2011年2月16日水曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊


自分のことを深く愛し、
育てていくことで

はじめて本当の意味で人を愛することができる。

2011年2月15日火曜日

本のご紹介です。世界一わかりやすい4コマビジネス書ガイド

これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介



本日は ◆自己啓発系


世界一わかりやすい4コマビジネス書ガイド  山田 玲子
¥ 1,365  ディスカヴァー・トゥエンティワン (2010/9/15)


著名なビジネス書50冊を取り上げて解説したもの。

この本のいいところは三つ。

・著者の目線が、読書が苦手な人に優しい。

活字マニア、ビジネス書マニアという方ではないので、言葉も目
線もとてもやさしい。

著者ご自身は、仕事に忙殺されて流されてゆく自分を改めるため
に、ビジネス書を手に取られたのだそうだ。そして、生活は改善
された。

・古典、こりゃ読んでおくべきでしょ大御所本がきっちりライン
ナップされている。

最近私は、もう一度「7つの習慣」を読み直したいなあと思って
いたのだ。この本のおかげで、なんとなく読み返した気分。

ほか「チーズはどこへ消えた」「EQ」「道は開ける」「原因と
結果の法則」「人を動かす」「思考は現実化する」「自助論」。
ベストセラーもしっかり網羅。

・そんでいて、新しい本もちゃっかり取り上げられている。

古市幸雄さん、臼井由妃さん、神田昌典さん、勝間和代さん、和
田由美さん、池上彰さん、島田紳助さんまで。バラエティ豊か。
バランスがいいやね。

構成はこんな感じ。「7つの習慣」を例にご説明してみよう。

最初に四コマ漫画。本の内容をざっくりと紹介している。7つの
習慣の場合は「人間は自分のパラダイム(レンズ)で物事を見て
いる。パラダイムを変えると世の中が変わる。パラダイムシフト
を経験するには、自分を変えることが一番」

次、簡単なコメントとともに、著者が本を読んだ際にふせんをつ
けた箇所が引用される。

この場合は、人生を変える習慣7つが本書より抜粋されている。

主体性を発揮する、目的を持って始める、重要事項を優先する、
win-winを考える、理解してから理解される、相乗効果を発揮する、
刀を研ぐ。

そして、この方が本より学んだことのまとめが、飾りのない文章
でつづられている。

この方は「7つの習慣」を読んで、自分のパラダイム(レンズ)
のゆがみに気づかれたそうです。他者の立場を理解できるように
なり、身の周りのいざこざが減った。

最後に、本を読んで行うべきアクションが提示される。

「7つの習慣」から著者が学んだ、今後取るべきアクションとは、
「自分がかけているレンズに気づく」ということだそうだ。

漫画での大まかなまとめもわかりやすかったし、感想が書かれて
いるのが親しみやすいと思った。大上段からの論評でないのがう
れしいところ。


どこから読んでもいい。気になる本のページから開くのも可。気
が楽だ。

自分がこれまでに読んだ本を思い出して、著者の感想と比べてみ
るのもいいと思う。こういう学びがあるのかと、私自身、目から
ウロコの場面がたくさんありました。

お得!


本日ご紹介の本はこちらから↓
世界一わかりやすい4コマビジネス書ガイド

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

初志貫徹しない。

初心のままでいない。


今日も一日味わいつくしましょう。

2011年2月14日月曜日

第353冊 鯨統一郎「邪馬台国はどこですか?」

乱読! ドクショ突撃隊♪    第 353 冊

【1】読書感想 (第353冊)
  
鯨統一郎  「邪馬台国はどこですか?」  創元推理文庫

著者の「新・世界の七不思議」が世界史編だとすれば、本書は日本史編。
歴史をそこそこ愛好している中間層にとっては、驚く異端異説ばかりで、
ただただ驚き面白可笑しく読んでしまう。
歴史学的にどうなのかは考察さへ出来ないが、知的興奮は存分に堪能でき
ます。
世界史編ほど語り部たちの小芝居もうざくなく、歴史そのもののミステリ
が味わえます。本書日本史編は全6編。

悟りを開いたのはいつですか?
邪馬台国はどこですか?
聖徳太子はだれですか?
謀反の動機はなんですか?
維新が起きたのはなぜですか?
奇蹟はどのようになされたのですか?

