他人と比較しない人は強い。
他人と比較しても明るくいられる人は、
もっと強い。
今日も一日味わいつくしましょう。
これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介
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こんにちは!活字中毒のモモちゃんです。
先生に関するいいエピソードを思い出そうとしてみた。
・高1のときの先生 作家になる夢があきらめられないと、学
校を辞めて出て行かれた。(実話)
・高2のときの先生 放浪こそが人生なのだと、学校を辞めて
旅に出られた。(実話)
・高3のときの先生 祭りに出ないと村八分だと、学校を休ん
で祭りに参加された。(実話)
人生は自由なのだ。先生方の薫陶を受けて、好き放題に生きて
おりますです、ハイ。
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本日は ◆世間話、時事ネタ系
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心に響く小さな5つの物語 藤尾秀昭(著)、片岡鶴太郎(絵)
¥ 1,000 致知出版社 (2010/01)
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世知辛い世の中やけどね。いい話だってたくさんあるのよ。
胸が熱くなるお話が五つ。文字は大きくふりがなもある。小学生
なら十分読めるんじゃないかな。
縦の長さは約20センチ、厚みは2センチに満たない。鶴太郎さんの
挿絵がふわりと素敵なので、プレゼントなどにしてもよいかも。
・イチローの話
イチローは小学生のとき、こんな作文を書いていた。
「三年生の時から今までは、三百六十五日中三百六十日は激しい
練習をやっています。そんなに練習をやっているのだから、必ず
プロ野球選手になれると思います」
夢に対して本気、夢を見る代償を進んで払おうとしている。見習
うべき姿勢がそこにある。
・ラジオで聴いたOLの話
父が交通事故に遭った。働き者で、村の共同作業にも骨身を惜し
まず走り回る父だった。
病院にかけつけた娘に父は言う。「いいか、これからは『おかげ
さま』と心で唱えて生きていけ。みんながきっと助けてくれる。
『おかげさま』をお守りにしていけ」
父の死後、彼女は親切にしてくれる人に「おかげさま」と唱え続
けた。皆が親切にしてくれた。父がくれたお守りは、彼女を裏切
らなかったのだ。
・縁を生かす
小学校の先生のお話。受け持ったクラスに、気に食わない男の子
がいた。服装が不潔でだらしない。記録には、当然悪いことばか
り書いた。
ところが一年生からの記録を見直すと、大変朗らかで明るかった
その子が、母親の死をきっかけに暗く沈んでいった様子が記され
ていた。
同時に、母親のいない家庭が荒れているらしいことも。
先生は放課後、その子供に声をかけた。「先生、仕事をするから、
あなたも勉強をしない? わからないところは教えてあげる」
それから毎日子供は勉強を続けた。
彼は卒業しても、先生に便りを送ってくる。奨学金をもらって大
学へ進学したこと、医者になったこと、そして生涯の伴侶を見つ
けたこと……。
「縁を生かす」については、これでもかなり内容をぼやかしたつ
もりであります。読んでいただければもう号泣は必至。
短いお話ばかりだ。優しい気持ちになりたいときに。
これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介
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こんにちは!活字中毒のモモちゃんです。
この前歯医者に行ったら、待合でミョーにハイテンションな
おばさんに出会った。
「○○なんだよ、ネ」とか言いながら首を傾けて、シャツの
長い袖をずり下げて手で持って、おどけるようにしてしゃべっ
ている。
誰かに似ていると考えて、家に帰ってからひらめいた。中島
みゆきだ。あのみゆきさんの不思議トークに似ているんだ。
や、それだけなんだけど。でもおかげで、歯医者に行くのが
楽しみになった。また会いたいと思う。
ちなみに私はれっきとした(?)中島みゆきのファンである。
実はモノマネもうまいんである。いつか機会があれば、みゆ
き節で歌う「浅い眠り」をご披露したいと考えている。
