2011.3.7
【1】読書感想 (第356冊)
T・ハリス 「ハンニバル」上下 新潮文庫
十年ほど前、映画はリアルタイムで観た。
ラストのディナー・シーンが衝撃的過ぎて、正直あの「お食事」シーンし
か覚えていない。
しかし「ハンニバル」といえば、あの「お食事」と言う様に、全く忘れら
れない強烈な後味の悪さを残している。
この小説は、5年ほど前に買ったもの。
ようやく読む順番になったので読んだのですが、久々に寝食を忘れて読み
耽りました。
読後、姉妹作「羊たちの沈黙」「レッド・ドラゴン」「ハンニバル・ライ
ジング」と四部作と云われる全作を買い揃えたほど。
面白いというのは不謹慎だけど、ベストセラーになったのは良く分かりま
す。
有名な「羊たちの沈黙」では、地下牢に拘束されたハンニバル・レクター
の、その後の悪事を描きます。
なぜこうなったかは、「レッド・ドラゴン」「ハンニバル・ライジング」
を読まないと見えてこないですが、本作でも彼の過去(幼少期)が所々
登場します。
恐怖の幼児体験が彼の異常基調となっているのですが、こうまで怪物にな
ってしまうものなのか。
終盤は手に汗握る展開の連続で、勧善懲悪で終わらない、妖しく不思議な、
霧に消えてゆくような終わり方。
鳥肌が立ちます。