行:2009/7/9

平野 啓一郎(ヒラノ ケイイチロウ)



あらすじ

2033年11月6日。
人類はついに火星の上に降り立った。
一兆ドルの予算と人類の夢を乗せた「ドーンプロジェクト」は華々しく成功
したことになっていたが、その裏には闇に葬られた事実もいくつかあった。
発展を続ける科学技術と、ますます混迷の度を深める社会の矛盾を鋭く切り
取った近未来小説。

コメント

「ドーン」とはDAWN、つまり『夜明け』という意味らしい。
人類に夜明けをもたらす火星行きロケットに付けられた名前だ。
人類初の火星旅行を描いたSFかと思いきや、米国軍産複合体やら生物化学兵
器やら大統領選挙やらがわらわらと出てきてどうにもまとまりようのない作
品だった。
なんと言うか、一言で言うと難解な作品。
兵士の派遣労働化とかITの究極である「散影」とか、近未来に現実化しそう
な概念の切り取り方は実にスルドクて唸らされたのだけれど、いかんせんテー
マと登場人物が多すぎてついていけなかった。

個人的な評価としては明らかな失敗作ですな。
最後の方は圧倒的な眠気と戦いながら、根性のみで読了しました。ダメ。

平野 啓一郎「ドーン」



0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。

※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

徹底的に自分の欠点と向き合うんだ。

それを活かすか、治すか、放置するかは、

自由なのだから。

今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月19日日曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

長所をガッと伸ばして、

グッと自信をつけて、

短所をサラッと認めよう。


今日も一日味わいつくしましょう。

週刊 お奨め本 第425号『木暮荘物語』

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週刊 お奨め本
2010年12月19日発行 第425号
***********************************************
『木暮荘物語』 三浦しをん
¥1,500+税 祥伝社 2010/11/10発行
ISBN978-4-396-63346-2
***********************************************


三浦しをんの連作短篇集。
世田谷線代田駅から徒歩五分の、築ウン十年の木造二階建ての木暮荘が物語の舞
台。木暮荘の住人と、その周辺の人々が巻き起こす、おかしな物語。


木暮荘203号室の住人である坂田繭が、恋人の伊藤晃生と日曜日の昼下がりにごろ
ごろしていると、三年前にふらりといなくなった元恋人の瀬戸並木が突然やって
きた。
三年間の諸国放浪を終えて帰国したばかりだという。
「住むところが見つかるまでここにいさせて。だって俺たちつきあってるだろ?」
「断じてつきあってない!」
奇妙な三角関係が始まって…。
                           「シンプリーヘブン」


木暮荘の大家である木暮氏は、年寄りではあるが、元気である。
最近木暮氏が考えていること、望んでいることは、セックスである。
きっかけは、旧くからの友人の見舞いに行ったことだった。七十を過ぎている友
人は、老妻にセックスを求めて断られたと愚痴をこぼした。それを聞いて、木暮
は俄然セックスがしたくなったのだ。遠からず訪れるであろう死のときの前に。
頼むべきは妻であろうが、妻とは遠慮のない間柄であるから断られる可能性が高
い。死の間際に妻にセックスを求め、妻に断られてがっかりしたまま死にたくな
い。…
                                 「心身」


峰岸美禰はトリマーだ。一年ほど前に引っ越してきて、近所を散歩するのも楽し
い。散歩の途中、気になるアパートを見つけた。広々とした庭に雑草が生き生き
とはびこり、薄汚れた雑種の犬が飼われている。
ああ、洗いたい。あの犬をシャンプーしてやりたい。
そんなある日、代田駅で奇妙なものを見つける。どぎつい水色をしたキノコのよ
うなもの。謎のキノコはどんどん大きくなり、いつのまにか男根そっくりの形状
になった。しかも誰もその存在に気づいていないらしい。それが見えるのは、美
禰と、駅で知り合った前田という男だけだ。
前田はミネという名のプードルを飼っている。そして、ヤクザだ。
                               「柱の実り」


木暮荘201号室の神崎は、外食産業に勤めるサラリーマンだ。
ある日、掃除機を片付けようとして、うっかり押入の奥の壁を破ってしまった。
隣室の押入との間は板一枚で仕切られているだけだったのだ。どんだけ壁が薄い
んだ! これでは階下の音が丸聞こえなのも当然だ。
空室である隣室にしのびこんだ神崎は、102号室の女子大生の生活を覗き見ること
に熱中しはじめた。
覗き見は気持ちがいい。目だけの生き物になるようだ。
                                  「穴」

他に、坂田繭の勤め先である「フラワーショップさえき」の佐伯が夫に向けるジ
ェラシーが泥の味がするコーヒーに象徴される「黒い飲み物」、「穴」で覗き見
される側の女子大生が、友達が産んだ赤ん坊を押し付けられて右往左往しながら
育児に励む「ピース」、坂田繭を諦めきれない瀬戸並木がストーカーもどきにな
って、「フラワーショップさえき」の常連客であるニジコに拾われる「嘘の味」
の、全七編収録。


共通するのは、セックス。
人と人がつながる。セックスと、人肌のぬくもりで。


> 男は花束をとおして、自身の力をアピールしようとする。金銭や自分の存在の
> 大きさといったものを。でも女は、受け取った花束から相手の気づかいや対話
> の意志を読み取ろうとする。どれだけ自分の好みを知ってくれているか、どれ
> だけ細やかな思いを注いでくれているかを。
> 男女の気持ちがすれちがうのも当然だ。[…]だからこそ、いつまでも飽きずに
> 恋ができるのかもしれない。(122頁・「黒い飲み物」)


> 並木は繭のことが好きだった。いままでに寝た女は繭しかいない。並木が肌を
> 添わせ、粘膜で粘膜に触れたことのある生き物は、地球上で繭以外にいない。
> これから繭のほかに、そういうことをしたいと思える相手が現れるのか定かで
> はない。もし現れなかったとしても、我が人生に一片の悔いなし!(229頁「嘘の味」)


「穴」に関して言えば、すべての男性に読んでほしいね!
女性に対する夢は消えるかもしれないけど、現実的に女性への理解は深まると思
うぞ。さすが三浦しをん、リアルだぜ〜。
いや、すべての女性がここまで自堕落ではないとしても。


帯や、レビューにあるみたいに「木暮荘に住みたくなる」ってことはないけど
(音がダダ漏れだったり、覗き見されたりするようなアパート、やだ!)、住
人たちがやさしいのはたしかです。

なにかあったら、駆けつけてくれる。
助けが必要なときは手を貸してくれる。

木暮荘の生活を覗いてみませんか。

『木暮荘物語』 三浦しをん

2010年12月18日土曜日

こんな本読んだよ!1012180239

『東京島』桐野 夏生 新潮文庫

夫の隆と共にクルーザーで世界一周の旅に出た清子。嵐で遭難してしまい、小さな島に流れ着いた。そこは無人島であった。
やがて、与那国島のきついアルバイトから逃げてきた日本人の若者たちが流れ着く。さらに中国籍の漁船から捨てられた中国人の男たちが加わる。
清子は「トウキョウ島」と名付けられた島の唯一の女、女帝として君臨する。果たして清子は生き延びることができるのか。救援の手は延びるのか。
無人島生活には憧れる。小さい頃、「ロビンソンクルーソー」や「十五少年漂流記」に心踊らせた人も多いのではないでしょうか。 女性を主人公にしたところが新しいですね。


東京島 (新潮文庫)

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

全部うまくやろうとして全部中途半端だった。

ひとつだけでいいんだ。

たったひとつだけで。


今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月17日金曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

楽しいことをやるんじゃなくて、

起こることを楽しむんだ。


今日も一日味わいつくしましょう。

本のご紹介です。KAGEROU

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆話題の小説系

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KAGEROU  水嶋ヒロ
¥ 1,470  ポプラ社 (2010/12/15)

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ああ、面白かった。本を読みながら、声を出して笑うなんて本当
に久しぶりだ。評判どおり約一時間で読了。わけのわかんない箇
所の戻し読みなんかしなかったら、きっと40分くらいで読めてた。

主人公はヤスオ。41歳の誕生日を明日に控える中年男。リストラ
勧告「らしき話」を受けたので自ら会社を辞め(やむを得ぬリス
トラではない、かっとして自ら辞表を提出している)、借金まみ
れになって自殺を思いついた。

行き着いたのは閉店したデパートの屋上。死のうとフェンスに足
をかけたとき、「ビリー・ジーンのときのマイケル・ジャクソン
のような」黒服の男に止められる。彼はキョウヤ。全日本ドナー・
レシピエント協会の者だと名乗った。

臓器が金になるという。借金を返して、父母に残す資産があると
わかり、ヤスオは逡巡する。ちなみにヤスオ、独身である。結婚
を考えていた女性はいたが、リストラ(?)後、別れを告げられ
てしまった。(40歳という設定にしては、どうなのって感じ)

しかし、どうせ死ぬのだしと、ヤスオはキョウヤの申し出を受け
た。組織の病院へ行き、検査を受け、よくわからんけどデパート
で心臓発作の芝居を打って(その症状が出る不思議な薬がある)、
無事ヤスオは死人となった。

そのとき、組織は精巧な人形を作って両親に見せた。ヤスオの死
を納得させるため。ヤスオは嘆く両親の姿を見て、死ぬべきでは
なかったかと悔やむ。

臓器の提供者が決まった。手術場所への移動の途中でヤスオはそ
の相手と偶然出会う。二十歳になる美しい女性だった。茜という。
彼女の助けになるとわかり、ヤスオはやや安堵する。

ヤスオが再び目を覚ましたとき、彼の体からは心臓が失われてい
た。無事茜に渡ったようだ。だが他の臓器を提供するはずのド
ナーに不慮の事故があり、心臓以外の臓器はまだ彼の体にある。

心臓のないヤスオに生があったのは、人工心臓が埋め込まれてい
たからだ。……!

人工心臓はぜんまい仕掛け。電源を外しても30秒は機能するよう
作られている。ぜんまい仕掛け!