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本日は ◆社会派、ドキュメンタリー系
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コミック貧困大国アメリカ 堤未果(著)、松枝尚嗣(イラスト)
¥ 1,260 PHP研究所 (2010/1/21)
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新書で発行され話題を呼んだ「ルポ貧困大国アメリカ」を漫画化
したもの。前から読んでみたかったので、とりあえず漫画でと、
ありがたく手に取ってみた。
六つの話題が取り上げられている。サブプライムローン、貧困と
肥満、医療保険の問題、転落する医師たち、経済徴兵制、民営化
する戦争を支える世界のワーキングプア。
それぞれ主人公が設定されており、読み手は感情移入しつつ、わ
かりやすく問題を理解できる。漫画の後には解説もあり、知識を
補完できるようになっている。
ここで二つばかり、話題をご紹介してみようと思う。
・一度の病気で破綻する人々 医療保険の問題
エミリーは小さな会社のOLだ。背中が痛い。契約している保険会
社に電話して、近くの病院を紹介してもらおうと思った。
アメリカでは、大半の人が民間の保険会社で医療保険に加入して
いる。民間の会社であるため、どの病院でも適応されることがな
く、その会社の契約している病院にかからなければならない。
適当な場所になかったので、エミリーは背中の痛みを放置したま
ま日々を過ごしていた。
友人がいる。彼女は男の子を生んだが、入院費用が出せないため
に出産したその日に病院を追い出された。アメリカでは入院一日
あたりに、4千ドルから8千ドルもかかる。
やがて友人は家を出てゆく羽目となった。実は彼女の夫は虫垂炎
で手術を受けていたのだ。その医療費と出産費用。やりくりがで
きず、自己破産するしか仕方がなかった。
そしてエミリーにも病魔が襲いかかる。背中の痛みだけでなく、
めまいまで起こるようになってしまった。だが保険は下りない。
初期段階で検査を怠った、エミリーに問題があるというのだ。
病院は金を稼ぐために無駄な検査をくり返す。(次章の転落する
医師たちに詳しい)保険会社は理由をつけて保険料の支払いを拒
否しようとする。エミリーにも自己破産の影が……。
・出口のない若者 経済徴兵制
ジェーンは高校三年生。高校を訪れる軍のリクルーターに神経を
とがらせる日々だ。
アメリカは慢性的な兵士不足。リクルーターを立てて若者を軍に
勧誘する。狙いは貧しい家の子供だ。大学の学費を国防省が負担
する、従軍時にも職業訓練が受けられる、保険制度の適応など、
甘い言葉をなげかけるのだ。
この裏には、ブッシュ政権で成立した「落ちこぼれゼロ法」なる
法律がある。この法律は、生徒の個人情報(親の年収を含む)を
軍に渡すよう命じたものだ。
個人情報を出さない学校には、国からの助成金が削られる。それ
で運営を支えている貧しい地区の学校は出さざるを得ない。だが
裕福な家の子が通う学校は……。
入隊の折には、良心的兵役拒否の権利があると「だまされる」。
職業訓練が受けられるという言葉に「つられる」。だが現実はそ
うではない。
軍の賃金は民営化によりコストカットの対象となっている。無事
大学に入学できても、支給される額では授業料をまかなえない。
借金が増える。貧困層の再生産だ。
一度軍に入った者がリクルーターになる例も多い。危険がないホ
ワイトカラージョブだからだ。だがそのリクルーターにも重いノ
ルマが課されており……。
こ、こわー。怖いわ、アメリカ。もちろん、これがかの国の暗部
に焦点を当てて描いたものだと理解はしている。だが虚構ではな
いのだ。
一読の価値はあり。資本主義の行き着く先がこれかと、暗澹たる
気分にさせられる。
最後はオバマ大統領の演説で締めくくられている。「我々が今、
問うべきなのは政府が機能するか否かなのです。家族が人並みの
給与の職を見つけたり、負担できる保険やちゃんとした退職金を
手に入れること。その助けに、政府がなれるかどうかなのです」
変われるのか、アメリカは。
本日ご紹介の本はこちらから↓
http://wadainohon.seesaa.net/article/169558618.html
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●新書版はこちら
ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)
ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)
これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介
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こんにちは!活字中毒のモモちゃんです。
また糠床を作った。
何度か挑戦しているんだけど、そのたびに悪くしてしまって、
捨てる羽目になるばかりだったんだ。
たいてい、できた当初は一日に何度も出しては開け、開けては
混ぜをくり返す。だけどそのうちうっかりしてしまって、気が
つくと悲しいかな、変なにおいがするようになってしまうんだ。
というわけで、ここで宣言いたしましたからね。毎日おいしい
糠漬けを作ります、食べます。
自慢の糠床というやつを、持ちたいお年頃なんだ。
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本日は ◆ビジネス、営業系
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30日で人生を変える「続ける」習慣 古川 武士
¥ 1,365 日本実業出版社 (2010/11/11)
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ほんのわずかなことでも、続ければ大きな力になる。
たとえば読書。一日30分を一ヶ月続ければ15時間、本に費やすこ
とになる。一冊3時間として、一月で5冊。三年経てば180冊の本に
目を通すことができる。
だが問題はそれを「続ける」ことだ。目標を立てても続かず、挫
折感を味わうことが、人生で何度あっただろうか……。
実はこの習慣化、失敗した人を調査してみると、およそその半数
近くが始めて7日以内に脱落しているのだそうだ。この本ではその
期間を「反発期」と呼ぶ。
次の8日から21日までの間で約4割が挫折する。この期間は「不安
定期」。続いて22日から30日までの間は「倦怠期」と名づけられ、
この時期にも2割、続けられなくてやめてしまう人たちがいる。
本書では、時期別の乗り越え方、習慣としてつづけていく方法を
詳しく解説してくれている。とてもわかりやすい。説明が明快な
のがいい。やってみようと思える。
目的によって、習慣化するまでに必要な時間は多少違ってくるそ
うだ。たとえば人脈を作ろうと思うと、一月では足りず、より多
い時間が必要になる。
だが本日このメルマガでは、30日間続ける方法をひとまず紹介す
ることとする。30日で結果が出る習慣は、片付け、貯金、テレビ
離れなどがある。
目標を立てる。始める。するとすぐ反発期が来る。このとき、問
題となるのは立てた目標のハードルの高さである。
やっぱ無理かも、と思っちゃうんだよな。
この時期はただ続けることを念頭に置くこと。読書なら、とにか
く本を開いてみる。ランニングなら準備運動だけでもOK。この時
期に難しいことをしてはいけない。考えてはいけない。
ベビーステップと命名されているが、とかく簡単なことをとりあ
えず続ける習慣をつけよう。結果にこだわってはだめ。
8日目からの不安定期にも、続けることに集中する。この時期にな
ると、イレギュラーなことが言い訳になりがちになる。体調不良、
仕事の多忙、突然のイベントなど。
そんなときは再びベビーステップに戻るともよい。始めた当初の
簡単な行動を再度やるのだ。どうしてもだめなら、振替日を設け
るなど、臨機応変に対応しよう。
自分を励ます仕組みも、この時期に作っておきたい。ご褒美を設
定する、遊びを取り入れてみる、周りに宣言するなど、その方法
もいろいろ紹介されている。
さて倦怠期だ。せっかく続けてきた習慣に、飽きが訪れる時期だ。
このときは変化を作ろう。テキストを変えてみたり、音楽を流し
ながらやったり、部屋から飛び出してカフェに行ってみたり。
私がいいな、と思ったのは、この時期に次の目標を考えるという
ことだった。
習慣化するまでは、一つの目標に専念すべきなのである。だが一
月し、たいてい慣れてきたと思ったら、新しい目標を立ててもい
いのである。いいらしいんだ。
次やることも、味わう倦怠も、多分同じであるだろうけれど、着
実に新しい自分になれている気がする。これはうれしい。
そう思うと今の習慣も大切に思えてくるんじゃないだろうか。
