2011年1月24日月曜日

No.384 椎名誠「チベットのラッパ犬」→ 3.5点

椎名 誠「チベットのラッパ犬」→ 3.5点

発行元 :株式会社文藝春秋 初版発行:2010/8/30
椎名 誠(シイナ マコト)

あらすじ

最終戦争後の混沌とした世界。
工作員としてチベットに潜入したおれは幸運もあって首尾よく目当ての
品を手に入れることができた。
・・と思ったのもつかの間、ブツは生体偽装した誰かにブツをかっさら
われてしまった。
このままでは帰れないおれは、奴を探して追跡を始めることにしたのだった。

コメント

「最終戦争後」の近未来を描くシーナワールド最新作。
『武装島田倉庫」から始まった本シリーズも、気がつけば結構な冊数になった
よなあ。
一見荒唐無稽なようでよくよく考えると妙にリアリティのある世界観と、全編
に漂う「もうどうだっていいやあ。」という渺漠とした哀しみのようなものは
本編でもしっかりと健在で実によかった。

読むというよりはひとつの世界を旅するという方が相応しい一冊。
滔々と、終わることなく流れる長い長い川をゆっくりと下っていくような魅力
と安心感があった。
読み手によると思うが、個人的にはシーナ氏の描くこの世界はかなり好きだ。


チベットのラッパ犬

了。



0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。

※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

無駄な競争心のために、

どれだけの大切なことが

失われてきたのだろうか。


今日も一日味わいつくしましょう。

本のご紹介です。1坪の奇跡

これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介



本日は ◆ビジネス、営業系


1坪の奇跡─40年以上行列がとぎれない 吉祥寺「小ざさ」味と
仕事  稲垣 篤子
¥ 1,500  ダイヤモンド社 (2010/12/3)


吉祥寺にある和菓子屋「小ざさ」。たった1坪の敷地に建つこの
店には、二種類の菓子しか売られていない。一本580円の羊羹と、
一個54円のもなかがそれだ。

特に羊羹は人気だ。一日150本しか作られないその羊羹を求めて、
日の出前から行列ができる。買える本数は一人5本まで。先の一
人が買い占めてしまうと、不公平が生じるからだ。

だが量産はしない。羊羹の小豆は小さな銅釜で炊かれる。一度で
羊羹50本分。一日三度が限界なのだ。

ぐらぐら煮える小豆を、大きなヘラでかき回す。最初は軽いが、
次第に水分が飛んでヘラは重くなる。コツがいる。釜の底より半
紙一枚分のところ。小ざさの小豆は職人の技で練り上げられてい
る。

小豆が紫色に輝く一瞬があるのだそうだ。その一瞬を得るために、
社長の稲垣篤子さんは三十年の年月を要した。先代である父とと
もに、命がけで作り上げてきた味だった。

稲垣さんは戦前の生まれ。戦時中は疎開するなど、苦しい経験を
した。

和菓子屋を始めたのは父親の照男さんだ。戦争ですべて失ったが、
戦後再び菓子を売る商売を始めた。

その頃菓子は自宅で作られていた。稲垣さんがそれを屋台で販売
する。屋台と言えど、店なのだからと、一枚しかない紺のスーツ
を着て店に立った。

狭い場所で立っているのは辛かった。だが父は稲垣さんに厳しく
申し渡す。「品物がなくなったからと店を閉めるのは屋台の商売
のやり方だ。ここは店なのだから、決まった時間はちゃんと商売
をしなさい」 厳しい父だった。

稲垣さんはカメラマンを志したこともある。だが、父の姿を見て
育った彼女は、いつか店を継ぐ決意をした。結婚もしていた。夫
には、自分の食事は自分でしてちょうだいねと宣言し、主婦業よ
りも仕事に打ち込んで過ごしてきた。