やがて他の臓器を提供する相手が決まり、ヤスオは脱走すること
を決意した。

ヤスオが寝ているベッドには、上体を起き上がらせるためのハン
ドルがついている。リモコン操作ではない。今どき。このハンド
ルが心臓を動かす部分にぴたりとはまることがわかった。

電源が切れる30秒の間のどきどきアクション、ベッドのハンドル
を人工心臓に取り付け、ヤスオは病室の外へ。
(ぜんまい仕掛けだから、ハンドルで回せば動くらしいの)

夜である。なのになぜか、心臓病で入院していた茜と庭で再会。
この時点で手術から(つまりヤスオの心臓が移植されてから)、
二ヶ月が経ったという設定なのだけど、いいのか? 夜中に散歩
なんかしてて。

とにかく出会ってしまったので、二人は茜の秘密の隠れ家へ行く。
防空壕であったらしいその穴の中で、二人は命のすばらしさにつ
いて語り合う。

追われている自覚があるのだろうか。喉が渇いたため地上に出た
ヤスオ、捕まってしまう。彼をここに連れてきたキョウヤは、仕
事の多忙のせいなのか倒れ、

ここから最後のネタばれ

ヤスオの脳が、キョウヤの体に移植される。キョウヤとなったヤ
スオは茜に会いに行き、彼女の心臓の音を聞いた。自分の心臓が、
彼女の中で刻む鼓動の音を……。


あかん。面白すぎやろ。人工心臓大雑把すぎやし、そもそもそん
なものがあるのに、なぜ裏社会の臓器提供事業が成り立つんだ?

逃げるときにも切迫感がなく、そもそもその間も胸の前でベッド
のハンドルを回していると想像するともうおかしくておかしくて!

また、ところどころに真面目腐った「命とは」の問答が挿入され、
その重さとのバランスをとるためなのか、いろいろダジャレがち
りばめられているのもすごい。

「イギリスならジンだな。イギリスジン、なんちゃって」

なんちゃってじゃねえよなあ。

感じで言えば、以前取り上げた「王様ゲーム」みたいな感じ。山
田悠介さんが好きな人なら楽しめそうな物語だった。

しかし、いろいろ予想通りだなあ。ある意味安堵。

ファンの方はぜひ!
(としか言いようがないよ……)

KAGEROU

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●年末を見据えて、そろそろプリンターの季節ですなあ。

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2010年12月16日木曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

コミュニケーションにおいて最も大事なことは、

技術や経験よりも、相手を好きになることだ。

否、相手の中に好きな部分を見つけるんだ。


今日も一日味わいつくしましょう。

本のご紹介です。仕事に幸せを感じる働き方

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆ビジネス、営業系

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仕事に幸せを感じる働き方  横山 信治
¥ 1,470  あさ出版 (2010/12/10)

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いつの間にか、自分の結婚生活に重ね合わせながら読んでいた。

会社勤めの日々の中で、転職を考えない人は一人もいないのでは
ないだろうか。既婚者の大半が、離婚を思わないことがないのと
同じように。(え? 皆さんはお幸せですか?)

だけど理想の会社(相手)なんて、本当はどこにも存在していな
いのだと思う。奮闘努力の甲斐あって、離別が叶い、新しい会社
(相手)と出会ってみても、自分が変わらなければ元の木阿弥。
やさぐれパンダの日々再び、というのがせいぜいのオチだろう。

著者は金融関連の会社にお勤めの方。これまでに約3000人の転職
希望者に面会してきた。

だがそのうち、転職して成功すると感じられたのはわずか10人程
度。残りの2990人、つまり大半の人々は、転職しても同じ失敗を
くり返すように思われた。

転職希望者はこんな言葉を口にする。

自分は正当に評価されていない。上司が悪い。お客様のための仕
事がしたい。スキルアップ。高い給与がほしい。

しかし、自分の評価に関しては、自己評価の甘さをよく思い知る
べきである。他者に尋ねてみるといい。他人の冷静な目から見る
と、会社の評価が正当なものであるとわかる。

給与に関してもそうだ。能力にきちんと見合っているはず。自分
の市場価格は自分で決めるものである。努力する人、能力のある
人には必ず相応の評価が下される。

また、上司に関しては、不満を言っても無駄。嫌いだと思っても、
自分からあわせていくほか仕方がない。

視点を変えて見ることも大切。若いうち、部下でいるうちにはわ
からない、上司なりの仕事のやり方というものがある。よく「上
司は暇そう」という人がいるが、それでいいのだ。フォローが主
な仕事なのだから、余裕があるくらいでちょうどいい。

顧客第一主義に関してもそうである。たいていの会社は顧客にき
ちんと向き合っている。そうでなければこの厳しい状況で、生き
残っていけるわけがないのだ。

その上で会社の利益も勘案しなければならない。この辺りを勘違
いしている人がたまにいる。

スキルアップも、今いる場所で十分にできること。転職希望者は
「○○がしたい」「○○になりたい」と口にするが、「ではその
ために何か努力をしていますか?」と尋ねると黙る。今できてい
ないことが、ほかでできる可能性はないと考えるべき。

非常に冷静に、転職に対する考えの甘さを指摘している。だが同
時に、ご自分のエピソード(失敗談もあり)をはさみながら、親
身に諭そうとする優しさも感じられる。

なんとこの方、小学生の頃、落語家として活躍をされていたのだ
そうだ。修行を始めるため、落語家の弟子にしてもらうために懸
命の、しかしある意味無謀な行動を重ねた。熱意があれば門は開
くと考えている。

その頃、同じ弟子修行をしていたのがあの鶴瓶さんだった。鶴瓶
さんには「FOR YOU」の仕事の姿勢を教えてもらった。

あるとき鶴瓶さんは、師匠から「何か面白いことをやれ」と言わ
れた。そのとき彼はまだ新人で、できることはあまりない。

だが怖気づかず、鶴瓶さんは師匠の前で裸踊りを始めた。髪をふ
り乱し、一生懸命踊る姿に、人を楽しませたいという熱意を感じ
た。

鶴瓶さんは自分のためではなく、師匠のため、その場にいる人に
笑ってもらうために、できる最大のことをしたのだ。仕事にもそ
ういった姿勢で取り組みたいと思う。それが、幸せに成功する鍵
なのだと考える。


もちろん、コンプライアンスのなっていない会社など、やめた方
がいい会社もある。だけど普通の会社にいる間は、まだできるこ
とを自分の中に探すべき。

いい本だよ。こういう話ってさ、飲み屋で愚痴って説教されると、
正しいとわかっていても「俺の気持ちなんかわかるかよ」って、
やさぐれネタになっちゃうよね。

でも本が相手だとそうはいかない。理路整然としているし、文字
を追ううちに落ち着いて判断できるようになる。

できることを一生懸命やる。目の前にいる相手を好きになって仲
良くする。熱意は通じる。がんばればできる。結婚も一緒?!

仕事に幸せを感じる働き方

2010年12月15日水曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

前向きに明るく、

世の中の出来事を疑う。


今日も一日味わいつくしましょう。

本のご紹介です。英国式事件報道─なぜ実名にこだわるのか

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆世間話、時事ネタ系

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英国式事件報道─なぜ実名にこだわるのか  澤 康臣
¥ 1,800  文藝春秋 (2010/9/28)

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副題を見落としていた。面白事件簿かと思って読んだら、けっこ
う真面目な、報道に関する問題提起の本だった。

とはいえ、イギリスでの事件報道の実態が興味深く、読み始めれ
ばそれなりに読める。やや内向き、業界向けのきらいは残る。

著者は通信社で社会部の記者をしている。一年休職をとり、英国
オックスフォード大学でジャーナリズムを学んだ。その折に感じ
た日英の報道の違いを本書にまとめている。

売春婦が殺される事件があった。それも四人連続で。過去に起き
た「切り裂きジャック」を思い起こさせる、凄惨でセンセーショ
ナルな事件だった。

著者が驚いたのは、新聞がこの事件の詳細を連日、大きなスペー
スを取って報道したことだ。被害者の実名も当然のように出た。

親や知人、友人のコメントも、やはり実名で報道された。被害者
の親の中には、娘の職業を報道で知らされた者もあったようだ。

日本なら考えられないことである。被害者の職業からして、まず
扱いに繊細さが求められる。また日本では、事件被害者の実名を
出さない動きが近年はより強まっている。

だが英国の新聞は実名を出し、顔写真を出し、その人生を克明に
追った。同じ仕事をしている女性にインタビューをして、「15ポ
ンド以下では何もしたことがない」という、強烈な記事を載せた
新聞もあった。

説明を加える。15ポンド以下ではしたことがないとはつまり、そ
の金額以下では仕事を請けたことがない、性交渉をしたことがな
い、という意味だ。

15ポンドはヘロイン一袋が買える、最低の金額である。その言葉
は彼女らが麻薬の常習者であり、そのために売春をしていて、さ
らに足元を見る客が多いことを物語っている。彼女らの仕事の深
くにまで、切り込んだ記事と言えた。

一方で事件の経過や、警察からの発表はそれほど重要視されない。
英国の新聞は、事件を通し人を描き、社会に問題を提起するのが
その役割と言える。

事件関係者の名前を秘することは、彼らの存在を記号にすること
だ。その生い立ちも、その人生も語られることがなくて、どう
やって事件を「人の物語」ととらえることができるだろうか。

ニュースとはつまり、歴史の一場面なのである。それが無味乾燥
で語られることは果たして正しいのだろうか。その人の姿を伝え
ることが、本当の報道ではないのかと、自身の仕事を振り返りな
がら著者は苦悩する。

とはいえ、英国でもやはり、事件を語りたがらない関係者も多い。
また、パブリックの観念が広まっていることから、一度表に出た
情報は公的なものとされ、以後長く使われても文句を言えない状
況ができている。

事件被害者、関係者はそのことを語りたいと思うことがある。
知ってほしいと思うのだ。だが事件の興奮、混乱が終わると、話
したことを後悔することもある。英国の報道にもやはり問題はあ
る。


たくさんの情報提供者とやり取りをするジャーナリスト。リスト
ラにおびえ、薄給ながらも仕事にやりがいを見出す記者。英国の
報道機関の内側がよく描かれている。ご興味のある方はぜひ。

まあでもな、本音を言わせてもらうと、私は新聞やテレビで「事
件の内側、人の物語」なんか、見たくも読みたくもないと思って
しまうなあ。

申し訳ないけど、そういうことが今の報道にできるとは、本当に
生意気だけどあんまり期待できないんだなあ。いやーな気持ちに
なりそうな気がする。ついでだけど、海老蔵ネタには飽きた。

