2011年2月17日木曜日

本のご紹介です。「惜しい努力」で終わらせない思考法

これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介



本日は ◆ビジネス、営業系


「惜しい努力」で終わらせない思考法  午堂登紀雄
¥ 1,470  実務教育出版 (2010/8/31)


タイトルは素晴らしくいいと思うのだけど。

他人が流す情報に右往左往しているようでは、大成は望めない。
自分の頭で考える。それが、努力を成功に結びつけるコツ。

この本は「地頭」を鍛えるために書かれた。鵜呑みにせず、各自
なりの主張を抱いてほしい、そうだ。

・残業ゼロで仕事ができるようになったやつはいない。
・「できるヤツは遊びもできる」は嘘

ノー残業を提唱している人を見よ。彼らは若い頃、わき目もふら
ずに働いてきた人だ。二十代、三十代は土台を作る時期。がむ
しゃらに仕事をしよう。遊びも仕事も境がなくなって始めて、己
の能力が開花するのだ。

・「自己投資商人」のカモになってはいけない。
・やみくもな勉強が身を滅ぼす。

教材を買ったり、セミナーに通ったりする前に、そのリターンが
いかほどであるか、冷静に考えよう。自分が何をしたくて、何に
なりたいのか、わからないうちは自己投資は控えるべし。

資格に関してもそう。その資格がどう役に立つか、マーケティン
グをしてから、勉強を始めるようにしたい。

・ロジカルシンキングを学んで、賢くなった気になってはいけない。

シャ乱Qのメンバーが「シングルベッド」をヒットさせたときの逸
話。彼らはまず「有線放送で一番になる」という目標を立てた。そ
のために、メンバー全員で朝から晩まで有線に電話をかけまくった。

つんく♂さんはそのときのことをこう語る。「どんな壮大な目標で
も、プロセスを分解すると誰でもできる作業に行き当たる」

論理的な考え方だ。だがつんく♂さんがロジカルシンキングを学ん
だかといえばそうではない。目標を持って始めること、動き出すこ
とで、自然、答えが出るのである。

……と、まあ、前半は悪い感じではないねんけどな。後半に差しか
かると、なんやちょっと、どこぞ、未開の国の王様みたいな時代遅
れの話が始まるのよ。そこが違和感、まさに惜しい感じ。

・単なるワーカーの賃金が安いのは当たり前。
・「仕事がない」と言いながら選り好みしている人たち。

なんかなあ。この手の話を根性論で片付けるのは、頭のいい人がす
ることとは思えないなあ。

中に「先進国は北半球に集中している。それはなぜか。寒さが人を
鍛えるからだ」という一文がある。ならば南に住む人が貧困にあえ
ぐのは、温帯の恵まれた気候に甘えて堕落したせいであるのか。

であれば、イヌイットが世界制覇に乗り出してもかまわない、むし
ろそうあるべきだと思うのに、そうなっていないのはなぜか。

つじつまがあわんやんけ。


いや別に、ええねんけどな。だけどしかし、こういう「酒場の
オッサンがする議論」が中に混じっていると、本全体がどうにも
安っぽく思えてむなしい。

「俺らはよう、がんばって働いたんだ。若いのは甘えてる。貧乏人
は甘えてるんだぃ!」

まあ、それもそうかもしれんけど、世の中いろいろありますわいな。
その辺脇が甘いので、大人が読むにはちょっと残念。

覇気あふれる青年淑女が、ささっと読んでよいエッセンスだけを残
し、一晩で忘れるくらいがちょうどいい一冊。

惜しい努力