毎朝父と儀式をする。居間に座り、よい緑茶を用意して、昨日
練った小豆を食べる。父が納得する味ができるまで、三十年間毎
日小豆と格闘した。

お父様は糖尿病だったそうだ。医者には叱られたが、この儀式だ
けはやめようとしなかった。一番いいものを作る。この信念が、
親子を支え続けていた。

父は一族と従業員の生活を背負っていた。その責任感の強さが、
稲垣さんにも影響を与えていた。父が亡くなったとき、稲垣さん
はただ「ご苦労様、そしてありがとう」という言葉しか思いつか
なかった。苦労し通しの人生だったと思う。

今は稲垣さんが、従業員の暮らしを背負って立っている。皆が助
けあう職場にしたいと考えている。会社は家族のようなものだ。

障害者も積極的に採用している。だが、助成金をもらうことはな
い。助成金をもらってしまえば、それだけの付き合いだと思って
しまう。そうではなく、一人の人として向き合うのが当たり前と
思う。


小ざさの羊羹は人気で、午前一時から並んで待つ人もいるのだと
いう。地方から、わざわざホテルに宿泊して買いに来る人もいる。

平等に買ってもらいたいと考えるから、稲垣さんは家族、親族に
も特別扱いはしない。稲垣さんのご主人も、その行列に並んだこ
とがあるのだそうだ。徹底している。

いいものを誠実に作りたいという、職人さんの熱意が伝わってく
る一冊。稲垣さんは御年78歳だが、今でも元気に自転車で通勤し
ている。

読んで必ず元気になれる本。それから、甘いものが食べたくなる。


1坪の奇跡―40年以上行列がとぎれない 吉祥寺「小ざさ」味と仕事

第347冊 綱淵謙錠「聞いて極楽」

乱読! ドクショ突撃隊♪    第 347 冊

【1】読書感想 (第347冊)
  
綱淵謙錠  「聞いて極楽」  文春文庫

実は本書を読んだのは二度目。
私は滅多に本を二度読まないのだが、この本は数年前に読み、その感想を
書こうと思っているうちに忘れ、いざ書こうと思ってたら内容も忘れた。
パラパラと読めば思い出すだろうと読み返してみると、ほんとに忘れてい
る。
しかし面白い。結局全部読み直した。

見開き2ページに一話が載っており、それが全百話で二百ページ余。
戦国期から明治初期までの埋もれたエピソードが掘り出されており、時間
の合間合間に読むには打ってつけの面白さ。

大きな書店の片隅に、文庫目録と並んで「新刊のお知らせ」という小冊子
を見た事ない?
そこに一ヶ月一話のペースで百ヶ月、実に8年4ヶ月に亘って連載されて
いたものを、時代順に再構成して纏められたのが本書だそうだ。
「聞いて極楽」というのは、いろは歌(関東)の「き」=「聞いて極楽、
見て地獄」から採ったもので、表と裏では随分違うことを指す。
史実の表舞台と、その裏とではこうも違うのかと気付かせる名掌編が多い。

綱淵謙錠の文春文庫は十冊前後出ているが、古本屋でも見かけることが
少ない。
見つけたら迷わず買うが、ベストセラーになった訳でもないだけに、
出回っている量も多くない。
こういった「いい仕事」をした本が、もっと浮かばれるべきだと思う。



聞いて極楽―史談百話

2011年1月23日日曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

人は変えられない。

自分なら変えられる。

自分が変われば人だけでなく、

景色も変わる。

夢も変わる。

今日も一日味わいつくしましょう。

週刊 お奨め本 第430号『シティ・マラソンズ』

週刊 お奨め本
2011年1月23日発行 第430号

『シティ・マラソンズ』 三浦しをん、あさのあつこ、近藤史恵
¥1,200+税 文藝春秋 2010/10/30発行


「純白のライン」       三浦しをん
「フィニッシュ・ゲートから」 あさのあつこ
「金色の風」         近藤史恵

アシックスが2008〜10年に期間限定で実施した「マラソン三都物語 
〜42.195Km先の私に会いに行く〜」キャンペーンの一環として、書き
下ろされた作品とのこと。この三作を収録した書籍も部数限定で配布
されたらしい。