(ごめんなさい。ワイドショーのあり方は、海老蔵さんご本人に
はまったく関係のないことです。お早い快癒をお祈りしています)

まああんまり、被害者の方、事件関係者の方がいやな思いをされ
ないような報道をしてほしいと思うわね。それが一番よ。

英国式事件報道─なぜ実名にこだわるのか  澤 康臣




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2010年12月14日火曜日

本のご紹介です。わたくしが旅から学んだこと

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆世間話、時事ネタ系

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わたくしが旅から学んだこと 80過ぎても「世界の旅」は継続中
ですのよ!  兼高 かおる
¥ 1,575  小学館 (2010/9/1)

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世界中を旅してきた兼高かおるさんが、ご自身の人生についてつ
づったエッセイ。

旅のことももちろんだけど、ご自分の老いをしっかりと見つめて
おられる姿には感動した。飾りのない、うそ偽りのない文章を書
かれる方なんだよね。非常に冷静で、ごく自然に受け止めておら
れる。毅然、という言葉がぴったりのエッセイだった。

兼高さんのお母様は明治のお生まれ。しっかりした働き者で、昼
のうちから夕飯の下ごしらえをしていたのだという。品数は多く、
家族にたくさん食べさせるために、お母様は食事の間も台所と食
卓を一人往復しておいでだった。

このことが兼高さんを結婚から遠ざける一因となった。仕事をし
て、家事まで完璧にこなす自信がない。今のカップルを見ている
と、早く生まれすぎたのかなと思うこともあった。

お母様は自由な考え方をする方だった。兼高さんは学校では問題
児だったが、お母様はまるでそのことを気になさらなかった。勉
強をさぼって本を読んでいても、叱られることは一切なかった。

戦後、兼高さんはアメリカに留学する。ここでは体重が激減する
くらい、必死に勉強した。先生のサポートもあって、アメリカで
勉強することはとても楽しかったようだ。

だが病を得て帰国。このことを、兼高さんはちっとも悔やんでは
いない。兼高さんは人生を「運次第」だと考えている節がある。

運任せというのとはもちろん違う。だが人には与えられる運やめ
ぐり合いのようなものがあって、それを活かしていくことが大切
だと考えている。人にはそれぞれの道がある。よいも悪いもなく、
人生とはそういうものだと悟りに似た感覚を持っている。

英語ができるので、インタビューの仕事が舞いこみ、やがて外国
を取材する番組の依頼が舞いこんだ。「兼高かおる世界の旅」の
前身だ。

かつてなかった類の番組で、手本にするものがないのが幸いだっ
た。自由に、思いのまま番組を作ることに決めた。

車の中で、兼高さんの指定席は助手席。窓から外を眺めながら、
目に付いたものをかたっぱしから取材することにした。「兼高さ
んが通った後にはなにも残っていない」と、言われたこともある
ほど。

珍しいもの、変わったもの、世界の風景を視聴者に届けようと必
死だった。市場に行き、有名な人に会い、外国の光景をテレビで
伝えようとした。着物を着、真珠を身に着けラジオを持って、日
本の産業をアピールするつもりでも歩いた。

兼高さんは、仕事と結婚したようなものだ。兼高さんのだんなさ
まは、「兼高かおる世界の旅」。もてる力の9割を、番組に注いだ
ものだった。

やめた今でも、旅は続けている。一人でふらりとミュージアムに
出かけたり、日本の名所をめぐったりしている。

日本は素晴らしい国だと思う。世界を見てきて、日本ほど自然が
豊かで、恵まれた国は珍しいのだと実感している。日本のよさも、
多くの人に知っていてもらいたい。

若い頃との違いも最近は感じ始めている。一緒に世界を回った仲
間が、一人一人世を去っていくと、思い出話ができなくなる寂し
さを感じる。

だから若い人とも付き合うようにしている。世代が違うと話も違
い、これはこれで楽しい。

若い頃のことで悔やまれることの一つは、ずっとノーメイクでい
たこと。大きなシミができて困っている。指先の動作にも遅れが
見られ、老いてきたことを実感している。

一度夜中に体調が悪くなって、入院する羽目となった。そのとき、
携帯電話を枕元に置いていなかったことをひどく悔やんだ。また、
母がしていたように、衣類や下着の整理がついていなかったこと
も後悔の種となった。

またいつか、そのときのために、入院に必要なものはしっかり整
えてある。いざというときのために備えることは、決して後ろ向
きなことではない。


旅に持っていく荷物が、紹介されていたのが面白かった。兼高さ
んはゴムでできたベルトを必ず身に着けていたのだそうだ。

メモをしたノートをベルトにはさむため。ノートを一度、置き忘
れたことがあったため、体から離さない工夫をしたのだ。何より
大切なものだから。

字、大きめ。言葉がとてもきれいなので、読んでいて背筋が伸び
る思いだった。

わたくしが旅から学んだこと 80過ぎても「世界の旅」は継続中ですのよ!

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双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

深く考えるということは、

ひとつのことに囚われることとは異なる。

今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月13日月曜日

本の紹介です。誰のうえにも奇跡は降りてくる

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆自己啓発系

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誰のうえにも奇跡は降りてくる  はる
¥ 1,260  PHP研究所 (2010/6/17)

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著者のはるさんは沖縄のユタ。では、ユタとはいったい何なのか。
本書からその答えになる部分を引用してみたい。

「ユタは一般人と同じように生活し、一般人を相手に霊的アドバ
イスを行うことを生業とする在野のシャーマン、カンナギ。沖縄
の人の自警団。

パブリックな場所には存在せず、住民達の先生として地域に存在
し、先祖を祀るだけでなく、現在の生活の悪いところを指摘した
り、幸せの方向にいける方法を教えたりします」

霊的な存在であると同時に、俗世間的な問題にも通じる地域の相
談役のようなものであるか。集団の中に、こういう人を置くのは
古来からの知恵なのかもしれないな。

そんでもってこのはるさん、これまで16万人の人から相談を受け、
カウンセリングを行ったのだそうだ。伝説のユタと呼ばれている。

本書には、その経験から得た人生の知恵、処世術がまとめらえて
いる。女性向けのきらいはあるが、恋愛に偏っているわけでもな
く、誰が読んでもためになる部分はあると思う。

・女性の恋愛について

思い込みは捨てよう。「若くないから恋愛ができない」と悩む女
性が大勢いる。だが「男性は若い子が好き」というのは単なる思
い込みでしかない。

年下の彼とうまくいかなくて悩む女性に、「あなたからアプロー
チしてごらん」とアドバイスすると、たいてい、すんなりとうま
くいく。しっかりした男性は、大人の女性のよさを知っている。

・仕事について

男性社会である。女性はまずそのことを知り、うまく合わせた生
き方をしよう。先を見据え、ニコニコ笑っておなかを開かせ、ず
ばりと切り込んでいくのも一つの方法である。

会社での出来事はすべて「お仕事」。人との関係もお給料のうち
だ。仕事でも恋愛でも、最後に勝つのは人を見る人、相手の出方
を見定めることができる人。会話のキャッチボールを楽しみなが
ら、相手にしゃべってもらうことがうまく事を運ぶコツ。

・人生について

体を動かすと運気があがる。動いてから考えるのも一つの手。そ
の場合、失敗したらさっと方向転換する柔軟性も大切である。

運気には予兆がある。たとえば交通事故。事故を起こす前の行動
を見直すと、かすったり、石が飛んできたり、何かしらのよくな
いことが起きているとわかる。

予兆を早めにつかんで対処しよう。その際、悪いことのあとには
よいことがあるのだからと、恐れず希望を持ち、明るい心持でい
ること。

ネガティブな自分がいやになったら、その思考や行動を変えよう。
性格や性質を変えようと思ってはいけない。無駄だし、無理だし、
とても大変なことだからだ。口に出す言葉を変えるだけで、ずい
ぶんと多くのことが変化してゆく。

それでもマイナス思考が抜けない人は、これまでの自分に感謝し
て別れを告げよう。

マイナス思考に陥っていたのは、それなりの理由があることだし、
必然性があったこと。だがその自分はもう必要はなくて、新しい
自分に生まれ変わろうとしている。

一つの役が終わったと考えよう。「もういいの、これまでありが
とう」と言って、辛かった役目を捨ててしまう気持ちで。希望が
あれば人は死なない。


オーラを見る方法が紹介されている。手を壁にかざし、3D画像を
見るような感覚で手と壁、両方に焦点を合わせる。すると手の先
から見えてくるものがあるのだそうだ。

一瞬、その気になってやってみたけど、私には当然のように無理
だった。面白そうだとは思うんだけど。

誰のうえにも奇跡は降りてくる

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No.379 江國香織「落下する夕方」→ 3点

江國 香織「落下する夕方」→ 3点
発行元 :株式会社角川書店
初版発行:1996/10/30
江國 香織(エクニ カオリ)

あらすじ

別れは突然だった。
8年間を一緒に暮らし、私と私の幸福のほとんど全てを形づくっていた男、
健吾が突然私の元から去っていったのだ。
理由は新しい女。

実にまあ良くある話だが、自分の身に起こってしまうと骨身にこたえた。
そして、話しはそれで終わらなかった。
あろうことか、健吾が好きになった女、華子が家に転がり込んできたのだ。
私と華子の、奇妙な共同生活のはじまりから終わりまでを描く。

コメント

なんとも女性らしい視点の作品だなあというのが読後の第一感想。
感性と理性、感覚と思考、ココロとアタマ、主観と客観、いろいろあるけど
常に前者を優先させるのが女性だと言う思い込みが私にはあって、その観点
からいうと本作はいかにも女性的だ。

別に詰まらなくはなかったけど、梨果にも華子にも付いていけねーやと思っ
た箇所がちょこちょこあった。
ちょっと前に「話を聞かない男、地図が読めない女」という本が話題になり、
読んでみて男と女の考え方というか成り立ちの違いみたいなものに「なるほ
どなあ」と感心した記憶がある。

曰く、男と女の最大の違いは「自分」と「外の世界」との捉え方にあるらしい。
確かに個人的な意見としても男は自分というものをどこかで客観視していて、
「まず世界があり、その中に自分が居るのだ」という俯瞰的な認識があるよう
に思う。
対して世の女性は自分という境界線がもの凄く強固であり、「まず自分があり、
それを取り巻く周囲の環境として世界はある」という構図で世の中を見てらっ
しゃるような気がしている。(もちろんどちらが良いとか悪いとかいう話しで
はありません。)