日本史編と書きましたが、ご想像のとおり「悟り」は仏陀、「奇蹟」はキ
リストです。
仏陀の苦悩にせよ、キリストの行動解明にせよ、ここまで書いていいんか
い?と思うくらいですが、こんな風に解き明かしてゆく作品を読んだこと
自体が初めてなので、ただただ驚きました。

「謀反の動機」は本能寺の変についてですが、まさか秀吉謀殺説じゃない
だろな・・・と思ったのが恥ずかしくなるような新説。
信長と天皇の経緯は知っていましたが、その心情を想像し組み立て、その
結果の行動をどう結びつけるかで、こうも考えつくとは実に面白い。

日本史編として日本の事だけに集中してくれた方が面白かったのに・・・
と言いたかったが、「仏陀」と「キリスト」考察が余りに興味深いので、
本書は「新・世界の七不思議」以上に良く出来た傑作だと思います。
もうこれ以上のネタは望むべくも無いけど、第3弾がいつか出てこないだ
ろうか。



邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

こんな本読んだよ!1102140243

チア男子!! 朝井リョウ 集英社

大学の柔道部で汗を流す陽希。柔道一家に育ち、姉と共に小さい頃から柔道に打ち込んできた。しかしそんな生活に疑問を持ち始め、柔道から離れる決意をする。同じく柔道部を辞めた親友の一馬と一緒に男子だけのチアリーディングチームを結成する。寄せ集めのメンバー7人で学園祭の初舞台を経験。その後真メンバーとコーチを加え全国大会を目指す。
汗くさくない爽やかなスポーツ青春小説です。


チア男子!! 朝井リョウ 集英社

No.387 伊藤たかみ「海峡の南」→ 2.5点

伊藤 たかみ「海峡の南」→ 2.5点
発行元 :株式会社文藝春秋
初版発行:2009/9/15
伊藤 たかみ(イトウ タカミ)

あらすじ

かつて北海道の暮らしを捨て、津軽海峡を南に下った父は、様々な勝負に
対して最終的にはすべて失敗した。
ぼくもそのとばっちりを受けて色々な街をを転々とするはめになったが、
それでも父は僕を大人にまで育ててはくれた。

祖父が危篤だということで北海道に駆けつけたぼくは、その町で父のルー
ツに思いを馳せる。

コメント

梁石日の「血と骨」にちょっと似てるな。こっちの方が圧倒的に地味だけ
ど・・と言う感じの一冊。

男の人生における5大テーマとして「父親」「旅」「女」「仕事」「死」
があるよなと勝手に思っているが、本作は「父と子」を伊藤氏独特の繊細
なタッチで描いている。

ただ、ストーリーも文体もあまりに地味すぎて、読んでいてしばしば眠た
くなった。
読者を選ぶだろうなと思わせる作品。
父親というものは、立派であればあったで、ダメ男であればあったで息子
にとっては「あ〜やだやだ」と思わせる存在なのだが、自分自身が息子を
持ち、父親になってみると「なるほど、あの時の親父の気持ちはこんな感
じだったのかな」と思う瞬間もある。

しかし、だからといって自分の息子とこれから良い関係を積み上げていく
ことができるかどうかは全く自信がない。

父と息子って、ホント独特の関係だよな。
しみじみそんなことを感じた一冊。

海峡の南



0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。

※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

「前向き」や「幸せ」といった言葉に

固執すればするほど苦しくなる。


固執しない。

今日も一日味わいつくしましょう。

本のご紹介です。戦う!和風武器イラストポーズ集

これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介



本日は ◆たまには教養系


戦う!和風武器イラストポーズ集  両角 潤香、みずな ともみ
¥ 1,575  マール社 (2010/12)


時代小説を書く人はエライと、心から感心して、自分も学びたい
と思った。そして手に取った本がこれだ。

アホ、アホ、アホの三乗!(意味不明)豆腐の角に全速力で頭ぶ
つけに行きたい、恥ずかしさがてんこ盛りだ。

刀を頭上に構えた女の子の絵が表紙。紫の髪にピンクの着物。短
いその裾からは、制服のスカートが透けて見えている。ライトノ
ベルの挿絵になりそうな絵柄だ。漫画やイラストを描く人のため
の技法書、指南書である。