挫折するのは自分だけではないのだと思った。誰にも共通する心
理が、そのときには訪れるようだ。ならば制する方法も、必ずあ
るというわけである。達成している人が現にいるのだから。
は、は、は、と高笑いが出る一冊だった。三日坊主の正体見たり
と、しゃれこみたい気分になった。もう怖くねえや、な。
また気に入ったのが紙の質だ。なんでやろね、すべすべしてるね
ん、この本のページ。
本屋さんで見かけたら、表紙、ページ、つるつる撫で回してやっ
てちょーだい。ご利益が得られたような気分になれる、かも。
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●年末を見据えて、そろそろプリンターの季節ですなあ。
無線LAN&高画質、カンタンLEDナビ搭載。
どんどん便利になるね。
副題:子どもの脳とトラウマ
児童虐待と、それが子どもに及ぼす影響についての書。
舞台はアメリカ。
性的虐待を受けた少女。
母親が殺される現場を目撃し、自身も咽喉を切られ、そのまま半日も母親の死体
のそばに一人きりだった少女。
カルト教団で絶対的権力者の暴力の支配下にあった子どもたち。
ネグレクトのせいで高カロリーの栄養を摂りながらも成長できない少女。
ネグレクトから社会病質者となり、少女ふたりを殺してレイプした(この順番で)
少年。
トラウマから解離症状を起こし意識を失った少女。
ミュンヒハウゼン症候群の母親に傷つけられた少年。
…等々の事例とその対処と結果を紹介するなか、ひときわ目を引く章題が、
「第六章 犬として育てられた少年」
これが本書のタイトル。
ジャスティンは生後二ヶ月で母を亡くし、祖母に引き取られるが、一歳になる前に
祖母も死亡。祖母の恋人の男性は、幼児の世話の仕方を知らなかった。犬のブリー
ダーだった彼は、ジャスティンを犬と同じように扱った。犬の檻に入れ、食事は与
えたがスキンシップはなかった。
六歳で肺炎で入院したときには、言葉を話せず、歩くことができず、スプーンやフ
ォークを持てず、排泄物や食事をスタッフに投げつけた。
彼の脳は、アルツハイマー病が進行した状態にそっくりだった。…
悪意からではなく、無知からネグレクトが起きる。
子どもが健全に成長するためには、スキンシップが重要。
甘やかすのと、愛情を注ぐのとは別。
…でもこの区別はいかにも難しそうだな。
> 子どもが問題行動を始めたときに大人が真っ先に感じるのは、罰してやめさせよ
> うという衝動だが、これは悪い結果をもたらすことが多い。[…]子どもに優しい
> 行動をとってほしかったら、彼らを優しく扱うことだ。(360頁)
トラウマにさらされ傷ついた心も、たっぷりの愛情と正しい治療によって回復を期
待できる。
…間違った治療は悪化させる。
今でも広く信じられている有害な信念のひとつに、「トラウマから回復するために
は、記憶を掘り出して話し合わなければならない」という考え方がある。セラピー
にかかり、記憶に向き合う。ん〜、一見、前向きなようだけど。
「記憶捏造」事件もあるし。
この本で紹介されているのはアメリカの事例だけれど、日本でも同様の事件は起き
ている。そしてひとたび事が起きた後のフォロー体制が、日本はアメリカどころで
はなく遅れている。
国の将来を考えたとき、子どもを守る制度は絶対に必要なのに。
ていうか、国がどうこうっていうより、子どもって私たちの未来でしょう。
子どもを守れなくて、なにが守れるっていうのか。
> 火は人を暖めることも、人を焼きつくすこともできる。水は人の咽喉の渇きを癒
> すことも、人を溺れさせることもできる。風は人の肌をなでることも、人の身を
> 切ることもある。人間同士の関係も同じだ。(11頁)
現実は絶望に満ちているように見えるけれど、救いはある。
人を傷つけるのは人間だけれど、救いを与えるのも、人間なのだ。
解説の杉山登志郎が言及している日本の現状についても必読。
☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆
『犬として育てられた少年』 ブルース・D.ペリー、マイア・サラヴィッツ
これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介
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こんにちは!活字中毒のモモちゃんです。
明石公園で。
数羽、鳩がいたのでパンをちぎって投げてやった。鳩、食べる。