本作は、そういった直球ド真ん中の「オンナ」を梨果と華子という二つのキャ
ラクターの視点からじっくりと描いていて、ふたりの中間にいる健吾が、まる
でテニスボールのように梨果と華子の間を行き来する状況がなかなか面白かった。

まあしかし、男の立場から読んでると、やっぱ女性はよく分からんわいと思って
しまう部分もあるお話しでした。。

江國 香織「落下する夕方」





0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。

※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

家族の大切さを知るほど、

自分の大切さに気づくようになった。


今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月12日日曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

何もない平和な日が、

かけがえのない一日だと常に思える人でありたい。


今日も一日味わいつくしましょう。

週刊 お奨め本 第424号『パンとペン』

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週刊 お奨め本
2010年12月12日発行 第424号
***********************************************
『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』 黒岩比佐子
¥2,400+税 講談社 2010/10/7発行
ISBN978-4-06-216447-4
***********************************************


11月に逝去したノンフィクション作家・黒岩比佐子氏の、最後の著作。
副題の通り、堺利彦と「売文社」がテーマ。


堺利彦は、日本の社会主義運動の先駆者、思想家、啓蒙家。
のみならず。
社会主義者で投獄された第一号、女性解放運動に取り組んだフェミニスト、海外
文学の紹介者で翻訳の名手、言文一致体の推進者、平易明快巧妙な文章の達人、
憲兵隊に命を狙われた男。Etc…


発行人は不勉強で、日本の社会主義史をよく知らないんですけど、太平洋戦争以
前の日本が社会主義者にとってつらい時代であったことくらいは、そりゃわかる。

日露戦争開戦の前年、堺利彦と幸徳秋水は平民社を創設し、週間『平民新聞』を
発行して戦時下に反戦運動を続けた。
平和という理想に燃えた平民社時代は、当時の主義者達にとって美しい時代だっ
た。その後、赤旗事件、大逆事件が起き、幸徳秋水は死刑。
堺利彦をはじめとする社会主義者たちにとって、その後の明治末期から大正期の
売文社時代は、暗闇のなかで息をひそめ、迫害のなかですごした苦闘の時期だった。

著者・黒岩比佐子は、その冬の時代、売文社に焦点を当てて、堺利彦の人物像を
描き出す。

冬の時代から暗黒時代へと向かう時代の中で、堺利彦は「売文社」で、仲間たち
に生活の糧を与えた。
売文社は、現在の「編集プロダクション」の先駆的なもので、おそらく日本初の
「外国語翻訳会社」であった。

実際に取り扱った仕事の一覧を見ると、写真説明文の英訳、雅号の選定、商標考
案、広告文英訳、新刊雑誌発行趣意書、新刊雑誌発行の辞、雑誌原稿、カタログ
編集及び意匠、英文及び独文書簡、演説草案起稿、某氏自伝談話筆記及び編集、
等々。
新刊雑誌の趣意書に発行の辞って、そんなもの発行者が書かなくてどーすんの、
という気もするが。
他に大学卒論やら赤ん坊の命名、絶縁状に金の無心、自殺しようとする男の遺言
の草稿まで引き受けたとのことで、本当になんでもあり。

堺利彦、多才である。
もちろん堺ひとりでそのすべての仕事をこなしたわけではないが、注文が立て込
んできたときの堺の「早業と芸当は並大抵ではなかった」という。「万人向きと
いふあんな調法の人はちょっと見つかるまい」。


堺利彦は、自分ひとりが生きるだけなら、売文社を必要とはしなかった。
名文家で知られ、高名な作家たちとの交友も多かった堺には原稿の依頼もあった。
就職口を奪われ、糊口を凌ぐ術を持たない仲間たちに仕事を与えるためにこそ、
売文社は必要だった。


作家の尾崎士郎は、売文社をモデルとした小説のなかで、堺利彦を大石内蔵助に
喩えている。「仮名手本忠臣蔵」で主君の仇討ちを狙う大石内蔵助が、周囲を欺
くために遊蕩三昧の日々を送るように、堺も官憲の目を欺きながら、時期の到来
を待とうとしたのだと。


1917年、堺は売文社を社会主義運動と完全に切り離す、と表明した。
顧客が社会主義とのかかわりを怖れて依頼をためらうようではビジネスに差し障
りが出る。社員にきちんと給料を支払うためにも、売文社の経営を成り立たせる
必要があったのだ。

> 理想を追うためには、どうしても金銭が必要になる。その金銭を得るために何
> か手段を講じるのは当然で、座して死を待つべきではない。誤解を招くことも
> 怖れず、批判を受けることも承知の上で、堺はこの時期に売文社の大拡張を推
> 進していった。(318頁)


ユーモアと筆の力を武器に、冬の時代を生きた。
幸徳秋水のようなカリスマ性はなく、刑死せず畳の上で病死したことで軽視され
る向きもあるが、堺利彦の存在が日本の社会主義に与えた影響は大きい。

勉強になったうえに、堺利彦がとにかく魅力的で、読んでて楽しかった!
硬い本だと敬遠しないで、まあいちど手にとってみてくださいませ。



『パンとペン』 黒岩比佐子

2010年12月11日土曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

先の見える時代だろうと、

見えない時代だろうと、

自分の未来は自分で切り拓くしかない。

今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月10日金曜日

●名言セラピー【寿命が40年だとしたら】

━━━━━━━━━━━━━━●名言セラピー


If the average human life span was 40 years, how would you live your life differently?
もしも、人間の寿命が40年だとしたら、どんな人生を生きたい?

Would you rather be a worried genius or a joyful simpleton?
悩み多き天才と、単純でハッピーな人。どっちになりたい?


What is the one thing you'd most like to change about the world?
世の中でたった一つだけ変えられるとしたら、何を変えたい?

What is the best choice you slould buy,if you have 1,260yen?

Off course, this one!(笑)

→ 名言セラピー幕末スペシャル The Revolution!

龍馬(33歳)、高杉晋作(27歳)、吉田松陰(29歳)、
彼らは40歳まで生きることができなかった……
文字通り命がけで葛藤の中を生きたサムライたち。


彼らには
一つだけ
何があってもやりぬきたいことがあった……


それは……

革命!

日本を変えること。

「日本史上最高にかっこいい男たちを見よ」


と始まる
「名言セラピー 幕末スペシャル
 The Revolution!」


12月10日本日発売です。

→ 名言セラピー幕末スペシャル The Revolution!

これほどまでにかっこいい日本人がいたことを知らずに死んではいけない。
なぜなら、僕らにもその血が流れているのだから。

あなたのソウルスイッチを入れる1冊になったとおもっちょります。

本のご紹介です。どんぐり姉妹

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆話題の小説系

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どんぐり姉妹  よしもと ばなな
¥ 1,365  新潮社 (2010/11)

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姉の名前はどん子、妹はぐり子。二人合わせてどんぐりだ。双子
ではない。両親は姉が生まれたとき、対になる名前をつけるべき
妹が生まれることを、なぜか知っていたようだ。

妹の一人称で語られる物語。二人は「どんぐり姉妹」というサイ
トを開き、メールを受け、返信する。

どんぐり姉妹では金銭のやり取りは発生しない。誰かにメールを
出したくなったとき、しかしその相手が見当たらないとき、そっ
とアクセスしてほしいというのがどんぐり姉妹の趣旨である。

両親はのんびりした人だった。二人とも文章に関わる仕事をして
いた人で、その影響なのか、姉のどん子はフリーライターとして
働いている。

妹がメールを見、事務処理をして姉が返信をする。どんぐり姉妹
はさまざまな人のつぶやきを聞いて、その孤独に寄り添う作業を
くり返している。

姉妹の両親は二人が幼い頃に亡くなってしまった。交通事故だ。
新鮮な魚を地方から運ぶトラックに、衝突して死んでしまったの
だ。妹はしばらく刺身を食べられない時期が続いた。

最初に二人を引き取ってくれたのは、静岡のお茶農園の親戚だ。
農園の仕事をたくさんしたが、労働で汗を流すのは楽しかった。

次に身を寄せたのは医者の家だった。派手好きなおばさんと趣味
が合わず、姉妹は次第に追い詰められていく。姉は家を出、妹と
暮らすために懸命に働く。残された妹は衰弱し、ついに腎臓を悪
くするほどになってしまう。

その頃、妹はクラスメイトにひそかな恋をしていた。海が好きな
男の子、麦君だ。海に連れて行ってと、妹は言いたかった。麦君
も一度「いつか」とだけ言って黙り込んだことがある。いつか、
一緒に海へ行こう。

弱りきった妹を、姉が迎えに来た。親戚のおじいさんの家に転が
り込み、介護をし、その死を見取る。姉妹が住んでいるのはその
おじいさんが残してくれたマンションだ。

姉は奔放な恋をしている。結婚はしないという考えだが、恋が燃
えあがる瞬間を楽しんでいる。今のお相手は韓国人の青年だ。四
角い顔をした彼に、姉は父の面影を見ているらしい。

どんぐり姉妹に一通のメールが届く。夫が死んで悲しいというも
のだ。妹はふと、麦君を思い出して消息を尋ねる。そして、麦君
がバイクの事故で亡くなっていたことを知る。

妹にはその予感があった。夫の死を嘆く女性のメールに、不思議
と共感を得ていたのだ。妹は麦君の住んでいた場所を訪ね、偶然
にもその母親と道端で出会う。

持っていた花を手渡しながら、これを海に置いてこなくてよかっ
た、いや、置かずに持ってきたのは何らかの力によるものなのだ
と妹は考える。


どこか不思議な、インスピレーションと優しさに満ちた物語。

あらすじをご紹介してしまったけれど、あらすじなんか、実はど
うでもいいと思えるお話。地の文が面白い。

妹がサムゲタンを作る場面が出てくる。鶏肉や人参の香りが漂っ
てくるようで、とても幸せだった。食べ物が出てくる小説、好き
だわ。

本日ご紹介の本はこちらから



●年末を見据えて、そろそろプリンターの季節ですなあ。

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双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

忙しいと口にするだけで、何倍も忙しくなれる。

楽しいと口にするだけで、何倍も楽しくなれる。


今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月9日木曜日

本のご紹介です。集団感染マーケティング

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆ビジネス、営業系

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1通のちょっと変わった手紙で、新規客が殺到する! 集団感染
マーケティング  杉村 晶孝
¥ 1,575  ダイヤモンド社 (2010/10/29)