しかし、マール社だ。この会社は「中世ヨーロッパの服装」や
「ポーズカタログ」、「やさしい人物画」などの、美術関連のベ
ストセラーを出版しているすごい出版社なんだ。

作りはしっかりとしている。人の体の動き、和の衣装のしくみ、
武器の持ち方扱い方、絵を描くときに必要なポイントが、実に真
面目に解説されていた。

たとえば日本刀。一口に言っても、時代ごとに使われる刀は異
なっている。室町前期の頃までは、太刀と呼ばれる長めの刀が一
般的だった。そりが大きいため、下緒という紐で腰にくくりつけ
て持ち運びがされる。

室町後期から幕末にかけては打刀が使われた。全長約95センチ。
まっすぐなので抜刀がしやすい。江戸時代にはこれにあわせて脇
指が持たれた。

大小二本の刀を下げる。このとき、袴の紐に通すと考える人が多
ようだ。だが実際には着物と角帯の間。袴の脇の切れ目から、鞘
が出るように描こう。

参考になるポーズ集がある。鞘つきのポーズ、抜刀の場面、静止、
動きのある構え。多様なので、参考になるポーズも見つけやすい
はず。

また、弓も忘れてはいけない。歩兵が使う武器であり、奇襲戦法
などに用いられた。飛距離は50から150メートル。銃にとって代わ
られるまで、主要な武器として活躍した。

和弓は大きい。矢は口の高さで構える。このとき、肘と弓が一直
線になるように。よく、矢を指ではさむように描く人がいるが、
これは間違い。弓を握った親指の上に矢を乗せるように構える。

矢は背中の矢筒に背負う。体の前に紐を通して、矢筒を背中にく
くりつけるわけだが、このとき、紐と矢筒の方向は同一。右手で
上から取り出すので、矢羽根が右肩から見えるように描くこと。

ポーズ、下向きの構えがあるのが面白かった。地面の敵にとどめ
をさすときにも、矢が使われていたからだ。構え、射る瞬間、そ
の軌跡を眺める姿勢、ポーズもいろいろ。

槍、なぎなた、手裏剣、クナイ(くさびのような武器。小刀とし
て、投擲用に、用いられ方は様々)鎖鎌、トンファ、鉄扇など。

銃と刀の二刀流が格好よかった。地面に立てた刀のつばに、銃を
乗せて安定させ、発砲するという使い方もあるそうだ。

両手で武器を扱うという華やかさがうけて、フィクションなどで
よく用いられる。銃口で相手を狙い、背後を刀で守るなど、隙の
ない構えが可能。

新旧が入り乱れた、幕末の混乱期にふさわしい派手なアクション
と言えるだろう。


時代劇ファンの方、和風ファンタジーに興味のある方向け。

戦う!和風武器イラストポーズ集

第352冊 池上彰「そうだったのか!アメリカ」

乱読! ドクショ突撃隊♪    第 352 冊

【1】読書感想 (第352冊)
  
池上彰  「そうだったのか!アメリカ」  集英社文庫

TVで大人気になった池上彰。
文庫本でも彼の本がズラリと並んでいるので、一冊読んでみました。
ほんとは「そうだったのか!中国」を読みたかったんだけど、アメリカから
おさらいした方が勉強になるかなと思った次第。

丁寧すぎる文体で、分かりやすく書かれているゆえ、かえって頭に入って
こない。
読みやすいので文章をズンズン読み進んでいくのだけど、しっかり理解して
進んではいない。
なんとなく分かったような気はするし、章の最後で「まとめ」まであるので
要点は抑えられるが、細かいところは記憶に残っていない。

私自身の好みとしては、もう少し硬い文体の方が好きです。
本をあまり読まない人、ほんとにアメリカについて基礎から知りたい人に
とっては良いかも。
ヘタに所々知ってると端折ってしまって、初心に帰ってじっくり読む人の
方が身につくのかもしれない。
さすが頭の良い人が書いただけあって、章立てはなかなか。

