2011年2月25日金曜日

本のご紹介です。名古屋発どえりゃあ革命!

これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介



本日は ◆社会派、ドキュメンタリー系


名古屋発どえりゃあ革命!  河村 たかし
¥ 800  ベストセラーズ (2011/1/18)


新書。前回の選挙にあわせて、大急ぎで仕上げた感はやや残るが。

名古屋市議会のリコール問題について。県知事となった大村氏と
の対談。日本の政治はどうあるべきか。このようなことが語られ
ている。柱となるのは「減税」という言葉だ。

リコール問題について、簡単にまとめてみる。

09年、名古屋市長となった河村氏は、その公約のメインであった
市民税の減税を実現化すべく動き出す。

河村氏の前職は古紙回収業である。経営者だ。零細企業だったの
で、彼自身もフォークリフトに乗って朝から晩まで働いていた。

その彼の目から見ると、行政には無駄が多すぎた。議員の給料も
高い。前著「おい河村!おみゃぁ、いつになったら総理になるん
だ」から一貫して述べられている主張であるが、議員が高給取り
では、ろくな政治ができないと彼は考えている。

一般市民の考えがわからなくなる。楽な仕事であるため、世襲し
ようとしたり、政治以外のことを知らない議員が増えてしまう。
それでは国は立ち行かなくなってしまう。

そもそも財政の危機が騒がれているが、そんなものはまやかしな
のだと河村氏は一刀両断に切り捨てる。無駄がまだたくさんある。
増税? 冗談ではない。議員を養うために、庶民から金を取ると
いうのか。

今成すべきは減税である。河村氏は考えている。この考えは、織
田信長の「楽市楽座」を例に取るとわかりやすい。

「楽市楽座」は規制緩和だった。庶民が誰でも、商売ができるよ
うにしたものだ。行政はこれを目指すべきである。行政側の考え
は庶民と離反している。その欠落を埋めるには、上からの指導で
はなく、下からの動きが必要である。

だから減税。議員の給与も半額に減らし(それでも800万。仕事
内容は「ブログ市長」の本でも述べたとおり、パートタイムで務
まるものだ)、市議会の議席も減らす。

当然、議会の猛反対にあった。おかしなことだ。河村氏が選ばれ
たことで、民意は減税を求めているというのに。

だが市長には議会の解散権がない。地方議会は首長の意思が通ら
ない仕組みになっている。

リコール運動が提案され、市民が動き出した。署名を集めなけれ
ばならない。その数およそ36万。

猛暑の名古屋、河村氏の支持者たちがかけまわった。出足は遅
かったが、素人だから仕方がない。だが最終的には46万余りの署
名が集まった。

そこからがねえ、すごかったのよ。夕方のニュースでもよくやっ
てたけど、呆れてものも言えんかった。

選挙管理委員会が、署名を審査して11万名を無効としたのだ。
「○番○号」と書くべき住所が「○−○」と略されている。公団
住宅と書くべきところがUR住宅とされている。そんないわゆる、
いいがかりに近い理由で多くの署名が却下された。

署名をした名古屋市民は怒った。当たり前だわな。自分の署名が
無効であるか、ないか、確認する場が設けられ、多くの人が足を
運んだ。

無効になっていた署名は、後に訂正され有効票と数えられた。市
民の反発で、採決が覆ったというわけ。


河村さんは、それが民主主義の曙だとおっしゃっている。市民の
声が、正当な手法で通されたからだ。市民も今以上に、しっかり
意識を持たなあかんということなんだろうな。

名古屋を、愛知県をアジアで輝く都市にしたいという、大村氏と
の対談も面白かった。

日本の政治は地方から変わる。明治維新を見てもそれがわかる。
そう、河村氏は言う。

リアルタイム龍馬伝みたいで、けっこう面白かった。名古屋弁で
言ってみると「日本を洗濯せなかんのだて」って感じになるかな。

名古屋発どえりゃあ革命!