ニューヨークシティマラソン、東京マラソン、パリマラソン。
それぞれの街を舞台に、走ることを通して自分を取り戻す物語。


不動産会社に勤める安部広和は、社長にとつぜん翌日のニューヨーク行きのチケ
ットを手渡された。ニューヨークシティマラソンに出場しろ。
なんという無謀。広和は不覚にも少し涙ぐんだ。なんで俺、こんな社長のために
身を粉にして尽くしてるんだろう。
社長の娘の監視役を仰せつかってニューヨークに赴いた広和は、真結のペースで
ゆっくりと走りながら、過去を振り返る…。
                             「純白のライン」

スポーツメーカーのシューズオーダーメイド部門で働く南野悠斗。ある日、昔の
友人から電話を受ける。東京マラソンで走る、と。悠斗は「俺のシューズで走っ
てくれ」と頼んだ。
才能があると思っていた。オリンピックも夢じゃないと思っていた。限界を知っ
て、がむしゃらにトレーニングをしすぎて、疲労骨折した高校時代。それからす
べてに中途半端だった自分…。
                       「フィニッシュ・ゲートから」

バレエ一筋だった香坂夕。凡庸な才能しかない自分に比べ、妹は天賦の才に恵ま
れていた。バレエをやめて、夕はパリに留学した。
金髪の女性がゴールデン・レトリバーと共に走っていく。借りている部屋の前が、
彼女たちのランニングコースになっているらしい。金色の風が駆けて行く。彼女
たちに誘われるように、夕も走り始める。
親しくなったアンナが言う。「あなたもバレエという芸術の一部なのよ」。…
                               「金色の風」

三篇とも、短すぎてちょっと物足りないなー。
「純白のライン」はニューヨークシティマラソンガイドとしてもおもしろい。
スタートと同時に参加者が脱ぎ捨てる防寒着はボランティアが拾い集めて寄付に
まわすとか、ランナーも心得ていて寄付用に新品を着てくるとか、流しそうめん
型男性用トイレとか。きっと取材に行ったんだな。

東京マラソンはさすがに街のガイドは必要なかったようだ。

パリマラソンの「金色の風」は、マラソンコースとしてではなくパリの街のガイ
ドになっている。『タルト・タタンの夢』『ヴァン・ショーをあなたに』でフラ
ンス通らしさを披露している近藤史恵。うー、街角のパン屋さんでバゲット買っ
て食べたい。

こういうのを読むと、無性に走りたくなってしまう。
実際には、走るどころかウォーキングですら10キロも自信ないのだけど。
自信はないけど…走ってみようかな。
もしかしたら、新しい自分に出会えるかも。





えー、先週に引き続き、もう一冊紹介しちゃいます。
個人的には『シティ・マラソンズ』よりも面白かったんですけどね、いくら発行
人の趣味と偏見で選んで紹介するメルマガといっても、あまりに偏りすぎかなー
と遠慮してみました。しかしもしかしたら発行人と趣味の近い読者さんが意外に
多いかもしれないしーと、ここにちらりと紹介してみます。

『戦場のハローワーク』 加藤健二郎
¥695+税 講談社(講談社文庫) 2009/12/15発行
ISBN978-4-06-276524-4

軍事ジャーナリストの加藤健二郎氏が、戦争をメシの種にする方法を紹介。
つまんないネタでもそれが戦場である限り、売れるのだ! 戦場はネタの宝庫だ!
食いっぱぐれはない! と陽気に言ってのけます。
女の子をナンパしても記事になる、酒を飲んでも記事になる、人質になったら本だ
って出せる、と経験談を交えて気楽に面白おかしく書いてるのが、すごく痛快!
素人が軽い気持ちで行くもんじゃないと大御所がしかめ面をするのは既得権益を
守りたいだけだ、と一刀両断。
好きだー、こういうキャラ、好きだー(爆)!



