2011年1月31日月曜日

本のご紹介です。苦役列車

これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介


本日は ◆話題の小説系


苦役列車  西村 賢太
¥ 1,260  新潮社 (2011/1/26)


第144回芥川賞受賞作。

北町貫多は19歳。日雇いの仕事で生計を立てている。

自堕落な毎日だった。港の仕事でもらえる日給は5千円余り。一
日働いては、金がなくなるまで仕事を休むというのが、彼の日々
の過ごし方だった。

彼は中学を卒業したときに家を飛び出した。高校へは行きたかっ
たが、成績が足りなかった。努力もしなかった。彼の父親は犯罪
者である。がんばっても無駄だと、頭のどこかで考えていた。

中学校を出たばかりの少年が、働ける場所はほとんどなかった。
ようやく見つけたのが日雇いの仕事だが、これがよくなかった。
日銭を稼いでだらだらと過ごす癖がついてしまったのだ。

しかし、貫多の毎日に変化が訪れる。日下部という青年が、仕事
場にやって来た。彼も19歳で、専門学校の学生だった。

日下部は陽気な男で、たちまち貫多とも仲良くなった。うれし
かった。貫多には友達が一人もいない。久しぶりにできた話相手
に、貫多の心ははずんだ。

執拗に酒に誘うようになる。いつもは一人、安い酒場でちびりち
びりと飲むだけだが、相手がいると酒が楽しい。風俗にも連れ
立って行った。日下部はいやがったが、それはかえって貫多の優
越感を満たすものとなった。

のめりこんでいく貫多だが、二人の間には次第にずれが生じ始め
る。

日下部はまっとうな青年だった。仕事にも熱心で、たちまち難し
い作業を任されるようになった。待遇にも変化が生まれる。

また日下部には、学生としての暮らしがあった。ワンルームマン
ションに住んで、貫多のほかにも友達がいる。彼女もいるのだと
聞いて、貫多はショックを受けた。

貫多は一計を案じる。日下部の彼女に、友人を紹介してもらえな
いだろうか。そうすれば自分にも、まともな恋人ができる。日下
部がいる世界に、入っていけそうな気がする。

彼女と日下部、貫多は野球を見に行った。食事にも行く。酒が
入った貫多は、彼女に対して失礼な言動を取ってしまった。女性
を侮辱するような言葉を吐いてしまったのだ。

貫多はそういう人間だ。人付き合いができず、嫉妬深く、みじめ
で愚かしい。

そのうち仕事もクビになった。社員といさかいを起こし、いられ
なくなったためだ。

何もかもうまくいかない。相変わらずの日々が過ぎるだけだ。貫
多の希望はただ一つ、ある私小説家の作品を読むことだった。


電車で読んでいたのだけど、最後にぐっと、泣きそうになった。
前に座る女子高生が、いぶかしげな顔をしている。

お嬢さんにも読ませてあげたい、と私は思った。でも同時に、あ
んなお嬢さんが、この本を読んで泣くようなことがあっても、そ
れはそれでよくないとも思った。

私が親御さんならば、あの純粋なお嬢さんには、こんな本で泣く
ような人生は送ってほしくないと願うだろう。多分ね。

大人向けの一冊。酸いも甘いも、えっちらおっちら乗り越えてか
ら読もう。

文章が素敵。キレがいい。

苦役列車

No.385 青来有一「てれんぱれん」→ 3点

青来 有一「てれんぱれん」→ 3点

発行元 :株式会社文藝春秋
初版発行:2007/11/10

青来 有一(セイライ ユウイチ)


あらすじ

私の父は被爆者で、本当なら死ぬところを、爆心地でも逞しく自生していた
ニラを食べることによって生き残った。
人を押しのけたり怒ったりすることなく、ひたすらひっそりと生きていた父
には、ちょっと不思議な力があった。