しばらくすると鳩の数がぐんと増えた。またパンをやる。鳩、
食べ、そして飛んでいく。
また少しすると、今度はお城の向こうの森から鳩の大集団がやっ
てきて私たちの周りを飛び、威嚇し始めた。身包みはいでやる
ぜという、気概にあふれた集団だった。
怖くて、その頃になると誰が最初にパンを投げたか、犯人探
しが始まる始末だ。ほんと怖いよ、鳥の集団って。
伝達手段みたいなものがあるのかな。多分それでは、「いい
カモがいるぜ」みたいな言葉が交わされてたんだろうな。鳥
のくせに。
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本日は ◆たまには教養系
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先生、カエルが脱皮してその皮を食べています! 小林朋道
¥ 1,680 築地書館 (2010/4/17)
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著者の小林先生は、鳥取環境大学で教鞭をとっていらっしゃる方。
動物行動学、人間比較行動学なる学問を教えておられるのだそう
だ。
この本では、動物たちの珍しい行動が、エッセイという形で紹介
されている。
とはいえ、ぜんぜんお堅い本ではないのよ。先生の文章は知的で
ありながらユーモラスで、つい吹き出してしまう場面がたくさん。
「動物のお医者さん」が好きな方にお勧めしてみたい一冊だ。
脱皮するカエル(表題になったエピソード)、ヤギの脱走、海辺
の生き物の生態、はたまた子ガラスを保護するお話など、面白い
ものはたくさんある。
ここでは「春の田んぼでホオジロがイタチを追いかける!」と題
されたエピソードをご紹介してみたい。
学生さんたちと田んぼを作ったときのお話。いろんな生物を見る
ことができた。イモリ、めだか、サンショウウオ、カルガモ、
ヌートリア。
その中で、貝に手を挟まれた(写真あり、本当に、かわいらしい
手に貝がくっついている)イモリを見つけたときは皆で大笑いを
した。
先生が気を止めたのは、畦でイタチを見た瞬間である。野生のイ
タチを目にすることは珍しいのだ。眺めていると、ホオジロが二
羽、その上を舞うように飛ぶ姿が目に入った。
「モビングだ!」と、先生は学生に言った。先生曰く、このよう
な「少しでも私の教員としての株があがる可能性を、黙っている
ことはありえない」のだそうだ。
学生さんたちにも説明したそのモビングとは、つまりは被食動物
が捕食動物に対して行う防衛的な行動のことであるらしい。
自然界では、食べら得る側の動物が、食べる側の動物に「近づい
ていき、一定の距離を保ちながら警戒的な動作や発声をくり返す」
ことがあるんだって。
先生は以前、シベリアシマリスでもその行動を実験、確認してい
た。リスは捕食者である蛇に対し、尾を激しく左右に振ったり、
地団太踏むような動作をくり返すことがある。
しかし、それは危険な行為でもある。捕食者のそばにいて行うも
のであるからだ。その行為は、近親者に対して警戒を呼びかける
ためのものであり、捕食者を脅かして追い払うためのものでもあ
る。そういうことを、動物は自然に行っているわけだ。
野生のイタチに付きまとい、その上を舞うホオジロは、きっとそ
ばにある巣を守ろうとしたのだと思う。非常に珍しいその瞬間を、
先生はパチリ、カメラに収めた。
後日講義でその写真を使うと、学生たちの間に「なんと言ったら
いいのか、説明に納得いっていない空気」が流れた。
もちろん、「聡明で知識豊かな私(原文引用、先生のこと)は、
すぐに、それが、写真の中の鳥についての疑念であることに気づ
いた」。
その写真は掲載されているが、実際、私が見た感じでもどこに鳥
がいるのかはわかりづらかった。先生は言う。「ひょっとしたら
鳥に見えない人がいるかもしれません。率直な感想を質問用紙に
書いてください」
すると学生さんたちは「鳥に見えないが、動物はいます。いや、
鳥ですね」と、非常に気遣いのある答えを書いて提出してきた。
ちゃーんとオチもついていて、非常に楽しい文章なのである。
カエルの脱皮の話は、気持ち悪いナと思う方もいらっしゃるかも
しれない。でもお話の面白さは請け合い。
文章の間から、先生の動物好き、いや、失礼ながらはっきりと述
べさせていただくと「オタク」っぷりが漂ってくる。もうそれは
すごい、濃い。
動物への愛情あふれた一冊。シリーズの、これが四冊目だそうで
すが、どれも読んでみたいな〜。