第1章:アメリカは宗教国家だ
第2章:アメリカは連合国家だ
第3章:アメリカは「帝国主義」国家だ
第4章:アメリカは「銃を持つ自由の国」だ
第5章:裁判から見えるアメリカ
第6章:アメリカは「移民の国」だ
第7章:アメリカは差別と戦ってきた
第8章:アメリカは世界経済を支配してきた
第9章:アメリカはメディアの大国だ
オバマ以降のアメリカ

アメリカの出発点から始まって、開拓や独立、戦争や差別など歴史をなぞ
りつつ諸問題をテーマに据えて章立てしていく。
知らない事もたくさん読めたので、一読するのは悪くなかった。


そうだったのか!アメリカ

2011年2月13日日曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

昨日の自分とばかり競争していたら、

他人と競争するのを忘れてた。


愉しむことに集中していたら、

自分と競争することも忘れてた。

今日も一日味わいつくしましょう。

週刊 お奨め本 第433号『体のいいなり』

週刊 お奨め本
2011年2月13日発行 第433号

『身体のいいなり』 内澤旬子
¥1,300+税 朝日新聞出版 2010/12/30発行



先週に引き続いて、病気ネタ。
闘病記…というよりは、内澤旬子の病気エッセイって感じかな。

内澤旬子は、2007年6月10日発行の本メルマガ第241号『世界屠畜紀行』の著
者です。『世界屠畜紀行』といい、『東京見便録』『東方見便録』(内澤がイ
ラスト担当)といい、現地取材重視の突撃タイプっぽいので、てっきり健康が
自慢、という人かと思ってました。
ところが。


> 生まれてからずっと、自分が百パーセント元気で健康だと思えたためしが
> なかった。
> 胃酸過多、腰痛、アトピー性皮膚炎、ナゾの微熱、冷え性、むくみ、無排
> 卵性月経など、「病気といえない病気」の不快感にずっとつきまとわれて
> 来た。(5頁)


そのうえ、38歳にして乳癌の宣告。
数々の持病(病気といえない病気とはいえ)のうえに、キング・オブ・病気の癌。
さぞや悲愴感あふれた壮絶な闘病記が…! と思いきや。


> それが不思議なことに癌の治療中からすこしずつ元気になり、今ではギリギリ
> とはいえ、どこも痛くも痒くもなく、夜は熟睡、朝の目覚めはすっきり、買物
> にだって気軽に出かけられるという、健康な普通の人には当たり前のことだが、
> 自分にとっては信じられない、夢のような日々を送ることができるようになった。
(5頁)


癌で元気になった!?
いや、元気の理由はもちろん癌じゃありません。
オチを言ってしまえば、癌治療の副作用があまりにひどくて、藁をもつかむ思い
で始めたヨガで、体質改善されたようなのだ。
しかしそもそも癌にならなければ、ヨガも始めなかった。
すべてはつながっている。


それにしても内澤旬子、あきれるほどの病弱ぶりです。
特に、腰痛とアトピー。
なのに海外を歩き回り安宿に泊まる。
腰にコルセットを巻き、重いリュックを背負い、安宿のベッドは腰に悪いからと
床に寝る。口紅を塗れば唇の皮が一枚?ける。合わないシャンプーを使ったとき
は涙が止まらなくなり、かゆみに耐えかねて寝ているあいだに掻いた目頭がパッ
クリ裂ける。
…悲惨。


というような持病の歴史と、癌に罹患して入院手術の体験、さらに手術後の現状
の報告記。
その間、繰り返し、おカネの問題が出てくる。


おカネ!
これは問題だ。
最近でこそ「癌になったらいくらかかるか」といったような書籍も目に付くよう
になったけれど、ひと昔前までは金銭問題は避けて通られていた気がする。
だいたい十万円以上の金額がかかるものに事前の見積もりもなにも無しで、問答
無用で払わせるってのは、考えてみたらすごいことだよな。

で、内澤旬子はなにかにつけ、カネに苦しむ。
リアルだ。
人間、生きていくにはカネがかかる。
病気になったらさらにかかる。しかも病気で働けなくなったりしたらおおごとだ。
発行人、生命保険見直そうかなと真剣に考えてます。

内澤の人生観、女性性との向き合い方等、他にもいろいろ読みどころいっぱい。
特に乳房に対する女性と男性のあまりの感覚の違いにはびっくり。この辺はでき
れば皆さんの感想を聞きたいところだ。

