2010年12月21日火曜日

本のご紹介です。伝える力

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これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

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本日は ◆ビジネス、営業系

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伝える力  池上 彰
¥ 840  PHP研究所 (2007/4/19)

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2007年と古い本だけど、今年異例の売れ行きを記録したらしい。
近所のコンビニなんかにも置いてあってね、おばさんたちが「池
上さんの本だって」と手にとって眺めたりもしていた。

2010年、池上さんの大ブレイクを記念して。また、内容もとても
よかった。勉強になる箇所が多くて、珍しくふせんを片手にしな
がら本を読みすすめていた。

解説がわかりやすいと評判の池上さん。彼の「伝える力」は「週
間こどもニュース」という番組で培われた。

「週間こどもニュース」は子供に時事問題を説く番組。相手が子
供だから、難しい言葉を使って説明するわけにはいかない。子供
たちが納得するまで説明をしてあげなくてはならず、いい加減な
知識では通用しないことを実感された。

池上さんは考える。「自分がわかっていないことを、正確に、わ
かりやすく伝えることは不可能だ」。

自分が知らないこと、わからないことは素直にそうと認めよう。
事実に対する畏れを持たずに、真の理解を得ることはできない。
「自分がいかに物事を知らないか」。それを知った上で学び続け
ることが大切だ。

人の気をひく「つかみ」も用いるようにしたい。池上さんは講演
のとき「日本経済が回復したのは小泉首相のおかげ」と話し始め
るのだそうだ。

人々は「エッ?」という顔をする。すかさず、「小泉さんは何も
手を打たなかったので、企業が自力でがんばったのですね」と口
にして、観客の関心をぐっと引き寄せる。

また、伝える力が発揮されるのは会話においてだけではない。文
章を書くときでも、注意すべき点はいろいろとある。

文章力をアップさせる近道は、優れた文章を書き写すことだ。池
上さんご本人も、NHKの記者時代は先輩記者の文章を写して勉強さ
れていた。

独りよがりにならないために、客観的な視点を持つようにもした
い。文章を書きながら、常に「もう一人の自分」を意識するよう
にしたい。池上さんは原稿を書いて自分でツッコミを入れ、さら
なる改良点を見つけるようにされている。

また、書いた原稿はしばらく寝かせて、プリントアウトして読み
返すようにもしている。すると誤字脱字など、画面ではわからな
かったことが見えてくる。

音読するのもよい方法だ。ビジネス文書などでも、声に出して読
んでみると、そのリズムの悪さに気づくときがある。文章のリズ
ムを整えると、読みやすい文章が書けるようになる。

先輩や上司に読んでもらうのもいい。あらかじめ人に話して、反
応を見る手もある。カタカナは多用せず、伝わりやすい、面白く
読んでもらえる工夫をしたいもの。

「そして」「それから」は極力省く。「ところで」「さて」も使
わないようにする。ビジネス文書では「いずれにしても」という
言葉も避けたいもの。これを使うと、前述の言葉に説得力がなく
なってしまう。

よい言葉、豊かな語彙を得るためには読書が不可欠。できれば小
説を読みたいもの。語彙も増えるし、別の人生を知ることで視野
が広がる。ビジネス小説などを読むと、自分の立場に重ねて楽し
く読むことができるだろう。


講演をしたり、難しい文章を書くための本ではない。基本的にビ
ジネス書であって、社会の中で上手に自分の言いたいことを伝え
る方法を書いたもの。

とてもわかりやすかったし、すぐに取り入れられることが多いこ
とがよかった。

ビジネスパーソン向けに書かれた本だけど、どなたにでも役に立
つことが見つかると思う。ご興味のある方はぜひ。

伝える力  池上 彰