【1】読書感想 (第351冊)
宮部みゆき 「東京下町殺人暮色」 光文社文庫
この本も数年前に読んだのに感想書かず、書こうと思ったら内容丸忘れ。
今回再読したが、中盤まで全然思い出せなかった。
主人公の中学生が、両親が離婚して父親に引き取られている。
母親は医者と再婚していて、父は平刑事なのに家政婦を雇うという不思議
な設定。
思春期の男子が、両親離婚・母再婚・家政婦が家に居る、という設定なら
屈折した少年になってこそリアリティが出て面白い流れになるのに、この
主人公はどこまでも少年探偵団みたいでイイ子ちゃん。
お母さんを懐かしがることもなく、父を恨むでもなく、近所で起こった
事件に首っ引き。
刑事の子だからね、と宮部女史は言いそうだが、少年の中では近所の事件
より自分の悲劇の方が余程大きいんじゃないかと思うんですけど。
結論として、設定や主人公自体に共感できない。
しかもミステリもあまり感心できない。
著者31歳の時の若書きと聞いて、ようやく感心できた次第。
31歳の女性が描いた中学生の少年、まったく描けていない。