身体のいいなり』 内澤旬子

2011年2月12日土曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

もし悩むとしたら、

ひとつのことを

3年以上やり遂げた後で悩もうかな。

今日も一日味わいつくしましょう。

第351冊 宮部みゆき「東京下町殺人暮色」

乱読! ドクショ突撃隊♪    第 351 冊


【1】読書感想 (第351冊)
  
宮部みゆき  「東京下町殺人暮色」  光文社文庫

この本も数年前に読んだのに感想書かず、書こうと思ったら内容丸忘れ。
今回再読したが、中盤まで全然思い出せなかった。

主人公の中学生が、両親が離婚して父親に引き取られている。
母親は医者と再婚していて、父は平刑事なのに家政婦を雇うという不思議
な設定。
思春期の男子が、両親離婚・母再婚・家政婦が家に居る、という設定なら
屈折した少年になってこそリアリティが出て面白い流れになるのに、この
主人公はどこまでも少年探偵団みたいでイイ子ちゃん。

お母さんを懐かしがることもなく、父を恨むでもなく、近所で起こった
事件に首っ引き。
刑事の子だからね、と宮部女史は言いそうだが、少年の中では近所の事件
より自分の悲劇の方が余程大きいんじゃないかと思うんですけど。

結論として、設定や主人公自体に共感できない。
しかもミステリもあまり感心できない。
著者31歳の時の若書きと聞いて、ようやく感心できた次第。
31歳の女性が描いた中学生の少年、まったく描けていない。


東京下町殺人暮色

2011年2月11日金曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

日本人はほとんどが、

江戸時代の殿様よりも贅沢だ。


なぜ身の回りにある

ありがたさを

忘れてしまうのだろう。


今日も一日味わいつくしましょう。

第350冊 池波正太郎「鬼平犯科帳11」

乱読! ドクショ突撃隊♪    第 350 冊

【1】読書感想 (第350冊)
  
池波正太郎  「鬼平犯科帳11」  文春文庫

鬼平は面白いと書きつつ、前巻10巻を読んだのは昨年9月、
あれから4ヶ月も経っている。
もう少しテンポを上げた方がいいね、池波正太郎はこの鬼平だけにあらず、
剣客商売や梅安、真田太平記と大シリーズや大作が待っている。
少年時代司馬遼太郎で歴史小説に入門した者にとって、池波の酸いも甘い
もな世界はとっても楽しい。
4ヶ月ぶりとはいえ数ページ読み始めただけで、すぅっと鬼平の世界に
戻っていく。

「男色一本饂飩」「土蜘蛛の金五郎」「穴」「泣き味噌屋」「密告」
「毒」「雨隠れの鶴吉」の全7編。
初っ端の「男色一本饂飩」はドキっとする題名だが、実際の内容もかなり
きわどい。
歴史時代小説と男色は切っても切れないテーマで、戦国・江戸期は男色・
衆道が盛んだった。
武家ほどその傾向が強く、男色を絡めた作品も自然と多くなる。
本編ではサブキャラとして重要を成す兎忠が男色を狙われ危機を脱せるか?
とハラハラドキドキ。
鬼平は兎忠の操を信じてやるが、どうとでも取れる描き方をしてしまって
いる池波先生の容赦なさが怖い。

「土蜘蛛の金五郎」では、二人の「鬼平」が戦うという、ちょっと映像を
意識しすぎた面白作品。
ドラマ受けを想定して描かれたような気がするが、実際のドラマで是非
観てみたくなるシーンが出てくる。

冒頭の男色はお笑いで済ませられても、「泣き味噌屋」は悲惨の限りを
描いている。
愛する新妻を陵辱された泣き味噌な武士が、死んだも同然の気持ちで悪党
を一刀両断する話。
悪党は叩きのめし泣き味噌な汚名は晴らせるが、死んだ妻は帰ってこず、
後味の悪い作品も淡々と混ぜている。
極悪非道集団を取り締まる火付盗賊改め方に身を置いている、男達の戦慄
が実に伝わってくる作品が挟まれることで、鬼平の厳しい環境が作品をよ
りリアルに仕上げていると思われる。