シティ・マラソンズ』 三浦しをん、あさのあつこ、近藤史恵

戦場のハローワーク』 加藤健二郎

2011年1月22日土曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

もし、強靭な精神を手に入れることができたら、

きっと、「したたかさ」も「かけひき」も

いらなくなると思う。

今日も一日味わいつくしましょう。

2011年1月21日金曜日

本のご紹介です。月と蟹

これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介



本日は ◆話題の小説系


月と蟹  道尾 秀介
¥ 1,470  文藝春秋 (2010/9/14)


第144回直木賞受賞作。

主人公は小学生、慎一。父親をガンで失った彼は、母と二人、鎌
倉の祖父のもとへ身を寄せていた。貧しい暮らしだ。

祖父の片足は義足である。漁師だった昔、船の事故に巻き込まれ
たのだ。同じ事故で、慎一の同級生も母親を亡くしていた。

鳴海という。お金持ちで、人気のある女子児童だ。彼女のことが
あるせいか、慎一はクラスに溶け込めないでいた。慎一の友人は
ただ一人、春也という、大阪から転校してきた子供だけだ。

学校が終わると、春也と連れ立って海へ遊びに出かける。彼らの
楽しみは、ヤドカリを捕まえてあぶりだすことであった。ライ
ターの火を近づけて、熱くなったヤドカリが殻から出てくるのを
見て楽しむ。

あるとき二人は、岩の上にくぼみがあるのを見つける。ここでヤ
ドカリを飼うことにした。そこは不思議な場所だった。風が吹く
と岩がうなる。

ヤドカリをあぶって遊ぶ。残酷な楽しみがあった。金がほしいと、
何気なしに言いながらヤドカリをあぶると、ヤドカリは死んでし
まった。その日、二人は五百円玉を拾った。

ヤドカリを殺せば、願いがかなうのかもしれない。慎一はいつか、
ヤドカミさまという妙な名前でヤドカリを呼ぶようになっていた。

その頃、慎一は二つの悩みを抱えていた。親友の春也が、どうや
ら虐待を受けているらしいこと。もう一つは母が、鳴海の父と恋
愛関係にあるらしいということだ。

鳴海も気づいていたようだ。慎一に近づいてくる。やがて鳴海は、
慎一と春也と、三人で岩のくぼみに行くようになった。

鳴海が慎一の家を訪ねる。祖父も母も、普段と違う様子を見せて
いた。祖父は明らかに酒量が増えていた。祖父はあの事故のこと
を語り始める。

祖父は子供の頃、怪我をした友人を捨てて逃げたことがあった。
足をなくしたのはその報いかも知れぬ。

鳴海は逃げた。では母も、悪行の報いで死に至ったのか。祖父は
追い、転倒して頭に傷を負う。

また、鳴海が介在したことで、慎一と春也の仲にも微妙な隙間が
生まれていた。対抗心と独占欲。よどむ感情を抱えながら、二人
はヤドカリをあぶり続ける。その儀式だけが互いを結ぶもので
あった。

慎一は母を尾行する。決定的な瞬間を見た。春也は腕を骨折し、
虐待がのっぴきならぬ状態にまで進んでいた。ヤドカリを殺し、
ヤドカミさまに願いをこめる。

慎一は鳴海の父の死を願った。このとき、慎一は錯乱状態にあっ
た。春也が慎一のため、鳴海の父を殺すのではないかと錯覚する。
救うため、慎一は父が乗った車の前に飛び出した。ヤドカミと
なった春也が、父の車に潜んでいる想像をしたからだ。

