勘違いもいっそ抱えたまま突き進もうか。
今日も一日味わいつくしましょう。
本に書かれてある事そのものは、とても感動した。
弁護士の心構え、彼の功績は大変立派に読めた。
ただし、著者は名うての辣腕(元)弁護士。
その説得力は多大であり、ナナメから読んで丁度いいのかもしれない。
その根拠は、彼の若き日々と現在。
彼は弁護士の子供であり、戦前の貧富の差が激しい頃、関西一のおぼっちゃ
ま学校同志社の出身。
京大に進み、数回の不合格を乗り越えて司法試験に合格するが、親のスネ
を齧って放蕩無頼の青春時代を送っている。
著者の良いところは、そういった遊び人時代を隠さず、どのようにして立
ち直ったかと自慢話に持ってゆく流れが微笑ましく、恐るべき話術だ。
本書最大の読みどころは「森永ヒ素ミルク中毒事件」。
この事件に携わった事によって、彼の人生も仕事に対する姿勢も変わった
のだろう。
この章は正直、読み進むにつれ目頭が熱くなった。
読み物として優れ、グイグイ引き込まれてアッという間に読み終えた。
そんな名弁護士、今もお元気なのかな?
大好きなウィキペディアでチェックしてみた。
住宅金融債権管理機構の回収方法で問題がこじれ、弁護士業を廃業してい
るそうだ。
もう八十歳代になっているようだ。
彼は今、実家の家業「聖護院御殿荘」という京都の老舗旅館を経営してい
るようだ。
HPでどんな老舗旅館かと拝見したら、まあ立派。
宿泊費がリーズナブルなのは交通の便が若干弱いからだろうが、立派なお
宿ですよ。
京都に行く事は今後もあるだろうから、一度は利用してみたい。