2011年2月10日木曜日

本のご紹介です。漂砂のうたう

これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介


本日は ◆話題の小説系


漂砂のうたう  木内 昇
¥ 1,785  集英社 (2010/9/24)


第144回芥川賞受賞作。

いやしかし、時代小説を書く人の頭って、どんな作りになってる
んかねえ。頭の中にずずずらーっと、書架か資料棚でもあるんだ
ろうか。

描写が緻密で、ほの暗い遊郭の世界にぐぐっと入り込むことがで
きた。至福とはこのこと。

時は明治、江戸幕府が倒れて10年が経った頃。主人公の定九郎は、
根津遊郭の立番として働いていた。見世にあげる客を検分する仕
事である。もともとは武家の次男坊だった。

龍造という男がいる。巌のような規律の男で、見世の一手を取り
仕切っている。嘉吉、これは下働きだ。顔中に醜いあばたがあっ
て、何かと劣等感にさいなまれている。

ポン太なる噺家も登場する。滑稽な語り口で現れ、物語を進めて
行く役割を担う。遊女は芳里、小野菊。

定九郎は芳里のことを「とんび」と評している。売れない遊女だ。
客がつかないため、古株なのに粗雑な扱いを受けている。対して
小野菊は彼が働く遊郭の稼ぎ頭。気風がよく、どこか気品を感じ
させる彼女には、足しげく通ってくる上客がついていた。

遊郭の町の描写が続く。そこには堵場も開かれていた。働く男衆
から金を巻き上げるための店だ。

物語が動き始めるのは中盤以降。堵場を預かっていた山公が、出
奔する辺りから、がぜんお話が盛り上がり始める。

山公は長州の出身だった。農民であったが、積もるものがその心
にあった。西郷隆盛が首謀となった、西南戦争に加わるため堵場
を抜ける。

定九郎はあせる。山公は自分の居場所を求めて旅立った。

しかし彼は、未だ遊郭を居場所と定められていない。武家の生ま
れだ。維新がなければ進むべき道はおのずと決められていた。な
のに今、地獄のような遊郭町で自分はいったい何をしているのだ
ろう。

そこにつけこんだのがヤクザ者の吉次だ。売れっ子の小野菊を、
吉原に引き抜こうというのである。遊女の引き抜きはご法度だ。

だが定九郎はその手引きを引き受けてしまった。どうやらほかに
も、内通者がいるようだ。龍造の厳しい監視を逃れ、定九郎は小
野菊を逃がす手段を画策する。

機会が訪れる。小野菊が道中をやるというのだ。そのさなかに、
決定的な恥をかかせてしまえば小野菊はここにいられなくなるだ
ろう。

定九郎はポン太の噺を思い出す。嫁入りの夜、着物が破けて笑い
者になった娘の話だ。内通者と口裏を合わせ、道中の失敗を算段
する定九郎。

ポン太の噺にはこんなオチがついていた。恥をかかされた娘は、
将来を悲観し身を投げて死ぬ。では小野菊は。

道中の途中に逃げ出した定九郎だが、恐ろしくなって再び遊郭に
戻る。果たして、彼の算段は成功してしまっていた。小野菊は泣
く。暗い仕置き部屋に閉じこもって、誰にも会いたくないのだと
言う。

定九郎は思う。小野菊に恥をかかせてやりたかった。それは、こ
の地獄の一丁目のような場所で、小野菊が美しく笑っているせい
である。小野菊は己の居場所をわきまえ、そこに立つ気概を持っ
て生きていた。

では自分はどうなのか。自分は生簀の中の魚、水の中の砂だ。沈
み込み、取り囲まれ、自由になることができない。そもそも武士
であった定九郎には、近年ささやかれるようになったこの「自由」
の意味がわからないのである。

ポン太が諭す。いわく、水底の砂粒だって、ひそやかに動いてい
る。表から見えぬようでも、確実に砂はうごめいている。


めっちゃ面白かった。濃かった。おかげで寝不足になり、翌朝の
支度に支障をきたすほどでした。

今回の四作品、勝手に例えてみるとこんな感じ。(読んだ順で)