慎一は一命をとりとめる。母と二人、鎌倉を去る。


まあくどい。長かった。100ページの短編くらいにしてくれたら
よかったのに、というのが正直な感想。疲れたわ。

ちなみに、表題の蟹というのは、父を奪ったガン(キャンサー)
と、ヤドカリの意味であるようだ。

月と蟹  道尾 秀介

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊


夢を持つことで

日々のなにげない出来事に
彩りを感じるようになる。


今日も一日味わいつくしましょう。

2011年1月20日木曜日

本のご紹介です。島さんぽ

これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介



本日は ◆生活、ほっこり系


島さんぽ  上大岡 トメ
¥ 1,365  角川書店(2010/3/27)


「キッパリ!」の上大岡トメさんが、日本の島をめぐる。イラス
ト入りエッセイ。向かう島は屋久島、沖縄、淡路島、八丈島。

この中で、私が最も訪れてみたい屋久島を、ここでご紹介してみ
ようと思う。

屋久島までは、鹿児島から船か飛行機で行ける。トメさんは着い
てすぐに、レンタカーで島を一周されたのだそうだ。半日ほどで
まわれるようだな。

翌日、縄文杉を見に行く。タオルを首に巻き、シャツは二枚重ね、
ステッキを持って本格的な登山スタイルで。

それもそのはず、縄文杉を見るには、合計往復10時間もの登山が
必要であるらしい。けっこうハードなんだな。

トロッコ線路に伝って歩き、線路が終わると山道になる。急な斜
面であるが、珍しい杉がたくさんあって飽きることがない。

中でも「ウィルソン株」という、樹齢300年の切り株がトメさんの
印象に残っている。中が空洞で、立ったままは入ることができる。
ほかにも二つの木が絡み合うように生えているものもあり、自然
のすごさを感じさせられる道だった。

水は流れているものを好きなだけ飲める。緑がむせ返り、山の精
がいるような気になった。

樹齢1000年を超えるものが、総じて屋久杉と呼ばれるそうだね。
中で縄文杉と呼ばれているものは、樹齢なんと、7200年を数える
と推定されている。

森の中にいると、人間以外の何かがいても、おかしくないと思え
る。

トメさんはそう言う。普段はスピリチュアルなものなどに、そう
興味はないほうだが、屋久島に来て少しだけ考えが変わった。

目に見えない大切なものはいっぱいある。屋久島は、そんなこと
が自然に思えるような場所だ。

行ってみたいなあ。山の中、川のそばにいると、なんだか無性に
うおーってなるときあるよね。(え、ない?)

トメさんは、大昔、人間が森の中で暮らしていた頃の遺伝子が呼
び起こされるような気がする、とおっしゃっていた。わかるわ。

あとは観光案内なんかもある。

この本には、宿の名前とか、レジャースポットの名前とかがたく
さん記されていた。その意味で、旅行記というよりは観光ガイド
みたいな印象が強い本だった。

そこは少し残念。もっとがっつり、著者の考えや目で見たものを
書いてほしかったという思いは残る。

しかし、島巡りってのは面白そうだね。幼い頃から淡路島を見て
育ってきて、海の向こうへの憧れは私のうちにずっとある。向こ
うへ渡って行きたいという原始的な欲求がある。

日本は島がたくさんあるもんね、と、締めようと思っていたけれ
ど、よくよく考えれば本州だって島なんだよね。

島国ニッポン。島の魅力を語る本、以後続刊希望だな。

島さんぽ  上大岡 トメ

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊


イライラしてはいけないと強く思っている人ほど
なぜかイライラが増えていくという現象。

まずは
イライラしている自分を受け入れることから。


今日も一日味わいつくしましょう。

こんな発想があったとは…本を折り紙にしてしまった斬新なアート

本アート00

以前、本を削った彫刻をご紹介したことがありますが、今回ご紹介するものはページを折り込むことで文字や図形を浮かび上がらせた、本の折り紙とも言うべき作品。



その他、アーティストのIsaac Salazar氏による、文字通りクリエイティブなアートをご覧ください。


続きを読む

2011年1月19日水曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

何を選んだか。

よりも、

どういう思いで選んだか。


今日も一日味わいつくしましょう。

本のご紹介です。台湾人生

これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

本日は ◆社会派、ドキュメンタリー系

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

台湾人生  酒井 充子
¥ 1,650  文藝春秋 (2010/04)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