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ピンクの背景に黄色の放射線。いや、派手やわあ、この表紙。

セールスの手法を書いた本。くり返されるのは「金を使うな、知
恵使え」という主張である。

お金を使ったマーケティングの愚、お金をかけず行った工夫とそ
の効果。様々な例が示されている。お金をかければかけるほど、
モノは売れなくなるというテーマが非常に面白い。

お金をかけた例

・雑誌にお金を出して紹介記事を出してもらった。広告を記事に
見せかけて書くという手法だ。以後、会社に電話がかかってくる
ようになったが、どれも広告の売込みばかり。需要がある、カモ
と思われたせいだ。

・コンサルタントにすがる経営者が多い。セミナーに出かけ、暗
示をかけられたように意気揚々とするが、すぐにしぼんで類似の
セミナーに出かける羽目になる。

・コンサルタントの指導を受けてFAXでDMを流した。結果、か
かってきた電話は苦情ばかりだった。

お金をかけない例

・流行している言葉を広告に取り入れる。その言葉は流行歌から
抜き出すとよい。「一人じゃない」「同じ空の下」「会いたい」
など、同じような言葉を羅列した歌詞に注目し、コピーに使おう。

人は聞きなれた言葉、刷り込まれた言葉に反応する。テレビが流
行させた言葉は遠慮なく使いたい。話題の商品、ベストセラーに
共通するタイトルなども、同じく使うべき言葉である。

・人は権威に弱い。だがその権威とは何か、冷静に考えてみよう。

権威は作られるものである。であれば、自らその権威になってし
まえばことは簡単。「カリスマ」「先生」「職人」「巨匠」「鉄
人」。人からそう呼ばれる工夫をしてみよう。

自分では当たり前と思っていることも、ほかの人はまるで知らな
いということがある。たとえば魚屋さん。新鮮な魚の身分け方、
おいしい料理法。こんなことくらい、と思っていることを教えて
あげると、案外と人は驚く。「カリスマ」になるのも簡単なので
ある。

・個人ではなく、集団を釣り上げる手法がある。個人が属する集
団を狙う方法だ。

棚ボタ式に客が見つかる集団がある。職人気質が強い職場、上下
関係がはっきりしている職場、小規模の職場、タバコ部屋や休憩
所がある職場。

こういう場所で客を見つけると、その客が味方になってくれるこ
とがある。

このような場所に告知をする方法を教えよう。それは、その会社
のポストにチラシを入れておくことだ。

その際、封筒の表に「○○事務所ご担当者様」と宛先人を書き、
さらに「回覧」という判子を押しておくこと。すると担当者だと
自認する人が現れ、チラシを掲示板に張ったり、回覧で回してく
れるようになる。

社内で掲示されるもの、回覧されるものは信用しやすい。受注に
結びつきやすくなる。


実に泥臭く、気合を感じる一冊だった。読みやすい。

うちの近所に、行列ができるパン屋さんというのがあるんだ。天
使のチョコリングなんてものを売り出しているお店だ。

確かにおいしいけど、といって、それがほかの店にない特別なも
のかと言えばそうでもないと私は思う。でもその名前と行列、か
わいいお店の外観で、みんなその店でパンを買うことを「特別」
なことと考えている節がある。

その社長さんは、考えの90パーセントが商品のこと、ヒット商品
の構想なのだそうだ。日夜人々を引きつける手法を考えていると
いうことらしい。

知恵に勝る宝なし。すばらしいね。

1通のちょっと変わった手紙で、新規客が殺到する! 集団感染マーケティング

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双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

悪い人もいい人もいない。

悪い部分といい部分がどれくらい、

今その人の表面に現れているかだ。


だから人類に少しだけ希望が持てるのだ。

今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月8日水曜日

本のご紹介です。堀秀道の水晶の本

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆たまには教養系

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堀秀道の水晶の本  堀 秀道
¥ 1,680  草思社 (2009/12/22)

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水晶を鉱物としてとらえた、実に真面目な本だった。

鉱物ファンにとって、水晶とは「圧倒的に普遍的でありかつ特殊
な鉱物」なのだそうだ。水晶が嫌いでは、鉱物の収集はできない
のだとまでおっしゃっている。

水晶は、たいていの鉱物の産地でその採掘に伴って採れるものな
のだそうだ。まれに採れないところもあるが、鉱物の採掘と水晶
は切っても切れない関係にある。

男性のコレクターは金属の鉱物が好きだが、そのような人でも水
晶については熱く語ることが往々にしてある。歴史的に見ても、
実用品であったり、呪術的な意味合いを持っていたり、水晶は実
に不思議な鉱物であるといえる。

水晶は酸素と珪素からできている。採れるのは地球の皮の部分、
地殻と呼ばれる場所である。長い年月をかけて、まるで「ラッ
シュアワーに人が押されて密度が高くなるように」規則的な形に
整えられてゆく。

だが一口に水晶と言っても、その色や形、様々なものに分類する
ことができる。

たとえばアメシスト。(アメジストと書かれることが多いが、正
式にはこう呼ぶらしい) 紫の色合いを帯びた水晶で、二月の誕
生石として宝石の扱いを受ける水晶である。

この紫色は、結晶の中に入った三価の鉄イオンが、放射線の影響
を受けて変化し、発色するものである。

アメシストは現在、人の手で合成して作ることができる。できが
よく、天然のものとの見分けが案外と難しい。もともと安価な宝
石であることも加味して、日本では特に区別されずに店頭に並ん
でいるようである。

水晶は日本の山でもよく採れる。山梨県にはよい鉱脈があり、昔
はよく掘られていた。水晶掘りを仕事にしていた人も、最近まで
はいたのである。筆者はその方から、ねじれ水晶という珍しい品
を譲ってもらった。

水晶という名前が入った地名も多くあり、古来から人々が水晶に
親しんできたというのがよくわかる。

その他、筆者のコレクション、世界の水晶の産地なども上げられ
ているので、ご興味のある方はぜひ。

最後に天然物の水晶の見分け方を、少しばかりご紹介してみたい
と考えている。

簡単なのは、一本線を引いた紙の上に球を乗せてみることだ。本
物なら線が二本に見える。複屈折という光学的現象のためである。

さらに理化学メーカーに持ち込んで、赤外線吸収スペクトル測定
という技法を頼むこともできる。だが高価なので、その価値あり
と判断される球以外はお勧めはしない。

筆者が最近、独自で考え出した手法が述べられている。球の中に
できる光の輪を見る方法だ。

透明な球の中には光の輪ができる。これが均等であるのが人工物。
天然の物には輪のふちが膨らんでいる場所があり、それが左右対
称に見える。これは新しい見分けの手法であり、今後どこかで発
表する予定のものであるのだとか。


うーん。パワーストーン大好き、という軽い頭で読んでみたら、
案外と難しくて居住まいを正す羽目となってしまった。だが、読
み応えは十分。

いつか掘りに行ってみたいものだなあと、ぼんやり考えるまでに
なってしまった。

アメリカには、そういうイベントなんかもあるみたいだね。ミネ
ラルパークとして、お金を払って鉱物を探すことができる場所も
あるらしい。楽しそうだなあ。

堀秀道の水晶の本

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●年末を見据えて、そろそろプリンターの季節ですなあ。

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双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

絶望と希望が戦っている間に、

「今」という宝物が逃げていく。

今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月7日火曜日

第337冊 乙川優三郎「生きる」

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  乱読! ドクショ突撃隊♪    第 337 冊
              
                       2010.12.7
o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o
              
          
          
【1】読書感想 (第337冊)
  
乙川優三郎  「生きる」  文春文庫

直木賞受賞作「生きる」(96ページ)の他、中篇2編「安穏河原」
「早梅記」を収めた中篇集。
乙川氏の作品は数冊読んでいて、現在活躍している時代小説家の中では
大好きになった作家であり、本書は直木賞受賞作も含んだ作品集とあって
大いに期待して読んだのだが、これがいけなかったのか。
そもそも「生きる」というベタな題名が、自分には違和感があったという
か、予感がしたというか。

父の代で、浪人から召し上げられて扶持を貰い、自分の代で殿様の覚え
目出度く、石高はうなぎ上り。
自分の才覚で収入を増やしたわけではあるけれど、封建時代は殿様の意向
あって初めて、昇格昇進給料倍増となるわけだ。
それだけに、江戸時代初期は「追い腹」というのが頻繁で、ご厚情特に
篤かった者は、殉死することが多かった。

「生きる」の主人公は、この殉死をめぐって翻弄される話。
ただし、人物の精神が低い。
あくまで一般的な人間性を据えたかった、ごく普通の人間を主人公にして、
「生きる」ことの深淵を描きたかったんだろうが、江戸初期の武士がここ
まで軸がないかなぁ。
結局人間とはこういうものなんだからと、著者は書きたかったんだろうけ
ど、昔の時代小説家はもっと峻烈な心理描写を書いたはず。
こうまで腑抜けた心だったのかなぁ・・・と思ってしまう。

「安穏河原」は女郎に身売りした悲劇。
武士として理想を貫き通したばかりに浪人となり、世間知らずもはなはだ
しい挙句に食うに食わずの貧乏生活。
妻が長患いとなって薬代がどうのもならなくなったので、一人娘を女郎に
身売りさせてしまう。
ここから話のスタートなんだが、浪人となった理想論を唱えてきた父の
行動にイライラ。
結局、娘とはいえ我が身の方がかわいいんじゃないかと憤ってしまう。

「早梅記」もなんだかなぁ、という話。
武士として大出世を遂げた隠居爺さんが、今日も息子夫婦に気兼ねしなが
ら散歩に出かけるところから話は始まる。
しかし、その爺さん、若い頃は当時の武士としては当たり前だったのだろ
うが、一人の若い娘の人生を台無しにしてしまっている。
しかも、責任を取るつもりだったのに何やかやで取れなかったと言い訳し
ている始末。
所詮、自分より階級の低い者への考え方はそんなとこだったのです、と
著者はさらりと書いているが、現代人から見れば、もうここで許せない話
となってしまう。
結局そんな気持ちで読み続けるもんだから、主人公(爺さん)の心情には
まったく寄り添えず、勝手なことばかり言うな!という気持ちで話は終わ
った。

