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本日は ◆たまには教養系
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堀秀道の水晶の本 堀 秀道
¥ 1,680 草思社 (2009/12/22)
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水晶を鉱物としてとらえた、実に真面目な本だった。
鉱物ファンにとって、水晶とは「圧倒的に普遍的でありかつ特殊
な鉱物」なのだそうだ。水晶が嫌いでは、鉱物の収集はできない
のだとまでおっしゃっている。
水晶は、たいていの鉱物の産地でその採掘に伴って採れるものな
のだそうだ。まれに採れないところもあるが、鉱物の採掘と水晶
は切っても切れない関係にある。
男性のコレクターは金属の鉱物が好きだが、そのような人でも水
晶については熱く語ることが往々にしてある。歴史的に見ても、
実用品であったり、呪術的な意味合いを持っていたり、水晶は実
に不思議な鉱物であるといえる。
水晶は酸素と珪素からできている。採れるのは地球の皮の部分、
地殻と呼ばれる場所である。長い年月をかけて、まるで「ラッ
シュアワーに人が押されて密度が高くなるように」規則的な形に
整えられてゆく。
だが一口に水晶と言っても、その色や形、様々なものに分類する
ことができる。
たとえばアメシスト。(アメジストと書かれることが多いが、正
式にはこう呼ぶらしい) 紫の色合いを帯びた水晶で、二月の誕
生石として宝石の扱いを受ける水晶である。
この紫色は、結晶の中に入った三価の鉄イオンが、放射線の影響
を受けて変化し、発色するものである。
アメシストは現在、人の手で合成して作ることができる。できが
よく、天然のものとの見分けが案外と難しい。もともと安価な宝
石であることも加味して、日本では特に区別されずに店頭に並ん
でいるようである。
水晶は日本の山でもよく採れる。山梨県にはよい鉱脈があり、昔
はよく掘られていた。水晶掘りを仕事にしていた人も、最近まで
はいたのである。筆者はその方から、ねじれ水晶という珍しい品
を譲ってもらった。
水晶という名前が入った地名も多くあり、古来から人々が水晶に
親しんできたというのがよくわかる。
その他、筆者のコレクション、世界の水晶の産地なども上げられ
ているので、ご興味のある方はぜひ。
最後に天然物の水晶の見分け方を、少しばかりご紹介してみたい
と考えている。
簡単なのは、一本線を引いた紙の上に球を乗せてみることだ。本
物なら線が二本に見える。複屈折という光学的現象のためである。
さらに理化学メーカーに持ち込んで、赤外線吸収スペクトル測定
という技法を頼むこともできる。だが高価なので、その価値あり
と判断される球以外はお勧めはしない。
筆者が最近、独自で考え出した手法が述べられている。球の中に
できる光の輪を見る方法だ。
透明な球の中には光の輪ができる。これが均等であるのが人工物。
天然の物には輪のふちが膨らんでいる場所があり、それが左右対
称に見える。これは新しい見分けの手法であり、今後どこかで発
表する予定のものであるのだとか。
うーん。パワーストーン大好き、という軽い頭で読んでみたら、
案外と難しくて居住まいを正す羽目となってしまった。だが、読
み応えは十分。
いつか掘りに行ってみたいものだなあと、ぼんやり考えるまでに
なってしまった。
アメリカには、そういうイベントなんかもあるみたいだね。ミネ
ラルパークとして、お金を払って鉱物を探すことができる場所も
あるらしい。楽しそうだなあ。
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●年末を見据えて、そろそろプリンターの季節ですなあ。
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