旅行記ではなかった。読み始めてすぐに「ありゃりゃ」と思っ
たけれど、本を閉じようとは思わなかった。

台湾はかつて日本の統治下にあった。50年という長い年月だ。
その時代を生きた人に会い、聞いた話をまとめたもの。ドキュ
メンタリー映画にもなっている。

統治時代をめったやたらに賛美するものではない。差別はあっ
た。軍国教育を受けて徴兵に応じ、死んでいった台湾人もいる。

だが50年だ。生まれたときには日本人で、そのまま成人した人
が台湾にはたくさんいる。本書に出てくる人たちは、そのよう
な時代を生きた人だった。

少年工として、日本の兵器工場で働いた男性がいる。工場の
あった町を今でも懐かしく思い、第二のふるさとであると考え
ている。当時働いていた日本人とは、今でも交流がある。

彼は貧しい育ちだった。就学を断念しかけたが、日本人の先生
が金を出してくれたおかげで学校に通えた。「先生がなかりし
かば」と、彼は口癖のように言う。今の私の人生はなかった。

恩師が病に伏せたとき、彼は日本まで来て看病をした。先生の
最期の言葉は「もういいよ」だったそうだ。

ビルマで戦った元日本兵がいる。軍国少年だったから、軍隊に
は自ら志願した。軍での差別、戦友の死を見て、やはり戦争は
いけないと思う。

なんとか帰国することができた。帰国後の暮らしは厳しいもの
だった。

台湾は中国に占拠されていた。同胞が来たと、喜ぶ声も確かに
あった。だが中国人の統治は横暴で、次第に日本のほうがまし
だと考えるようになった。

暴動が起きた。このことがきっかけで、多くの知識人が逮捕さ
れ、殺された。彼も拷問を受けた。危うく助かったが、弟が銃
殺されるという悲劇を経験した。

今彼は、観光ガイドのボランティアとして活動し、若者に本当
の歴史を伝えようと務めている。日本人が来ると、教育勅語を
印刷した紙を手渡すのだそうだ。

日本人には親しみがある。だが日本政府には納得がいかない。
戦後台湾を見捨てた。今も中国の顔色ばかり見て、台湾の国連
加盟を後押ししてくれない。


彼らの日本に対する感情は、陳腐だけれど、愛憎半ばというこ
となのだろうかと考える。

茶道も生け花も、日本人の若者よりも知っているという自負が
ある。好きな歌は日本の歌。勇ましい軍歌が好きで、日本語の
歌詞ですらすらと歌う。

しかし日本は彼らに報いなかった。捨てられた、なぜ捨てたの
だと責める気持ちが消えない。

アメリカよりも、中国よりも仲良くすべきは日本だと思うのに、
台湾人も日本人も、かつて同国であったことを忘れ去ってし
まっている。歯噛みするような思いがある。


押し付けがましい思想はないので安心して読める。知らないこ
とがたくさんあって、とても勉強になった。

台湾人生  酒井 充子

2011年1月18日火曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

人生は、

世間に対する自分の

プレゼンテーションの連続だ。


今日も一日味わいつくしましょう。

本のご紹介です。禅的シンプル仕事術

これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介



本日は ◆自己啓発系


禅的シンプル仕事術  枡野 俊明
¥ 1,260  実業之日本社 (2010/5/8)