結局3編とも、イライラムカムカばかりしていた。
時代小説は、読書の合間の清涼水みたいに読んでいるのに、本書はまった
く駄目だった。

●名言セラピー【おべんとう】

名言セラピー


亡き父へ贈る 「ぼくとお父さんのおべんとうばこ」 ゆきのり君7歳の作文より。




おとうさんがびょうきでなくなってから三年、
ぼくは小学一年生になりました。


おとうさんにほうこくがあります。
きっとみてくれているとおもうけど、
ぼくはおとうさんのおべんとうばこをかりました。


ぼくは、きのうのことをおもいだすたびにむねがドキドキします。


ぼくのおべんとうばことはしがあたって、
すてきなおとがきこえました。

きのうのおべんとうは、とくべつでした。
まだ十じだというのに、おべんとうのことばかりかんがえてしまいました。


なぜきのうのおべんとうがとくべつかというと、
それはおとうさんのおべんとうばこをはじめてつかったからです。
おとうさんがいなくなって、ぼくはとてもさみしくてかなしかったです。


おとうさんのおしごとは、てんぷらやさんでした。

おとうさんのあげたてんぷらはせかい一おいしかったです。
ぼくがたべにいくと、いつもこっそり、ぼくだけにぼくの大すきなエビのてんぷらをたくさんあげてくれました。

そんなとき、ぼくはなんだかぼくだけがとくべつなきがしてとてもうれしかったです。
あれからたくさんたべて空手もがんばっているのでいままでつかっていたおべんとうばこではたりなくなってきました。


「大きいおべんとうにしてほしい」


とぼくがいうと、おかあさんがとだなのおくからおとうさんがいつもしごとのときにもっていっていた
おべんとうばこを出してきてくれました。


「ちょっとゆうくんには、大きすぎるけどたべれるかな」
といいました。


でもぼくはおとうさんのおべんとうばこをつかわせてもらうことになったのです。


そしてあさからまちにまったおべんとうのじかん。
ぼくはぜんぶたべることができました。

たべたらなんだかおとうさんみたいに、つよくてやさしい人になれたきがして、
おとうさんにあいたくなりました。
いまおもいだしてもドキドキするくらいうれしくておいしいとくべつなおべんとうでした。


もし、かみさまにおねがいができるなら、
もういちどおとうさんと、おかあさんと、ぼくといもうととみんなでくらしたいです。

でもおとうさんは、いつも空の上からぼくたちをみまもってくれています。


おとうさんがいなくて、さみしいけれど、
ぼくがかぞくの中で一人の男の子だから、
おとうさんのかわりに、おかあさんといもうとをまもっていきます。
おとうさんのおべんとうばこでしっかりごはんをたべて、もっともっとつよくて、やさしい男の子になります。


おとうさん、おべんとうばこをかしてくれてありがとうございます。


ゆきのり君7歳の作文より。


【出典】

本のご紹介です。DVD付ストレッチ大全

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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こんにちは!活字中毒のモモちゃんです。
義母は健康マニア。

昨年はバランスボール、一昨年は何やらチューブを引っ張って
いた。その前は金魚運動だったり、ダンベルを持ち上げてみた
り、とにかくその辺りには隙がない、余念がない。

しかし続いているものはどれ一つとしてなく、しかもその一つ
一つに凝った(?)言い訳があるのでそれなりに楽しんでいる。

バランスボールからは転げ落ちそうになった。ダンベルを足に
落としかけて危なかった。チューブは、とにかく面倒なのよ!

どれもこれも、グッズにではなく、義母自身に問題があるのを、
いつ指摘しようかと迷っている。できそうにはないけど。

まあ、義母の世代にとっちゃあ、健康も一つの娯楽なんだろう
なと割り切っている。娯楽ならいいのだ。どんどん消費すれば。


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本日は ◆さわやか、スポーツ系

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DVD付ストレッチ大全  有賀 誠司
¥ 1,418  成美堂出版 (2010/02)

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というわけで、世間話のついでに健康ネタを振ってみたら、この
本と「NHKストレッチ」が送られてきた。NHKストレッチというの
もDVD本で、お値段はけっこう張る。

しかし小金を持っている世代だし、とかく健康に使う金は惜しく
ないという風なので、ありがたく受け取ってどちらも一通り試し
てみた。

そんで、気に入ったのがこちらだ。道具を使わなくていい。寝転
んで、もしくは壁に手をついて、いすなど、使うストレッチが少
ないのが私にはうれしい。

DVDで先生のお手本を見ながらストレッチができる。ありがたいこ
とに左右両方、きっちりその時間運動をしてくれるので、声にあ
わせ、画面を見ながらストレスなく体を動かすことができる。

メニューもいろいろ。朝夕のストレッチ、部位別、悩み別(肩こ
り、腰痛など)、体幹を鍛える運動、有酸素運動、体全体のスト
レッチなど、好きなところから再生して使えるのがまた便利だ。

運動時間は10分程度、気負わずにできるところもまた素晴らしい。

本日は基本のストレッチ、全身を伸ばす運動を簡単にご紹介して
みたい。

お尻のストレッチ。仰向けに寝転んで片方の足を曲げ、腕で抱え
る。左右10秒ずつ。

横腹。寝転んで体をひねり、片方の足を、反対の足をまたいで向
こう側の床につける。膝を手で押さえ、わき腹を伸ばすように。

足の付け根。立って四つんばいのような格好に。そのまま足を前
後に開き、上半身を前に傾ける。後ろの足は伸ばしたまま、太も
もの前の筋肉にストレッチを感じる。

太ももの内側。お相撲さんがよくやる、股割りの要領で。

太ももの前。座って片膝を曲げ、状態を後ろへ倒す。気持ちのい
いところで止めること。

胸を開く。壁際に並行して立ち、片方の手を壁に当てて後ろに伸
ばす。腕の付け根のストレッチ。

背中の横、脇。壁に向かって立ち、両手を壁について背中を曲げ
る。体を九十度に曲げ、壁を押す感じ。

ひじから手首。手を前に伸ばし、手の平を外側に向ける。反対の
手で手の平を押さえ、腕の内側の筋肉を伸ばす。

肩甲骨の内側。両手の平を合わせた状態で、手を体の前に伸ばす。
首を内側に入れ、肩甲骨が伸びる感じを。

首の横、後ろ。首を横に曲げる。左に曲げる場合は右の手を、背
中の後ろで左手で引っ張ってやるとよりストレッチを感じること
ができる。

首の後ろ。仰向けに寝て首を抱え、頭を起こすような感じでスト
レッチ。


DVDのお手本では、先生が同じ動きをしてくださるので流れるよ
うについていくことができる。私程度ができるのだから、難易度
もそう高くはないと言ってもいい、と思う。

10分程度の動きだけど、やってみると案外気持ちがすっきりする
よ。肩こりのストレッチなどは、職場でもできそうなものがある。

ちなみに義母はやっていないそうなので、年末に帰ったら、これ
は太鼓判を押してあげなければと考えている。

くれた人に対して、太鼓判を押すというのも不思議で妙なものな
のだけど、これが現実なのだから仕方がない。おかしなものだ。

本日ご紹介の本はこちらから

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

すごいことをすごく見せるのではなく、

当り前のことをすごくこなせるようになりたい。

今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月6日月曜日

本のご紹介です。できそこないの知

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆芸能、エンタメ系

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できそこないの知  ウエンツ 瑛士
¥ 1,575  青志社 (2010/10)

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若いのに。

タレントのウエンツ瑛士さんのエッセイ本。中堅サラリーマンが
飲み屋で部下に語る人生訓みたいな感じだった。

・手紙を書こう

本書で彼が一番読者におすすめしたいことがこれ。メールではな
く、手紙を書くということ。

彼が手紙を出すのは、事務所の人、年配の人、地方の友達。内容
はお礼であることが多い。

「拝啓」と書き出して、しかし「すみません、このような手紙は
自分にはまだ書けません。ここから先は自分らしく書かせていた
だきます」と、ちょっとした笑いをいれる。二十代半ばの若者ら
しいおふざけをこのようにして演出する。

それでも、相手は感激してくれる。特に年配の人に出すと評価が
上がることは間違いない。へたくそな字でも、難しいことは書け
なくても、メールではなく手紙を書こう。

・人脈は広げるよりも切る

携帯に登録している電話番号やアドレスは、人よりも少ないと思
う。連絡がなくなったらばっさばさ、削除していくからだ。

使える時間は限られている。大切な相手と、親密な関係を築いた
方がよいと考えている。

もともと、やりたいことがあったら一人でも動き出すタイプだ。
交友関係でなんとかしようとは考えない。人付き合いに損得勘定
は差し挟まないし、本気でがんばっていれば応援してくれる人が
集まってくると信じている。

いい人の周りにはいい人が集まってくる。だから、嫌な人とは無
理につきあわず、いい人の近くにいようと努めている。

・自分はどんな人間か、よりも、何を求められているか、を知る。

ウエンツさんは自分のことをこう考えている。ものすごく面白い
ことを言えるか、否、自分は面白い人間ではない。ではアイドル
と呼べるのか、否、相方の小池徹平さんには到底かなわない。

カリスマと呼べる魅力がない。ではどうやって仕事に向き合えば
いいのか。

彼が最優先とするのは「自分に何が求められているか」だ。自分
はこうだから、と固定概念を持たないようにしている。

やりたくないな、と思った仕事でも、一生懸命取り組んでみる。
すると意外な一面があることが知れる。与えられたことをチャン
スと考え、無駄にせず自分のものにするのが大切である。


話し言葉で書いてあるので気楽に読める。

この方、小さいころから芸能界でお仕事をされているんだよね。
さすがさすが、達観してるわあ、と少しばかりのほほえましさを
覚えながら読みすすめることができる。

ウエンツさんはおうちでたくさんの植物を育てておいでなのだそ
うだ。観葉植物や、トマトなどの実のなる植物もあり、その世話
だけで軽く一時間はかかってしまうんだって。

そのために毎朝早起きをして、せっせと水やりなんかに励んでい
る。規則正しい生活、朝の時間を活用させる生活が一番と考えて
いるようだ。

若いのに、偉いねえ。

ファンの方ならぜひ。そうでない方も、肩の力を抜いて読んでみ
れば、案外とためになることも多いかも。

できそこないの知  ウエンツ 瑛士

No.378 中村文則「掏摸」→ 4点

中村 文則「掏摸」→ 4点
発行元 :株式会社河出書房新社
初版発行:2009/10/30
中村 文則(ナカムラ フミノリ)