月と蟹、コッペパン。きことわ、飴細工。苦役列車、豚汁。漂砂
のうたう、豪華具材入り炊き込みご飯。

長い時間楽しみたいなら漂砂のうたう、三連休を前にして、おす
すめだいっ。

漂砂のうたう

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

心底やりたくないことからは、

逃げていい。

今日も一日味わいつくしましょう。

2011年2月9日水曜日

本のご紹介です。軽くて深い 井上陽水の言葉

これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介



本日は ◆自己啓発系


軽くて深い 井上陽水の言葉  齋藤 孝
¥ 1,575  角川学芸出版 (2010/4/21)


いろんな名言集を読んできたけど、これはまた、格別に新鮮で面
白かった。井上陽水さんの言葉を齋藤孝先生が解説したもの。

いわく陽水さんは「音楽界のニーチェ」なのだそうだ。独特の美
意識を持ち、ありきたりのことは言わない。その言葉は鋭く、異
彩を放っている。人と共振はするが、馴れ合うことはなく、どこ
か孤高の存在である。

齋藤さんが感銘を受けたのは、陽水さんがサングラスをかけてい
る理由をこう、答えたからである。

「たとえばいかがわしい場所で人間の道をきわめるため」

サングラス一つで、これだけ深い言葉をつぶやける人が、ほかに
いるだろうか。

「傘がない」という歌をご存知だろうか。「都会では自殺する若
者が増えている」という、あまりにもショッキングな歌詞で始ま
る歌だ。

だが陽水さんはこう歌い上げる。「だけど問題は今日の雨 傘が
ない 行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ」

この歌を、陽水さんは「天下国家より目先の女って歌ですから」
と語る。浅間山荘事件があったその年に発表されたこの歌で、彼
は政治よりも色恋だと語っている。ほかのミュージシャンとは、
別の角度から世の中の悲哀を見たわけだ。さすが。

いつも剥離し、隔絶はしない。こんなことも言っている。「逆
らってはいけない 合わさってもいけない」 奥田民生さんとの
共作「手引きのようなもの」の歌詞の一部。

私がいいなと思ったのは、こういった力の抜き方だ。

「(作曲も)ふすま貼りと同じ。一種の仕事にすぎない」「100
書いて、いいのが一つあるかどうかだから、いっぱい書くことが
大切」

日々の仕事に向き合ったとき、過剰な期待を抱き、そしてそれに
押しつぶされそうになることはないだろうか。

陽水さんの仕事は歌を作ること。クリエイティブな仕事なんであ
る。でもその仕事に対しても「淡々と、手馴れてくるまでこなす
しかない」とおっしゃっている。

りきみ仕事になって、かえってだめにしてしまうことがある。そ
うなりそうなとき、ふと思い出したい言葉だ。日々を淡々と、誠
実にこなすこと。

「大変な目に遭っている人は大体いいですね」

陽水さんは、その四十代を「真綿で首を絞められるような」気持
ちで過ごしたのだそうだ。がむしゃらに仕事をして、無理がた
たって倒れた。

精神的に病んでしまうのは困る。「兼ね合いですかね。でも四十
代には泣いていただかないと」 そこをくぐり抜けた強さ、しな
やかさというものが、後の人生に深みを与える。

苦労は買ってでもせよと言う。辛いことの後には、素晴らしい世
界が開けているとも考えられる。説教くさくはならず、さらりと
言えるのが陽水さんのすごさ。

あと、言ってみたいのがこの言葉だ。難易度が高そうだけど。

「謙虚、謙虚でやってまいりました」

四十周年スペシャルサンクスツアーで語られた言葉。人を食って
いて、なかなか味わいがある。陽水さんのあの声、しぐさで言う
から素晴らしいんだろうなあ。


齋藤先生の解説がまた面白かった。意味がなさそうである、あり
そうでよくわからない陽水さんの言葉を、こういう風に解釈する
のかと、気持ちが新たになる思いだ。

齋藤先生も、ふすま貼りの言葉がとてもお好きなのだそうだ。ご
著書を多く書けたのは、この言葉のおかげだとおっしゃっている。

力まず、こつこつ。凡人としてはぜひ、見習いたいところ。

軽くて深い 井上陽水の言葉

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

冒険するリスク。

しないリスク。

今日も一日味わいつくしましょう。

2011年2月8日火曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

何気ないひとことで、

人生が変わることがある。

今日も一日味わいつくしましょう。