p>
昨年読んだビジネス書で、「減らす技術」というのがとてもよ
かったので、類似の本かと思って読んでみた。

ところがちょっと違っていて、どちらかというと、小池龍之介さ
んの著作に似ていると思った。小池さんも、この本の著者もお坊
さんである。

キーワード一つに対して解説あり。とても読みやすい。煮詰まっ
ているときにふっと開いて、気分転換ができそうな本だった。

・ていねいに呼吸する。

禅において呼吸は、最も大切な修行のうちのひとつである。丹田
(おへその下の辺り)に意識を集中させて、ゆっくり、長く細く
息を吐く。

吐ききったら自然に吸いたくなる。呼吸という言葉は、吸うより
も吐(呼)くという字が先に来ている。どっしりとした呼吸をく
り返していると、気持ちが落ち着いてくる。

・ためない

「一日なさざれば、一日食らわず」という言葉がある。働かざる
者食うべからず、という意味ではない。

一日を一生懸命働いて、その日の分の食事をする。二日分働くこ
とはせず、二日分食うこともしない。それが人間にとって、一番
健康なことだ。

・一日10分、ぼーっとする。

一度やってみてほしい。案外難しいことに気づくだろう。

何も考えない状態。禅では「無の境地」といい、この状態を得る
ために、僧侶は厳しい修行に取り組む。

私たちにその必要はないかもしれないが、頭を休めることは大切
なこと。座禅を組むのもいい。

・ことなる意見に耳を傾ける。

境内に僧侶が二人。幡(吹流し)を見ながら言い争っていた。

「幡が動いているのではない。風が動いている」
「いや、幡そのものが動いており、風は動いていない」

そこに現れた師が言った。「動いているのは風でも幡でもない。
お前たちの心だ」

世の中にはこれが正しいと、言い切れることはない。物の見方は
さまざま。すべてを一度受け入れ、自らの心に問い直してみよう。


レオ・バボータさんの「減らす技術」は、仕事をいかにシンプル
にするかという、ビジネス書寄りの本だった。その意味で「禅」
が本当に理解されているのか、疑問だったのは確か。

とにかくその作業に集中すること。無駄なものを削ること。

このことを荒削りに「ゼンっつったらゼンなんだからね!」と、
言い切ってしまっていたかもしれない、と今になってはわずかに
思う。

それに比べて今度は本当に「禅」だった。心構えを書いたもの。

字、大きめ、レイアウトがきれい。読みやすい。カバーデザイン
もシンプルで、ちょっと固めの手触りもよろしい。(本屋さんで
見つけたら、ぜひなでなでしてやってね)

忙しい毎日を送っている方に。

禅的シンプル仕事術

2011年1月17日月曜日

本のご紹介です。チュートリアル福田充徳の家呑みレシピ

これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介


本日は ◆生活、ほっこり系


チュートリアル福田充徳の家呑みレシピ  福田 充徳
¥ 1,365  ワニブックス (2010/2/27)


福田さん、早く良くなってね!