あらすじ

この世のほとんどに居心地の悪さを感じている僕は、同時にこの世のほとんど
から拒絶されて今まで生きてきた。
抑圧された憎しみをぶつけるように僕は金持ちの財布を抜き取り続けるのだが、
それは僕が社会とつながりを持つための唯一の方法でもあった。

掏摸として生きる僕のどこにも辿り着けない毎日と、ふと気付けばどっぷりと
取り込まれていた暗黒の世界を描く。

コメント

中村氏の描く世界には、いつも色がない。
黒とグレーばかりの陰鬱な世界だ。
過去に読んだ2冊−「土の中の子供」と「何もかも憂鬱な夜に」は正に暗黒世界
というか、どっちを向いてもどっぷりと暗い世界が鬱々と広がっているばかりで、
正直読んでいて不愉快だったし詰まらなかった。

本作ではしかし、要所要所で「一瞬の白」が効果的に配置されていて、そのコン
トラストが実に素晴らしかった。
中村氏の作品を読むのはこれで3作目だが、エンタテイメントという意味におい
ては初めて読む価値のある作品だと思った。

異端の感性をもつ中村氏が、作家として一皮向けた記念碑的な作品ではないだろ
うか。
全2作を読んだ時には「こんな話しばっかりだったらもう読みたくないな」と思っ
たが、今の気持ちは「はやく次作がみたい!」という感じ。

ちなみに「塔」のイメージについてはほとんど「ベルセルク」のグリフィスと同じ
ですな。

中村 文則「掏摸」



0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。

※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

自信があるからやるんじゃない。

やるから自信がつくんだ。

今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月5日日曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

ワクワクという言葉を考えた人はすごい。

言うだけでワクワクしてくる。

週刊 お奨め本 第423号『刀圭』

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週刊 お奨め本
2010年12月5日発行 第423号
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『刀圭』 中島要
¥1,500+税 光文社 2010/9/25発行
ISBN978-4-334-92730-1
***********************************************


薬を盛るために使う匙を別名「刀圭」と呼ぶ。
古代中国の貨幣の下端にある孔を「圭」といい、その孔の大きさが薬を量る基準
であったことから生まれた言葉である。

──お前はゆるぎなき「圭」となれ。そこが狂えば、薬も毒になりうるのだぞ。

亡父の言葉を胸に、井坂圭吾は貧乏長屋で医者をしている。
父も貧民救済の医者だった。


ということで、「赤ひげ」系、時代小説。
江戸の貧乏長屋で、ろくに金を取らずに治療に当たる、若い医者。長崎帰りで本
道だけでなく外科の心得もある。
貧しい人々から頼りにされ、それを誇りに感じている。

ヒューマンドラマです。
出だしは。

そんな単純な話ではいまどきの読者は満足しません。
特に発行人のようなひねくれ者は(笑)。


井坂圭吾の父は、「慈悲仏」とまで呼ばれた医者だった。
父の背を見て育ち、誇りに思う圭吾は、当然のごとく、医者を志す。
ところが、阿蘭陀医学を学ぶための長崎遊学も五年が過ぎた頃、父が酒に溺れて
いるとの連絡を受ける。
信じがたい思いで急ぎ江戸へ戻ったときには、父はすで亡くなっていた。…


その頃、タキは貧乏長屋で父と二人で暮らしていた。
長患いの父は、娘に迷惑ばかりかける我が身を疎んじ、鼠捕りを飲んだ。タキは
医者を呼びに走るが、貧乏長屋へは医者は来てくれない。「身の程をわきまえろ」
あからさまに見下されたタキの、「あんたたちは医者なんだろ! 病人を助ける
のが仕事じゃないか!」声を、圭吾が聞きつける。
娘の長屋へついていって治療に当たった圭吾は、そのまま長屋に居つき…。


タキと、しっかり者の隣人おしまの尽力で、開業にこぎつけた圭吾。
満足に薬礼が期待できない貧乏人相手では、薬種問屋に代金を払う当てもない。
あちこち回った挙句、融通のきく、ある時払いをきいてくれる薬種問屋「千歳屋」
をみつけた。


齢二十三にして天涯孤独、しかも敬愛する父の死に目に立ち会えなかったせいで、
圭吾は親不孝者が大嫌いだ。
ところが、世話になっている千歳屋には放蕩息子がいる。幼い頃から病弱で、「お
前は生きているだけでいいんだよ」と言われつづけて育った生三郎は、吉原がよい
で月に何百両と散財する。それだけでも業腹なのに、生三郎の敵娼の花魁が「たか
が医者の分際でえらそうに」とケンカを売ってくる。
ついには生三郎を怒らせ、千歳屋との取引が止められてしまった。


それまで圭吾を頼りにしてきた患者たちは、圭吾が千歳屋の跡取りを怒らせたせい
で薬をもらえなくなったことで、圭吾を責める。
──あたしら貧乏人のために下げる頭はないってことだろ。
貧乏人を救いたいなら、金持ちにへつらうことは避けられない。何事も金主あって
の世の中なのだ。


圭吾の胸に迷いが生じる。
いったい何のために、私は治療を続けるのだろう。
患者が頭を下げるのは、ただで薬をもらえるからだ。

> 「人が頭を下げるのはお金をもらうためだもの。タダで治療をしてやれば、いつ
> でも威張っていられてさぞ気分がいいでしょうけど」(141頁)

「赤ひげ」でも、貧乏人からは金を取らなくても、金持ちからは高額の謝礼をも
らう。入金の当てがなくては施しはできない。そこんところをちゃんと段取りで
きないところが、青二才。
という、理想と現実のあいだで煩悶する若者を描いているわけで、古今東西、い
つの世も若者が陥りがちな罠ではあります。それを青春だとまぶしく感じるか、
青臭いと苦々しく感じるかは読み手次第。


物語はこの後、永代橋崩落事故(文化四年)を絡ませ、出奔した父の後妻やら千
歳屋の番頭の画策やらケチ衛門やら幇間の善八やら、なにやらかやらと圭吾はふ
りまわされていくわけですが…。


> 崩落事故の始末を終えると、圭吾は再び医者として診察を始めた。[…]
> 問答無用の生死の境を垣間見たことで、圭吾は己の悩みがいかに卑小かを思い
> 知った。(164頁)


青年は挫折を経て、成長する。


これが長編デビュー作という中島要。
新人にしてはしっかりした構成力で、読ませます。
期待の新人といえましょう。


『刀圭』 中島要

2010年12月4日土曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

何を迷っていたのだろう。

何に怯えていたのだろう。

ただ、目の前のことに集中すればいいだけなのに。

今日も一日味わいつくしましょう。

2010年12月3日金曜日

こんな本読んだよ!1012030238

『みぽりんのえくぼ』岡田典子・文/岡田美穂・絵 文芸社

13才という若さで天国へ旅立っていったみぽりんの闘病記。お母さんの文章とみぽりんの絵で構成されている。お父さんからプレゼントされた絵手紙セットで描かれたもの。これがなかなか味がある。
2才で白血病を患う。骨髄移植で病気を克服するも12才で脳腫瘍が見つかる。写真も掲載されているが、本当にかわいらしい女の子。こんな子がなぜ、と言いたくなった。
病気で苦しんでいる人は多い。一日も早い医学の進歩を望みたい。

みぽりんのえくぼ

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

事象がつまらないのではなく、

自分の見方や考え方がつまらないんだ。

今日も一日味わいつくしましょう。

本のご紹介です。NASAより宇宙に近い町工場

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆ビジネス、営業系

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NASAより宇宙に近い町工場  植松 努
¥ 1,365  ディスカヴァー・トゥエンティワン (2009/11/5)

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北海道の赤平市、富良野や夕張が近いその町に、植松電機という
会社がある。社員は二十名、パワーショベルを作るのがその「本
業」だ。

しかしその会社が有名なのは、そこが宇宙を目指しているからで
ある。宇宙だ。失礼な言い草だけど、日本の小さな町工場が、な
んとあのNASAからも注目される研究を行っているのだという。し
かも自費で。

植松電機ではロケットが作られている。人工衛星も作った。世界
に三つしかない無重力実験施設の一つが、この会社に存在する。

ものすごいことなんだけど、さらに驚かされるのが社長の植松さ
んのお言葉だ。彼は言う。この事業は金を設けるためのものでは
ない、と。

ではなぜそんなことをしているのか。答えは「この世から『どう
せ無理』という言葉をなくすため」だ。あきらめる人、やれっこ
ないよと言う人に、「そんなことあるものか」と立ち向かうのが
植松さんという人だ。

小さいころから好きなことばかりをして過ごしてきた。学校の成
績はよくなかったが、大人になった今、それが大いに役に立って
いる。

ペーパークラフトで飛行機を作った。大きくなってから、植松さ
んは飛行機を作る会社に就職したが、そのことは決して無駄に
なってはいなかった。

子供達がやりたいこと、好きなことを認めて伸ばしてあげたいと
思う。大人が無理やりやらせることではなくて、本当に好きなこ
とに没頭し、熱中すれば夢はかなうのだと教えてあげたい。

宇宙開発も、最初は無理だと言われていた。植松電機が作ってい
るのは「爆発しない」ロケットだ。

ロケットの打ち上げが危険なのは、引火すれば爆発する燃料を
使っているからだ。だが植松電機が北大の教授と共同開発した燃
料は、ポリエチレンを材料とする安全性の高いもの。

家の近くでも打ち上げが可能だし、近づいて見ることだってでき
るのである。

人工衛星を作ったときのエピソードが面白い。ある人から「真空
中で動くのか?実験もできないだろう」と言われた。

真空中で実験するには国の施設を借りなければならない。レンタ
ル料が一日600万円もかかる。

払えるわけがないだろうと、植松さんは自社でその施設を開発す
ることにした。ロケット自体は小さいのだし、施設も小さくてい
いやと思って作ったら、廃材を利用して20万円でできてしまった。

そして実験は成功。何事も工夫ありき、あきらめたら終わりだと
考えている。

植松電機にはたくさんの子供達が見学に来るのだそうだ。その中
に、学習障害だといわれている子供達がいた。彼らは熱心に工場
を見学し、興味を抱き、あげられた質問の手は「普通の」子たち
よりも多かった。

