発行元 :株式会社新潮社
初版発行:2008/11/20
熊谷 達也(クマガイ タツヤ)
あらすじ
太平洋戦争末期。
仙台大空襲で家も親兄弟も失った裕輔は、特攻隊帰りの彰太と出会い、
「いつか仙台駅前のX橋に大きな虹を掛けよう」と誓い合う。
生きるための毎日はつらいことも多かったが、親切な「徳さん」と出会っ
たことによって少しずつ生活の基盤を確かなものにすることができた。
しかしある日・・。
戦後の混乱期に、無一文から逞しく生き抜く若者たちの群像を描く。
コメント
血迷うたか熊谷達也!と言いたくなるほどのバッドエンド。
登場人物の誰もが素敵で、散々っぱら共感と感情移入をさせておいて、
最後に奈落へ突き落とされた。
熊谷氏が優れた作家であることは疑いないが、本作の「第5章」だけは
断じて許せない。
私が独裁者だったら強権を発動して書き直しを要求するところだ。
丁寧に作られたケーキを足元に叩きつけるような、精魂込めて描かれた
絵画にペンキをぶっ掛けるような実も蓋もない結末で、読後感は最悪
だった。
現実が厳しいのはよく分かっているが、だからこそ小説の世界では美し
い結末を求めたかった。
熊谷氏は何が言いたくてこの小説を書いたのだろうか。
ひょっとすると、第4章を書き終えたところでヨメに逃げられたとか人
に騙されたとか、熊谷氏がウツ状態になるような何かが起こったのかな、
とすら考えてしまう。
途中までは非常に気持ちよく読み進められただけに残念無念だった。
小説のレベルとしてはもっと上だが、そういうことで怒りの3点。
0点→途中リタイア。読むことが苦痛。出会ったことが不幸。意味が分からない。
1点→なんとか最後まで読んだが、時間のムダだった。つまらない。
2点→可もなく不可もなし。ヒマつぶしにはなったかなというレベル。
3点→難点もあるがおおむね満足。この作者なら他の作品も読んでみたい。
4点→傑作。十分に楽しんで読めた。出会えてよかった一冊。他人にもすすめたい。
5点→最高。とにかく良かった。人生の宝物となる一冊。
※ 小数点は、上記点数の間であるとご理解下さい。