2011年2月20日日曜日

週刊 お奨め本 第434号『人類にとって重要な生きもの ミミズの話』

週刊 お奨め本
2011年2月20日発行 第434号

『人類にとって重要な生きもの ミミズの話』 エイミィ・ステュワート


今日のオススメ本は、『人類にとって重要な生きもの』。と、副題をまるでメイン
タイトルのように持ってきてみましたが(笑)、ずばり、『ミミズの話』です。
表紙にでっかくミミズの写真が載ってますので、ご注意ください。
このメルマガで興味を持ってamazonまで見に行くような人なら、写真くらいで
ひるみはしないと思いますが…。

金輪際興味なんかありません、名前を聞くのもいや、文字を読むのもいや、という
方、来週はもっと耳当たりのいい本をご紹介できると思いますので、今日のところ
はご勘弁ください。来週またお会いしましょう。

実際のところ、私もそのクチです。
決して好きではありません。
雨上がりに歩道に迷いだしてきているミミズを目撃なんかしちゃったら、悲鳴を
上げて飛びすさります。
だって気持ち悪いじゃないですか、ぬめぬめしてて、にゅにゅる動いて、うにょ
うにょしてんですよ、奴等は! 高等哺乳動物たる人類が親しく感じられる生物
じゃないですよ!

ではあるけれど、理性で考えるならたいへん有益な動物であることはご存知の通り。


> ミミズは土壌の組成を変え、水分の吸収・保持能力を高め、栄養分や微生物を
> 増やす。つまり、農耕に適した土地を用意してくれるのである。(25頁)


ミミズがたくさんいる土地は豊かな土地。

もっとも、どんなことにも例外はあって、第六章ではミミズによる被害もレポー
トされている。
現在、北米大陸に生息するミミズの多くは在来種ではなく、移民と共に渡ってき
たものだという。鉢植えの土や、苗木の根土や、荷馬車の車輪についた土や、船
のバラストなどと共に。
それらが合衆国の農地にとって役立つ存在でもあったのは間違いないだろうが、
森林に対しては問題を引き起こしてもいる。
森の下層植生を、ミミズが変えてしまっているのだ。ミミズが落ち葉を食べてし
まうために、シダや山野草が発芽できなくなっていた。


ミミズはそれらの地では悪者なのだけど、そもそもミミズ自身の移動距離は年に
数メートル。人間が森にミミズを持ち込まなければ、森を守る時間は充分にある。
ていうか、今起きている問題は、森にミミズをもち込む人がいるから起きたって
ことだ。湖に来た釣り人が、残った餌をその辺に捨てていくような。


ミミズは正しく付き合えば、人類にとってたいへん有益な友人になる。

そんなミミズに魅せられたひとりが、かのチャールズ・ダーウィンで、晩年の
ダーウィンはミミズ研究に没頭した。
著者のエイミィ・ステュワートはミミズコンポストを使っていて、本書ではそこ
で飼っているミミズと、ダーウィンのミミズ研究を併行して紹介している。

ミミズ研究はまだまだわからないことばかり。
土の中は謎がいっぱい。
わからないことって魅力的。
気持ち悪くて魅力的で役に立つけど困りもの。そんなミミズの生態に、ちょっと
だけ近づいてみませんか?


人類にとって重要な生きもの ミミズの話