植松さんご自身が、優等生でなかったせいもある。あの子達の何
が悪いのかと真摯に悩んでしまった。社員達も泣き出してしまい
「あの子達が異常なら、俺も異常だ」「ほかの子の邪魔になるか
らと排除して、その親達がどんな辛い思いをしているか」と、疑
問を口にした。

一律に、型にはめてしまうことが教育ではないはず。やれっこな
い、どうせだめと決め付けるのは間違っている。

植松さんは今、建築費が格段に安くなる家を作ろうとしている。
そのために借金を負ったが、居住費が安くなって、親に余裕がで
き、子供達ときちんと向き合える未来を作りたいと考えている。


ロケットって、ホームセンターで売ってる材料で作れるんだって。
知らなかった。やろうと思えばできるものなんだねえ。

字が大きく、話し言葉で文章もやさしいので、小学校高学年くら
いのお子さんから十分に読めるのではないかと思う。読む本に
迷ったらぜひ。

もちろん大人が読んでもいい。夢をあきらめない、工夫し続ける。
シンプルだけど熱い主張に、きっと元気になれるはず。



本日ご紹介の本はこちらから

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●なんとなく、この本を読みたくなった。
変人と言っても過言ではない、情熱あふれる科学者列伝。

人類の進化は、愛すべき変人たちによってもたらされたもの。
異質を排除する社会ではいけない……、けど、真似はできん
なあ(笑) 

自分の体で実験したい─命がけの科学者列伝

2010年12月2日木曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

がんばりたいと思わない限り、

がんばらないほうがいいと思う。

今日も一日味わいつくしましょう。

本のご紹介です。仕事にすぐ効く 魔法の文房具

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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仕事にすぐ効く 魔法の文房具  土橋 正
¥ 1,680  東京書籍 (2010/6/23)

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発想、記録、整理、事務作業、ツール。それぞれの分野で使いや
すい文房具を紹介したもの。写真にがっつりコラムつきで、文房
具好きな人には非常に楽しめる一冊。

発想の章では筆記具が紹介されていた。鉛筆を収納できる、短い
鉛筆を長く使うことができるブラスペンシル。たった5ミリの芯の
中にシャープペンとボールペン、二種類の機能を備えているパイ
ロット・バーディスイッチ。

万年筆、サインペンの紹介もあるが、私がいいなと思ったのは手
帳にはさめる小さいサイズのペンだ。ゼブラのSL-F1Mini。8ミリ
ちょっと、手帳にジャストサイズのペンだが、11ミリに伸ばして
使うこともできる。

手帳にメモするだけでなく、普通の書き物にも使えるのがいいね。

記録の章、ここではふせんやノートなど、アイディアを生かすた
めの道具が案内されている。

ハックノート。裏表紙が観音開きになっており、あらかじめ付箋
を貼り付けておくスペースが用意されている。ここはアイディア
ボードと呼ばれ、思いついたことを付箋にメモして貼り付けてお
く場所になっている。

作業中、ひらめいたことをメモにとったはいいものの、書いた場
所を忘れてしまうことはないだろうか。このアイディアボードに
付箋で貼っておけば、探す手間が省け、ひらめきを有効に使える
のである。

付箋にもいろんな種類があって、かわいらしい草の形をしたもの
がある。本など、気になる場所にこの付箋を貼っていくと、閉じ
たとき、本から草が生えているように見える。

ユルリクのグリーンマーカー。弁当に入っているバランのような
付箋だ。

ノートを選ぶときは、スキャンすることも念頭においておきたい
もの。保存するメモ帳abrAsusは、縦11センチ、横8センチの本皮
仕様の文房具。

このしっかりしたファイル(?)のようなものにA4コピー用紙を
折りたたんではさむ。広げてメモを取ることができ、さらに外し
てスキャンすることができる。

エバーノートという、メモをオンラインで見られるソフトを使え
ば様々な場所でアイディアを整理することができる。PCでも携帯
でも、スマートフォンでも使えるので便利。

3章め、整理の項目ではスケジュール管理の仕方について書かれて
いる。スケジュールは基本、カレンダーを模した手帳に書くのが
お好きなのだそうだ。

月曜始まりのマンスリータイプ、これにシャープペンで予定を書
きこんでいく。消して調整できるのがいい。

大切な予定にはエーワン・ポータブル蛍光テープを貼って目立つ
ようにする。必要なページを開くためにははさむしおりを利用す
る。ブックダーツ、メタル製のクリップが気にいている。

はさむといえば面白いものが一つあった。月光荘の右手クリップ
だ。アマゾンで見つからず、写真をお見せできないのが残念なの
だけど、この発想やよし!の一品。

針金を右手の形に折り曲げただけの文房具である。何に使うのか
といえば、紙を挟む、しおり代わりとして利用するものらしい。

著者はこれを、着手したプロジェクトのファイルのはしに挟んで
いる。まさに手をつけたというわけ。

事務作業の章では郵便物の重さを量るポストマン100、ガムテー
プをストレスなしで切れるはさみ、エアロフィットなどが紹介さ
れている。

エアロフィット、ガムテープの粘着を気にしなくていいらしいか
ら、よく使う人には便利かもね。

最後辺りに乗っているスイステック・ユーティリキーはユニーク
な文房具だ。

鍵の形をしているマルチツールで、ナイフ、のこぎり、ドライ
バーなどの機能を備えている。万能ナイフが鍵の形をしている物
だ。


個人的にはユーティリキーが一番ほしいかも。使うことはないと
わかっているが、やはりこういうのは好きだ。


本日ご紹介の本はこちらから

2010年12月1日水曜日

本のご紹介です。アフリカ 動きだす9億人市場

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆世間話、時事ネタ系

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アフリカ 動きだす9億人市場  ヴィジャイ マハジャン
¥ 2,310  英治出版 (2009/7/14)

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著者のヴィジャイさんは大学教授。アメリカの大学で経営学を教
えている。インドの生まれ、商人の家庭で育った。

10年か20年前、同僚に「インドは世界的にも重要な市場になる」
と言って笑われた。だが現在、その言葉を疑う者は一人もいない。

ではアフリカはどうだ? ワールドカップが開かれたとはいえ、
未だ暗黒の大陸、戦争と飢餓の土地のイメージを持つ人が多いの
ではないだろうか。

著者はその目で確かめるべく、アフリカに渡り現地を歩いた。本
書はそのレポートである。実例、エピソードが多いので素人が読
んでも飽きない、わかりやすい。

もちろん数字や統計、難しいこともちゃんと書かれているのだけ
ど、本日このメルマガでは、印象深かったいくつかのエピソード
を取り上げてご紹介してみたいと思う。

・ブラックダイヤモンドなる層が現れている。「もう少しで中流」
というのが彼らの自己評価だ。懸命に働いて子供達にいい教育を
受けさせようとしている。家電、携帯電話などを買うのがこの層だ。

携帯電話をほしがる人、持つ人が増えている。中には友人数人で
一台の電話を共有している例もある。電話器を一台購入し、使用
するときは各自のSIMカードを入れて使う。

携帯電話を貸す「事業」もある。通話時間に応じて料金が課される。

・アフリカには9億人の市場がある。若年層が多く、しかも年々増
加している。幼児、子供向けの商売の機会があふれている。イン
フラも弱く、その需要は巨大である。

金融関連の伸びも期待される。未だ全家庭の20パーセントほどしか
口座を持っておらず、欧米各国の銀行はこれを狙っている。もちろ
んアフリカの銀行も着実に成長しており、国を超えてのサービスが
受けられるものもある。

金融機関では、携帯電話の画面で操作ができる電子マネーを取り入
れるところがある。近くにATMや営業所がなくても利用できるた
め便利で、多くの人に受け入れられている。

・欧米企業はアフリカの文化、宗教に即した商売を展開している、
取り組んでいる。たとえばP&Gは、イスラム諸国の女性が髪の悩
みを持っていることに目をつけた。

ヘッドカバーをかぶっているので、汗をかきやすく、髪が傷みがち
になる。洗浄力の強いシャンプーを売り出してヒットした。

また「小分け作戦」も有効な手段である。たとえば石鹸、洗剤など、
貧困層はまとめて買うことができない。計り売りが伝統としてある
地域でもある。

なじんでもらうために洗剤を小袋に分けて売り、暮らしの中に浸透
させようとしている。

・チーター世代と呼ばれる若い世代の台頭がまぶしい。年配の人た
ちが唱えるのは貧困、帝国主義への反対である。だが若い人たちは
経済発展を純粋に追い求め、親の世代からの期待もその肩に担って
いる。親世代はこの子供達にいい教育を受けさせようと必死だ。

・映画はノリウッドで生み出される。ナイジェリアの映画産業をこ
う呼んでいるのだ。

安い予算で多くの映画が作られる。就労人口は100万人を越え、同
国では農業に次ぐ大規模産業である。質が良いとはまだ言えない状
況であるが、続々とスタジオが建てられている、今後が楽しみな産
業である。

・在外アフリカ人も今後の起爆剤になると考えられている。たとえ
ばアメリカで、ケニア産の紅茶を売る女性がいる。スターバックス
などにもかけあい、故国の産業を盛り上げようとがんばっている。

社会問題などにも関心があるこの人たちが、アフリカと世界とをつ
なげようと試み、奮闘している。


興味深かったのは欧米企業と中国の動きだ。

中国は安い製品をアフリカで売り、その暮らしの中にメイドイン
チャイナを浸透させつつある。

また同時に、欧米企業は社会福祉にも取り組みながら、やはりその
ブランドをアフリカに構築しようとしている。子育て支援の動きと
ともに、ミルクを売るなどの企業活動をしている。

マラリアの薬を一部無料で配り、そのよさを知らしめるなどの手法
もとられている。

パワー溢れる一冊。字が小さくて活字だらけで、開くと「うっ」と
なりがちだけれども、書いてあることはとても面白い、生き生きし
ている。

興味のある方には安心しておすすめできる、なかなかの良書である。

アフリカ 動きだす9億人市場

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

時代の変化に合わせて自分も変化していくか、

時代に関係なく通用する強烈な何かを身につけるか、

生き残るには、このどちらかを選択しなければならない。


今日も一日味わいつくしましょう。