2010年12月6日月曜日

本のご紹介です。できそこないの知

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆芸能、エンタメ系

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できそこないの知  ウエンツ 瑛士
¥ 1,575  青志社 (2010/10)

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若いのに。

タレントのウエンツ瑛士さんのエッセイ本。中堅サラリーマンが
飲み屋で部下に語る人生訓みたいな感じだった。

・手紙を書こう

本書で彼が一番読者におすすめしたいことがこれ。メールではな
く、手紙を書くということ。

彼が手紙を出すのは、事務所の人、年配の人、地方の友達。内容
はお礼であることが多い。

「拝啓」と書き出して、しかし「すみません、このような手紙は
自分にはまだ書けません。ここから先は自分らしく書かせていた
だきます」と、ちょっとした笑いをいれる。二十代半ばの若者ら
しいおふざけをこのようにして演出する。

それでも、相手は感激してくれる。特に年配の人に出すと評価が
上がることは間違いない。へたくそな字でも、難しいことは書け
なくても、メールではなく手紙を書こう。

・人脈は広げるよりも切る

携帯に登録している電話番号やアドレスは、人よりも少ないと思
う。連絡がなくなったらばっさばさ、削除していくからだ。

使える時間は限られている。大切な相手と、親密な関係を築いた
方がよいと考えている。

もともと、やりたいことがあったら一人でも動き出すタイプだ。
交友関係でなんとかしようとは考えない。人付き合いに損得勘定
は差し挟まないし、本気でがんばっていれば応援してくれる人が
集まってくると信じている。

いい人の周りにはいい人が集まってくる。だから、嫌な人とは無
理につきあわず、いい人の近くにいようと努めている。

・自分はどんな人間か、よりも、何を求められているか、を知る。

ウエンツさんは自分のことをこう考えている。ものすごく面白い
ことを言えるか、否、自分は面白い人間ではない。ではアイドル
と呼べるのか、否、相方の小池徹平さんには到底かなわない。

カリスマと呼べる魅力がない。ではどうやって仕事に向き合えば
いいのか。

彼が最優先とするのは「自分に何が求められているか」だ。自分
はこうだから、と固定概念を持たないようにしている。

やりたくないな、と思った仕事でも、一生懸命取り組んでみる。
すると意外な一面があることが知れる。与えられたことをチャン
スと考え、無駄にせず自分のものにするのが大切である。


話し言葉で書いてあるので気楽に読める。

この方、小さいころから芸能界でお仕事をされているんだよね。
さすがさすが、達観してるわあ、と少しばかりのほほえましさを
覚えながら読みすすめることができる。

ウエンツさんはおうちでたくさんの植物を育てておいでなのだそ
うだ。観葉植物や、トマトなどの実のなる植物もあり、その世話
だけで軽く一時間はかかってしまうんだって。

そのために毎朝早起きをして、せっせと水やりなんかに励んでい
る。規則正しい生活、朝の時間を活用させる生活が一番と考えて
いるようだ。

若いのに、偉いねえ。

ファンの方ならぜひ。そうでない方も、肩の力を抜いて読んでみ
れば、案外とためになることも多いかも。

できそこないの知  ウエンツ 瑛士

No.378 中村文則「掏摸」→ 4点

中村 文則「掏摸」→ 4点
発行元 :株式会社河出書房新社
初版発行:2009/10/30
中村 文則(ナカムラ フミノリ)

あらすじ

この世のほとんどに居心地の悪さを感じている僕は、同時にこの世のほとんど
から拒絶されて今まで生きてきた。
抑圧された憎しみをぶつけるように僕は金持ちの財布を抜き取り続けるのだが、
それは僕が社会とつながりを持つための唯一の方法でもあった。

掏摸として生きる僕のどこにも辿り着けない毎日と、ふと気付けばどっぷりと
取り込まれていた暗黒の世界を描く。

コメント

中村氏の描く世界には、いつも色がない。
黒とグレーばかりの陰鬱な世界だ。
過去に読んだ2冊−「土の中の子供」と「何もかも憂鬱な夜に」は正に暗黒世界
というか、どっちを向いてもどっぷりと暗い世界が鬱々と広がっているばかりで、
正直読んでいて不愉快だったし詰まらなかった。

本作ではしかし、要所要所で「一瞬の白」が効果的に配置されていて、そのコン
トラストが実に素晴らしかった。
中村氏の作品を読むのはこれで3作目だが、エンタテイメントという意味におい
ては初めて読む価値のある作品だと思った。

異端の感性をもつ中村氏が、作家として一皮向けた記念碑的な作品ではないだろ
うか。
全2作を読んだ時には「こんな話しばっかりだったらもう読みたくないな」と思っ
たが、今の気持ちは「はやく次作がみたい!」という感じ。

ちなみに「塔」のイメージについてはほとんど「ベルセルク」のグリフィスと同じ
ですな。

中村 文則「掏摸」



0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。

※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

自信があるからやるんじゃない。

やるから自信がつくんだ。

今日も一日味わいつくしましょう。