発行元 :株式会社文藝春秋
初版発行:2009/9/15
伊藤 たかみ(イトウ タカミ)
あらすじ
かつて北海道の暮らしを捨て、津軽海峡を南に下った父は、様々な勝負に
対して最終的にはすべて失敗した。
ぼくもそのとばっちりを受けて色々な街をを転々とするはめになったが、
それでも父は僕を大人にまで育ててはくれた。
祖父が危篤だということで北海道に駆けつけたぼくは、その町で父のルー
ツに思いを馳せる。
コメント
梁石日の「血と骨」にちょっと似てるな。こっちの方が圧倒的に地味だけ
ど・・と言う感じの一冊。
男の人生における5大テーマとして「父親」「旅」「女」「仕事」「死」
があるよなと勝手に思っているが、本作は「父と子」を伊藤氏独特の繊細
なタッチで描いている。
ただ、ストーリーも文体もあまりに地味すぎて、読んでいてしばしば眠た
くなった。
読者を選ぶだろうなと思わせる作品。
父親というものは、立派であればあったで、ダメ男であればあったで息子
にとっては「あ〜やだやだ」と思わせる存在なのだが、自分自身が息子を
持ち、父親になってみると「なるほど、あの時の親父の気持ちはこんな感
じだったのかな」と思う瞬間もある。
しかし、だからといって自分の息子とこれから良い関係を積み上げていく
ことができるかどうかは全く自信がない。
父と息子って、ホント独特の関係だよな。
しみじみそんなことを感じた一冊。
0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。
※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。