父と同じようにひっそりと隅っこで佇んでいる「てれんぱれんさん」を見る
ことができたのだ。
父とてれんぱれんさん、そして私の不思議な出来事を描いた一冊。

コメント

自分自身が九州出身で、タイトルを見た瞬間に「てれんぱれんしなさんな!」
と昔よく母から怒られた記憶がよみがえってきたので読んでみた。

ある種の失われた世界について実に繊細に描かれた一冊。
魂的に合う・合わないがはっきり分かれるだろうなと思わせる内容で、私は
残念ながら「ちょっと同調できなかったかな」という感じでした。

主人公の「わたし」を含め、登場人物全体にあまり興味が湧かなかった。
ただ、最後までさらっと読めたので、作品が悪いのではなく単純に「合わな
かった」というだけの話しでしょう。

てれんぱれん

了。



0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

俺は目の前のことに100%注げているだろうか。

今日も一日味わいつくしましょう。

第349冊 荻原浩「コールドゲーム」

乱読! ドクショ突撃隊♪    第 349 冊

【1】読書感想 (第349冊)
  
荻原浩  「コールドゲーム」  新潮文庫

ラノベ人気が蔓延して、随分経つ。
西尾維新の本を一冊買ってあるが、未だ読んでいない。
そんなラノベ未経験者なのに、きっとラノベってこんな感じなんだろうな、
と思ってしまう。
流れや表現で映像が連想され、ドラマを観てる感じ。
それでいて、読んでいるとそこそこ面白い。
最近急速に彼の本が本屋で並んでいるのも、致し方ないのか。

主人公は高校野球も終わってしまい、あとは受験に突き進むか、別の道を
選ぶのか。
どうしたもんかなと思っている夏、事件は始まる。
いじめの無かった学校生活を送ったと言う日本人はいるだろうか?
私のクラスも、中学までは事の大小はあったけど、いじめはあった。
高校に入って、いじめそのものがクラスで全く無かった事に、逆に不思議
な違和感があったくらいだ。

いじめた方は軽い気持ちでも、いじめられた方は堪らない。
特に、軽い気持ちでいじめられたなら、余計恨み千倍となる。
本書はこの、いじめられたヤツが復讐鬼となって、かつての中学時代の
クラスメイト(半分以上)が復讐されてゆく。
ありそうでありえない、でも、ありえなくもない。
そんな、いじめが教室にあった人なら誰しも不安になる設定だ。

事が深刻なだけに、演出次第ではいくらでもダークに深く描ける題材だが、
読者対象を学生にしているようで、あまり深刻には向き合わない。
主人公はいじめに加わらず部活一筋だったという設定。
この辺がズルイ設定。
自分だけ関係ありませんでした、僕はイイ人でしたから、という感じ。
しかし、いじめられている人間は、助けてくれなかったヤツ、手を差し
伸べようとさへしなかったヤツにも恨みを抱いている。
その辺は著者も抑えていて、後半は主人公にも魔の手が近づいてくる。

描きようによってはトコトン恐ろしい題材になるけど、読みやすく若者に
「いじめ」を考えさせる本としては、かえって良い本かもしれない。
作品としては、ちょっと軽くて何かが足りないんだが。


コールドゲーム

【朝礼スピーチ】空飛ぶ車

『1日1分!朝礼スピーチネタ』
 No.146 2011/1/30

朝礼をはじめます。

今日は、「空飛ぶ車」について
お話します。

みなさん、空を飛んでみたい
と思ったことはありませんか?

スポーツで、

パラグライダー
スカイダイビング

など、

上から落下する
スポーツは、
いくつかあります。

けれども、近年、
「空飛ぶ車」が開発され、
実際に販売されているそうです。


お値段は1台1700万円
となっています。

購入するかは別として、
1度乗ってみたいと思っています。


もしご興味あれば、
「空飛ぶ車」で検索すると
動画などを見ることができるので、
一度閲覧してみてください。


以上、朝礼を終わります。(246文字)