というわけで、本日は話題性もたっぷりのこの一冊。漫才コンビ、
チュートリアル福田充徳さんの、自慢のレシピを集めたもの。

実はこの福田さん、お酒がものすごく好きなのだそうだ。ほぼ毎
日飲んでいる。家で飲むのも好きで、あわせるお料理もご自身で
作っている。

簡単にできるものが多い。凝っているわけではないが、手抜きで
はない。家庭でマネできるものばかりだった。

・豚キムチフライ
豚の薄切り肉にチーズとキムチを巻いて、パン粉をつけて揚げる。

・ちくわのバジルツナマヨ
ビニール袋に水気を切ったツナ、バジルペースト、マヨネーズを
入れる。

袋のはしを切って、中のバジルツナをしぼり出すようにしてちく
わの中に入れる。ちくわを斜めに切って皿に盛る。

・イカ刺身の大根おろしマヨネーズ和え
大根おろしは水気を切る。大根おろし、マヨネーズ、イカの刺身
をボウルで和える。醤油で味を調えて。唐辛子をふるとよい。

・レタスの丸ごとしゃぶしゃぶ
レタスは芯をくり抜く。お湯をわかし、塩と酒を入れる。レタス
を丸ごと入れてさっとゆでる。ゆですぎないように。

たれは醤油、バルサミコ酢、みりん、酒、水を混ぜて熱したもの。
片栗粉でとろみをつけて。

・トマトと卵のザーサイ炒め
トマトは乱切り、種をとる。ザーサイは粗みじん。溶き卵に塩、
コショウをふっておく。

フライパンにごま油、トマト、ザーサイを炒め、醤油、紹興酒、
コショウで味を調える。卵でとじてできあがり。

福田さんいわく「ちょっと良さげな店ではイイ値段とるんですよ」
というメニューなのだそうだ。

・うなぎのピカタ
うなぎは小麦粉をふって、溶き卵にくぐらせる。フライパンで焼
いて、うなぎのたれをかけて食べる。少ないうなぎでも満足感が
得られる一品。

男性が作る料理はがっつり、ジャンクなものが多くなりがち。福
田さんは、鍋物やスープで栄養バランスを整えています。

・いろいろきのこ汁
だし汁に薄口醤油とみりん。お好みのきのこに鶏肉を入れて。

ほか、サムゲタンも作る。トマトスープも好き。豚汁にはコチュ
ジャンを入れて辛味をくわえるとおいしい。


福田さんの料理のルーツはあの「美味しんぼ」。小学校高学年の
頃にはまり、一時は料理人を夢見たこともあったとか。

スーパーが好きで、住居を決めるときは必ず近くのスーパーを確
認する。遅い時間に行って、食材がお値打ちになる時間帯がとて
も好きなのだそうだ。ツナ缶、納豆、さけるチーズなどを家に常
備している。

一人で飲むことは寂しいことだとは思わない。好きなものを食べ
て、好きなように飲める。いいことだと思う。グルメ番組をぼん
やり見ているのが好きだ。

ご家庭で、おつまみを作ることが多い人には便利な一冊かもしれ
ないな。

しかし、飲み過ぎにはご注意。元気な福田さんの笑顔を、早く見
られますように!

本日ご紹介の本はこちらから↓
チュートリアル福田充徳の家呑みレシピ

No.383 吉田修一「女たちは二度遊ぶ」→ 3.5点

吉田 修一「女たちは二度遊ぶ」→ 3.5点

発行元 :株式会社角川書店
初版発行:2006/3/31
吉田 修一(ヨシダ シュウイチ)

あらすじ

女たちはいつでもちょっと不思議で、そしてそれぞれに魅力的だ。
どしゃぶりの雨の一日から始まって、ひたすら僕の家でじっとしていた女。
中学生の時に初めてデートした女の子。
公衆電話でのちょっとしたすれ違いから僕と寝るはめになった女。。
とりたてて変化のある訳でもない僕の人生を彩ってくれた様々な女たちの
エピソード11編。

コメント

これ、確かドラマにもなってたよな。
と思い手に取った一冊。意味はよく分からんが、何となく肌触りがよくて
魅力的なタイトルだと思う。

ほほう、ふふん。なるほど。なぬ!?・・と言う感じで、11篇の短編を
あっという間(1.5時間)で平らげてしまいました。

男にとって全ての女性は永遠に謎を秘めた存在なのだけれど、それを実に
さらりと手際よく料理したよなあという感じの一冊。
読みやすさ満点なので、秋の夜長にウイスキーでもちびちび飲みながら読
むと良いですよ。

昔のことをちょっと思い出すかもしれません。。



女たちは二度遊ぶ

了。



0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。

※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

自分が好きとか嫌いとかじゃない。

すべてなんだ。

今日も一日味わいつくしましょう。

2011年1月16日日曜日

双雲からの言霊

■今日の武田双雲からの言霊

高いところには行けなくとも、

上向きにはなれる。


誰でも、どんな状況においても。

今日も一日味わいつくしましょう。